PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ラズロ リリア リック 畑の妖精(?)
場所:エドランス国 香草の畑
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人間誰しも一つや二つは共通の幻想というのがあるだろう。
ヴァネッサの説明は4人の持つ一つを壊すのには十分だった。
「う、うそだろ・・・…?」
リリアから解放されたリックが弱弱しくつぶやく。
「でも、私も妖精さんは犯人じゃないと思うの。 ほら、足跡のこともあるし」
直感というほどでもないが、直接、話をしたヴァネッサは、そんなに悪い感じ
は受けなかった。
だがリック首を振った。
「そんな妖精あるかぁー!」
その勢いに気おされて、フリーズするヴァネッサの後ろに漂う『妖精』を指差
しながら誰にともなくリックは吼えた。
「アカデミーでも、チラっと見かけた程度だったけど、あれだ、妖精ってのはこ
う小さかったりして可愛くて、羽があったりとかしてるもんじゃねぇのかよ!」
いつもなら冷静な突っ込みを入れるはずのラズロまで、ほかの三人も思わ
ずうなづいていた。
(・・・・・・妖精さんを疑ってたわけじゃないのね)
彼らが「妖精であること」を疑っていたことに気がいたヴァネッサは、改めて
中に漂う「それ」を見てみた。
一枚一枚は薄そうな布が重なり合った様なそれが、つつんでいるように見
えるその中身がどうなっているのかは定かではないが、ぱっとみて妖精とす
ぐに思える人は少ないだろう、と思えた。
もっともヴァネッサのように魔法の素養があり、基礎的な訓練を経たもの
なら、五感とは違う感覚でその存在を捉えることができるため、見た目の姿
よりも、その存在の放つ力によって本質を捉えるため、そうしたものたちは
見た目に惑わされることはめったにないのだが。
「えーと……その、、、」
素直に認めるのもなにか悪い気がして、さりとて否定もできずに、ヴァネ
ッサも口元の笑いを抑えながら、言葉に詰まっていた。
その様子を眺めて(?)いた妖精は、あきれたようにため息ついた。
『はあ、グラントの血を引いてる割に頭わるいんだなぁ』
期待はずれ、と後に続く言葉を聞き終わる前にヴァネッサは自分でも
驚くほどの勢いで振り返り、妖精にせまった。
「妖精さん! それはどういうこと!」
『え? え? ちょ、なに?』
「ヴァネッサ? そいつが何か言ったのか?」
急変したヴァネッサの様子に、アベルも気を取り直して問いかける。
「妖精さんが、お義父さんの名前を言ったの。 ね、どういうこと? なに
かしってるの?」
これまた珍しく説明を簡単に済まして相手に詰め寄るヴァネッサ。
布……もとい妖精は温厚そうだったヴァネッサの変化に驚いていたよう
だったが、何かに気がついたようだった。
『なんだよ、急に……あ、そうか、そうすると君がヴァネッサかぁ』
「私の名前まで……やっぱり、お父さんに会ったことあるのね?」
『うん、グラントは僕の友達さ」
「!」
妖精があまりにあっさりと養父のことを口にしたため、かえって二の句を
告げずにかたまるヴァネッサ。
妖精の声はきこえずとも、ヴァネッサのようすから事情を察したほかの面
々も固唾を呑んで様子を見ている。
とくにアベルは言葉が通じるなら俺が締め上げてやるのに、とまで思って
いたが、ヴァネッサの手前ぐっと我慢していた。
「ヴァネッサ、そいつは父さんをしってるんだな?」
「うん、そうみたい」
アベルの声に我を取り戻したヴァネッサは改めて問いかけた。
「ねえ、お義父さんの事何か知ってるなら教えて」
妖精の表情はわからない。
だが、おそらく考え込んでいただろう、少し間をおいてヴァネッサにだけ
聞こえる声で言った。
『そうだなぁ、そうだ! 助けてくれるならおれいにおしえてあげる』
「たすける?」
『うん、畑を荒らすあいつらをどうにかしてほしいんだ』
――――――――――――――――――
NPC:ラズロ リリア リック 畑の妖精(?)
