PC:(ヴィルフリード) リタルード
NPC:ハンナ
場所:エイド
-------------------------------------------------
「…で、キミは何を考えているのかな?」
物置といえども小部屋ほどの広さがあり、そしてミィ爺の家の半分も埃臭くないの
は、さすがは食べ物を扱う家だ。
戸の隙間から差し込む光のおかげで、辛うじてお互いの輪郭だけがわかる。
匿うというよりは、とりあえず邪魔にならないよう二人はここに押し込められたの
だ。
「ルーディ」
「呼ぶなって言ったよ、ね?」
ハンナがミィ爺にかけてもらった魔法を解く鍵は、他者の名前を呼ぶこと。それも
相手が本当に自分の名前だと思っている名前のみで、偽名などは問題なく使える。
まさか自分より年上の成人女性に、それくらいの決まりごとをすぐさま破られてし
まうとはリタルードは思ってもみなかった。
「で、何で?」
見えないとはわかっていても、笑みすら浮かべてリタルードは問う。もちろん目は
笑っていない。
「それくらいのことやってもいいかなって思ったから、かしらね」
「へぇ…」
ハンナのひそやかながら相手に真っ直ぐに向けられた声に、ここは負けてやるべき
ところなのだろうと、それくらいはリタルードにもわかった。傷ついて、黙り込んだ
り取り乱したり相手を責め立てたりするべきところ。
けれど今、リタルードは腹を立てていたし、結局はまだ幼かったから代わりにこう
言った。
「ねぇ、お姉さん元気?」
「…………」
唇を噛み締めるなり手をきつく握り締めるなり、そんな動作を伴わないのがおかし
いほど、ハンナの身体がぎゅっと緊張する。
叩かれるかな、と覚悟する。
「わかった。もうやらない」
しかし、ハンナはさばさばとそう答えただけだった。途端にリタルードは自分に対
して強い嫌悪感を抱く。
「あの人、元気よ。すっごくね」
ここがこんなに暗くなければよかったのに。
リタルードは陰鬱とそう思った。
NPC:ハンナ
場所:エイド
-------------------------------------------------
「…で、キミは何を考えているのかな?」
物置といえども小部屋ほどの広さがあり、そしてミィ爺の家の半分も埃臭くないの
は、さすがは食べ物を扱う家だ。
戸の隙間から差し込む光のおかげで、辛うじてお互いの輪郭だけがわかる。
匿うというよりは、とりあえず邪魔にならないよう二人はここに押し込められたの
だ。
「ルーディ」
「呼ぶなって言ったよ、ね?」
ハンナがミィ爺にかけてもらった魔法を解く鍵は、他者の名前を呼ぶこと。それも
相手が本当に自分の名前だと思っている名前のみで、偽名などは問題なく使える。
まさか自分より年上の成人女性に、それくらいの決まりごとをすぐさま破られてし
まうとはリタルードは思ってもみなかった。
「で、何で?」
見えないとはわかっていても、笑みすら浮かべてリタルードは問う。もちろん目は
笑っていない。
「それくらいのことやってもいいかなって思ったから、かしらね」
「へぇ…」
ハンナのひそやかながら相手に真っ直ぐに向けられた声に、ここは負けてやるべき
ところなのだろうと、それくらいはリタルードにもわかった。傷ついて、黙り込んだ
り取り乱したり相手を責め立てたりするべきところ。
けれど今、リタルードは腹を立てていたし、結局はまだ幼かったから代わりにこう
言った。
「ねぇ、お姉さん元気?」
「…………」
唇を噛み締めるなり手をきつく握り締めるなり、そんな動作を伴わないのがおかし
いほど、ハンナの身体がぎゅっと緊張する。
叩かれるかな、と覚悟する。
「わかった。もうやらない」
しかし、ハンナはさばさばとそう答えただけだった。途端にリタルードは自分に対
して強い嫌悪感を抱く。
「あの人、元気よ。すっごくね」
ここがこんなに暗くなければよかったのに。
リタルードは陰鬱とそう思った。
PR
トラックバック
トラックバックURL: