PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ラズロ リリア リック セリア ギア
場所:エドランス国 アカデミー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まあまあまあ、それじゃあ、今からいってくるの?」
アカデミーでギアとセリアの外出手続きをして、せせらぎ亭まで一緒に来た四
人は、すぐにでも犯人を移送するためにウサギ村(命名リック)にいまから出かけ
ることを、届いた香草でさっそく仕込みを始めた女将に説明した。
「はい、曲がりなりにも村に害意を持つ人間ですから、一刻も早く引き取らない
といけませんし」
セリアが言うとギアもうなづく。
「あの村の人達は気にしないでしょうけど、それに甘えるわけにもいきませんから」
人達というかウサギ達というかはさておき、確かに村の方はそうう些細なこと
は気にしないだろう。
アベル達は、犯人を連れて村に戻った時も、誰一人、犯人に対して敵意や怒り
を向けた者はいなかったことを思いだしていた。
「あらあらあら、それは確かにそうだけど……」
女将は心配そうにアベルとヴァネッサをみた。
「二人も行くんでしょ? 昨日からまだ休んでないって言うし、大丈夫?」
考えてみれば、ウサギ村で休憩を入れたとはいえ、仕込みに間に合うようにそ
の朝のうちに出発し、報告から今に至るわけでひと眠りもしていないのだった。
「女将さん、私たちは冒険者ですよ」
セリアはおもわず苦笑してしまう。
女将は「まあまあまあ」と驚いたように目を丸く(いや、いつも丸いのだが)し
たあと、ぽむと手を合わせてうなづいた。
「それもそうね」
ふだんほわほわと優しげな女将だが、アカデミーでは優秀な成績で修士をおさ
め、ついには王都に店を持つほど冒険者として実績を積んできた、ギアですら頭
の上がらない大先輩でもある。
アベル達が単なる下働きに預かってる普通の子供たちではなく、ある意味最も
厳しい冒険者の道を選んだ卵たちである以上、先輩からすれば二、三日寝れない
ぐらいで下手るようではむしろ叱り飛ばさねばならない立場なのだ。
甘さは優しさではない、ほかならぬ女将自身がよく知っているのだった。
「そういうことなら仕方ないわね、で、ほかの三人は?」
「今度は移送の案内だけですし、ぞろぞろ言っても仕方ないので、二人だけ連れ
てきます」
女将とセリアのやりとりを、席について聞いていたラズロ、リック、リリア
は、不満なようなほっとしたような顔で聞いていた。
なんだかんだで先に休めると期待したのもつかの間、
「三人にはレポート仕上げてもらわなきゃなりませんしね」
ギアがにやりと笑った。
後ろで聞いていたリリアは机に突っ伏する。
「えー、休んでからじゃダメー?」
「お前ら一応たんに申請してるんだから、これも授業中の訓練の一環ってことで」
ギアのいうことに納得した、というより、アベル、ヴァネッサより先に自分た
ちだけ休むのは気が引けるところだったせいもあって、三人とも「しかたない
かー」と頷き合った。
「今から出れば夜までには帰れるでしょう」
セリアはそう言うと、促すようにアベル達を見た。
「そういうことなんで、昼からは休ませてください」
頭を下げたアベルの頭を女将はぽんぽんとなでるように軽く叩いた。
「まあまあまあ、何を言ってるの。 これは私の以来の続きなんだから休みじゃ
ないわよ」
女将はそういって奥の厨房を指さして笑った。
「でもお昼くらいは食べていきなさい。 必要のないところでする無理は違うわよ」
「そういや、お昼まだだった」
思い出したように腹を押さえたアベルを皮切りに、皆空腹だったことを思い出す。
「よっし、それじゃあおれたちもまだだし、ここでお昼にして、それからそれぞ
れの仕事にかかるとしようや」
ギアの提案にセリアも応じたので、アベルたちはまだ空いてない食道を借りて
お昼にした。
女将の料理は手間をかけて仕込んだスープの煮込み料理で、おそらく昨夜のう
ちから帰ってきたら出そうと用意しておいてくれたのだろう、不思議と食べれば
食べるほど疲れが抜けて行くような特製の薬膳でもあった。
「よっしゃ! それじゃ行ってきます!」
「いってきます」
食べ終わると休む間も惜しげに、アベルとヴァネッサが立ち上がり、つられて
皆も動き出した。