場所:エドランス国 香草の畑
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人間誰しも一つや二つは共通の幻想というのがあるだろう。
ヴァネッサの説明は4人の持つ一つを壊すのには十分だった。
「う、うそだろ・・・…?」
リリアから解放されたリックが弱弱しくつぶやく。
「でも、私も妖精さんは犯人じゃないと思うの。 ほら、足跡のこともあるし」
直感というほどでもないが、直接、話をしたヴァネッサは、そんなに悪い感じ
は受けなかった。
だがリック首を振った。
「そんな妖精あるかぁー!」
その勢いに気おされて、フリーズするヴァネッサの後ろに漂う『妖精』を指差
しながら誰にともなくリックは吼えた。
「アカデミーでも、チラっと見かけた程度だったけど、あれだ、妖精ってのはこ
う小さかったりして可愛くて、羽があったりとかしてるもんじゃねぇのかよ!」
いつもなら冷静な突っ込みを入れるはずのラズロまで、ほかの三人も思わ
ずうなづいていた。
(・・・・・・妖精さんを疑ってたわけじゃないのね)
彼らが「妖精であること」を疑っていたことに気がいたヴァネッサは、改めて
中に漂う「それ」を見てみた。
一枚一枚は薄そうな布が重なり合った様なそれが、つつんでいるように見
えるその中身がどうなっているのかは定かではないが、ぱっとみて妖精とす
ぐに思える人は少ないだろう、と思えた。
もっともヴァネッサのように魔法の素養があり、基礎的な訓練を経たもの
なら、五感とは違う感覚でその存在を捉えることができるため、見た目の姿
よりも、その存在の放つ力によって本質を捉えるため、そうしたものたちは
見た目に惑わされることはめったにないのだが。
「えーと……その、、、」
素直に認めるのもなにか悪い気がして、さりとて否定もできずに、ヴァネ
ッサも口元の笑いを抑えながら、言葉に詰まっていた。
その様子を眺めて(?)いた妖精は、あきれたようにため息ついた。
『はあ、グラントの血を引いてる割に頭わるいんだなぁ』
期待はずれ、と後に続く言葉を聞き終わる前にヴァネッサは自分でも
驚くほどの勢いで振り返り、妖精にせまった。
「妖精さん! それはどういうこと!」
『え? え? ちょ、なに?』
「ヴァネッサ? そいつが何か言ったのか?」
急変したヴァネッサの様子に、アベルも気を取り直して問いかける。
「妖精さんが、お義父さんの名前を言ったの。 ね、どういうこと? なに
かしってるの?」
これまた珍しく説明を簡単に済まして相手に詰め寄るヴァネッサ。
布……もとい妖精は温厚そうだったヴァネッサの変化に驚いていたよう
だったが、何かに気がついたようだった。
『なんだよ、急に……あ、そうか、そうすると君がヴァネッサかぁ』
「私の名前まで……やっぱり、お父さんに会ったことあるのね?」
『うん、グラントは僕の友達さ」
「!」
妖精があまりにあっさりと養父のことを口にしたため、かえって二の句を
告げずにかたまるヴァネッサ。
妖精の声はきこえずとも、ヴァネッサのようすから事情を察したほかの面
々も固唾を呑んで様子を見ている。
とくにアベルは言葉が通じるなら俺が締め上げてやるのに、とまで思って
いたが、ヴァネッサの手前ぐっと我慢していた。
「ヴァネッサ、そいつは父さんをしってるんだな?」
「うん、そうみたい」
アベルの声に我を取り戻したヴァネッサは改めて問いかけた。
「ねえ、お義父さんの事何か知ってるなら教えて」
妖精の表情はわからない。
だが、おそらく考え込んでいただろう、少し間をおいてヴァネッサにだけ
聞こえる声で言った。
『そうだなぁ、そうだ! 助けてくれるならおれいにおしえてあげる』
「たすける?」
『うん、畑を荒らすあいつらをどうにかしてほしいんだ』
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