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『 易 し い ギ ル ド 入 門 【4】』
~ 易しい仕事の選び方 ~
場所 :ソフィニア
PC :エンジュ シエル
NPC:ユークリッド 受付嬢 シダ
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見せられたギルドカードは、思っていた以上に素っ気ないモノだった。
「……コレ?」
シエルが問いかけると、シダが人懐っこく笑う。
「そうだよ、正真正銘ホンモノのギルド登録証明書」
四角い小さな紙には、名前と共に登録番号・ギルドランクが記載されている。
「内容に間違いはないよね」
「一つだけ気になったんだけど……ランク表示、Gなんてあるの?」
「ああ、仮登録ランク、ってこと。正式会員はF以上って考えてくれればイイよ」
シダがそういいながらギルドの刻印を押し、そして完成品をシエルに差し出す。
「ようこそ新米冒険者さん!」
掌に隠れるほどのそのカードを、シエルは対して感慨もなく財布にしまった。
ソレを見たシダが声を上げて笑う。
「あっはっは、そうじゃなくちゃねぇ?
ギルダーじゃなくちゃんとランカーとして育ってくれよ!」
当然のように使われた知らない言葉に、シエルは首を傾げた。
「ソレ、どういう意味かしら」
聞き返されるとは思っていなかったらしく、シダはしばらく絶句した。
頭の中で数回言葉を反芻してやっと理由に思い当たったらしく、慌てて取り繕うよ
うに用語解説を始める。若干慌てているのは、初心者に対して使わないようにと、注
意されていたのかもしれない。
「ええと、説明……んー、簡単に言うと、
ギルドランクが低いまま、食べるには困らない程度に小さな仕事専門で受ける人の
事を『ギルダー』って呼んでるんだ。まあ、半数以上はそうかな。
それに対してランクがどんどん上がって行く人を『ランカー』って呼ぶわけ。
ランクが上がれば二つ名も名乗れるし、顔が利いたりもする。
どっちもいないと冒険者ギルドなんて成り立たないんだけど、大口の仕事はどうし
ても『ランカー』限定だったりするから、事務側としてはありがたいんだな。
まあ、一種の業界用語だよね。僕だけに通じるって可能性も否定はしないけどさ」
ユークリッドはさっきから受付嬢と、情報屋として仕事絡みの話をしているようだ
し、エンジュはと言えば、退屈して部屋の隅の長椅子に座っていた。これではシダに
からかわれたのかすら分からない。が、まあ、そんなウソをついたところで、彼の得
にはならないだろうと、僅かな時間で考える。
「ありがとう、勉強になるわ」
「いえいえ、どういたしまして」
さて、コレで冒険者ギルドへの登録は完了したワケだが……。
「それじゃ、予定がなければ仕事見てみようか」
シダが何かのファイルを取り出した。
そう厚くはないが、ぱらぱらぱらとめくっていく。
「入り口近くの掲示板にも仕事依頼の張り紙があるよ。
でも、そこに張り出す前のモノとか、特殊な依頼とかはコッチにあるんだよね」
ぱらぱらめくっていた手が止まり、開いたページの向きをこちらへ向ける。
「オススメはこの辺。
エンジュの紹介だから結構使えるんでしょ?」
薦められるままに資料を覗き込み、絶句する。
提示された仕事内容は、明らかに初心者向けではなかったのだから……。
* * * * *
『子供達が消えていく事件の原因究明及び子供達の無事奪還(至急』
『ゴブリン退治。ゴブリン多数との情報あり』
『異世界人「ミウラ」を確保し、元の世界へ返す。詳細は秘密厳守』
『動物に変えられてしまった人を元に戻す。手段は問わない』
『にんぎょうをさがしてください(詳細不明・依頼者と要相談』
『結婚式のどさくさに紛れて依頼人二人を逃亡させる(極秘』
『憑き物を落としてください』
『家の壁に毎日落書きという事件の原因究明及び再犯防止』
* * * * *
「か、考えさせて……」
とりあえずエンジュと相談しよう、そうしよう。
そう心に決めたシエルであった。
『 易 し い ギ ル ド 入 門 【4】』
~ 易しい仕事の選び方 ~
場所 :ソフィニア
PC :エンジュ シエル
NPC:ユークリッド 受付嬢 シダ
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見せられたギルドカードは、思っていた以上に素っ気ないモノだった。
「……コレ?」
シエルが問いかけると、シダが人懐っこく笑う。
「そうだよ、正真正銘ホンモノのギルド登録証明書」
四角い小さな紙には、名前と共に登録番号・ギルドランクが記載されている。
「内容に間違いはないよね」
「一つだけ気になったんだけど……ランク表示、Gなんてあるの?」
「ああ、仮登録ランク、ってこと。正式会員はF以上って考えてくれればイイよ」
シダがそういいながらギルドの刻印を押し、そして完成品をシエルに差し出す。
「ようこそ新米冒険者さん!」
掌に隠れるほどのそのカードを、シエルは対して感慨もなく財布にしまった。
ソレを見たシダが声を上げて笑う。
「あっはっは、そうじゃなくちゃねぇ?