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NPC:ラズロ リリア リック セリア ギア
場所:エドランス国 アカデミー
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「まあまあまあ、それじゃあ、今からいってくるの?」
アカデミーでギアとセリアの外出手続きをして、せせらぎ亭まで一緒に来た四
人は、すぐにでも犯人を移送するためにウサギ村(命名リック)にいまから出かけ
ることを、届いた香草でさっそく仕込みを始めた女将に説明した。
「はい、曲がりなりにも村に害意を持つ人間ですから、一刻も早く引き取らない
といけませんし」
セリアが言うとギアもうなづく。
「あの村の人達は気にしないでしょうけど、それに甘えるわけにもいきませんから」
人達というかウサギ達というかはさておき、確かに村の方はそうう些細なこと
は気にしないだろう。
アベル達は、犯人を連れて村に戻った時も、誰一人、犯人に対して敵意や怒り
を向けた者はいなかったことを思いだしていた。
「あらあらあら、それは確かにそうだけど……」
女将は心配そうにアベルとヴァネッサをみた。
「二人も行くんでしょ? 昨日からまだ休んでないって言うし、大丈夫?」
考えてみれば、ウサギ村で休憩を入れたとはいえ、仕込みに間に合うようにそ
の朝のうちに出発し、報告から今に至るわけでひと眠りもしていないのだった。
「女将さん、私たちは冒険者ですよ」
セリアはおもわず苦笑してしまう。
女将は「まあまあまあ」と驚いたように目を丸く(いや、いつも丸いのだが)し
たあと、ぽむと手を合わせてうなづいた。
「それもそうね」
ふだんほわほわと優しげな女将だが、アカデミーでは優秀な成績で修士をおさ
め、ついには王都に店を持つほど冒険者として実績を積んできた、ギアですら頭
の上がらない大先輩でもある。
アベル達が単なる下働きに預かってる普通の子供たちではなく、ある意味最も
厳しい冒険者の道を選んだ卵たちである以上、先輩からすれば二、三日寝れない
ぐらいで下手るようではむしろ叱り飛ばさねばならない立場なのだ。
甘さは優しさではない、ほかならぬ女将自身がよく知っているのだった。
「そういうことなら仕方ないわね、で、ほかの三人は?」
「今度は移送の案内だけですし、ぞろぞろ言っても仕方ないので、二人だけ連れ
てきます」
女将とセリアのやりとりを、席について聞いていたラズロ、リック、リリア
は、不満なようなほっとしたような顔で聞いていた。
なんだかんだで先に休めると期待したのもつかの間、
「三人にはレポート仕上げてもらわなきゃなりませんしね」
ギアがにやりと笑った。
後ろで聞いていたリリアは机に突っ伏する。
「えー、休んでからじゃダメー?」
「お前ら一応たんに申請してるんだから、これも授業中の訓練の一環ってことで」
ギアのいうことに納得した、というより、アベル、ヴァネッサより先に自分た
ちだけ休むのは気が引けるところだったせいもあって、三人とも「しかたない
かー」と頷き合った。
「今から出れば夜までには帰れるでしょう」
セリアはそう言うと、促すようにアベル達を見た。
「そういうことなんで、昼からは休ませてください」
頭を下げたアベルの頭を女将はぽんぽんとなでるように軽く叩いた。
「まあまあまあ、何を言ってるの。 これは私の以来の続きなんだから休みじゃ
ないわよ」
女将はそういって奥の厨房を指さして笑った。
「でもお昼くらいは食べていきなさい。 必要のないところでする無理は違うわよ」
「そういや、お昼まだだった」
思い出したように腹を押さえたアベルを皮切りに、皆空腹だったことを思い出す。
「よっし、それじゃあおれたちもまだだし、ここでお昼にして、それからそれぞ
れの仕事にかかるとしようや」
ギアの提案にセリアも応じたので、アベルたちはまだ空いてない食道を借りて
お昼にした。
女将の料理は手間をかけて仕込んだスープの煮込み料理で、おそらく昨夜のう
ちから帰ってきたら出そうと用意しておいてくれたのだろう、不思議と食べれば
食べるほど疲れが抜けて行くような特製の薬膳でもあった。
「よっしゃ! それじゃ行ってきます!」
「いってきます」
食べ終わると休む間も惜しげに、アベルとヴァネッサが立ち上がり、つられて
皆も動き出した。
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