ギルダーじゃなくちゃんとランカーとして育ってくれよ!」
当然のように使われた知らない言葉に、シエルは首を傾げた。
「ソレ、どういう意味かしら」
聞き返されるとは思っていなかったらしく、シダはしばらく絶句した。
頭の中で数回言葉を反芻してやっと理由に思い当たったらしく、慌てて取り繕うよ
うに用語解説を始める。若干慌てているのは、初心者に対して使わないようにと、注
意されていたのかもしれない。
「ええと、説明……んー、簡単に言うと、
ギルドランクが低いまま、食べるには困らない程度に小さな仕事専門で受ける人の
事を『ギルダー』って呼んでるんだ。まあ、半数以上はそうかな。
それに対してランクがどんどん上がって行く人を『ランカー』って呼ぶわけ。
ランクが上がれば二つ名も名乗れるし、顔が利いたりもする。
どっちもいないと冒険者ギルドなんて成り立たないんだけど、大口の仕事はどうし
ても『ランカー』限定だったりするから、事務側としてはありがたいんだな。
まあ、一種の業界用語だよね。僕だけに通じるって可能性も否定はしないけどさ」
ユークリッドはさっきから受付嬢と、情報屋として仕事絡みの話をしているようだ
し、エンジュはと言えば、退屈して部屋の隅の長椅子に座っていた。これではシダに
からかわれたのかすら分からない。が、まあ、そんなウソをついたところで、彼の得
にはならないだろうと、僅かな時間で考える。
「ありがとう、勉強になるわ」
「いえいえ、どういたしまして」
さて、コレで冒険者ギルドへの登録は完了したワケだが……。
「それじゃ、予定がなければ仕事見てみようか」
シダが何かのファイルを取り出した。
そう厚くはないが、ぱらぱらぱらとめくっていく。
「入り口近くの掲示板にも仕事依頼の張り紙があるよ。
でも、そこに張り出す前のモノとか、特殊な依頼とかはコッチにあるんだよね」
ぱらぱらめくっていた手が止まり、開いたページの向きをこちらへ向ける。
「オススメはこの辺。
エンジュの紹介だから結構使えるんでしょ?」
薦められるままに資料を覗き込み、絶句する。
提示された仕事内容は、明らかに初心者向けではなかったのだから……。
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『子供達が消えていく事件の原因究明及び子供達の無事奪還(至急』
『ゴブリン退治。ゴブリン多数との情報あり』
『異世界人「ミウラ」を確保し、元の世界へ返す。詳細は秘密厳守』
『動物に変えられてしまった人を元に戻す。手段は問わない』
『にんぎょうをさがしてください(詳細不明・依頼者と要相談』
『結婚式のどさくさに紛れて依頼人二人を逃亡させる(極秘』
『憑き物を落としてください』
『家の壁に毎日落書きという事件の原因究明及び再犯防止』
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「か、考えさせて……」
とりあえずエンジュと相談しよう、そうしよう。
そう心に決めたシエルであった。
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