PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ラズロ リリア リック
場所:エドランス国 香草の畑
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うわぁ……」
香草畑に到着しての第一声は、感嘆の声だった。
田舎育ちのアベルとヴァネッサにとっては、畑など見慣れたものだったが、それで
も、その風景には感激させられた。
山のなだらかな斜面に作られた広々とした畑に、背の低い香草が生い茂っている。
「広ーい! すっごーい!」
リリアはきゃいきゃいとはしゃぎ、
「ここまでの広さを開墾したのか」
ラズロはその労力と苦労に思いをはせ、
「あ……雑草、生えてるね」
「だいぶ草むしりしてないな、こりゃ」
「幽霊騒ぎのせいで、手入れもままならないんだろ」
他の三人は、畑の状態について会話をしていた。
「って、無駄話している場合じゃないぞ。早いところ摘み取って戻ろう」
リックが作業開始を促すと、
「リック、そのカッコ恥ずかしいから、早く終わらせたいんでしょー」
リリアがにたりと笑う。
ちょっとだけ図星だったらしく、リックが「う……」と呟いた。
リックは、大きなカゴを背負っている。
今回は、このカゴ一杯になるまで摘み取る予定である。
ちなみに、なんでリックが背負っているのかというと、じゃんけんで負けたためであ
る。
じゃんけんになったのは……あんまりカッコ良くないスタイルになるため、積極的に
背負いたいものではなかったからである。
「うるさい、お前はユーレイユーレイ泣いてたくせにっ」
「泣いてないわよ! カゴ男っ」
「別に、カゴ男呼ばわりじゃ傷つかないし」
「じゃあ壁がお友達の独り言王子っ!」
「人をネクラみたいに言うなっ」
あっと言う間に、やいのやいの、と言い合いが始まる。
二人と知り合ってから、何度目になることか。
最近ではおなじみになりつつある光景である。
おなじみになりつつあるが……だからって放っておくのもいけないことのような気が
するヴァネッサである。
だいいち、今は「香草摘み」という大事な作業を目の前にしているのだ。
「二人とも、やめて」
しかし、ヴァネッサの声は届かない。
二人は相変わらず言い合っている。
「放っておけ」
ラズロは関わるだけ時間の無駄、とばかり、さっさと畑の中に踏み込んでいった。
「でも……」
困り顔で二人を見ていると、アベルがポンと肩を叩いてきた。
「大丈夫だって、本気でお互いが嫌いでケンカになってるわけじゃないから、よく言
うだろ、ケンカするほど仲が良いって」
「う、うん……」
それは、ヴァネッサだってわかってはいるのだが。
「そのうちケロッとしていつも通りになってるって。んじゃ、ちゃっちゃと終わらせ
ようぜ」
そう言うと、アベルはラズロに続いて畑に入っていった。
ヴァネッサは、畑に入る前、ぐるりと辺りを見回してみた。
――ワムの言っていた『白くてぼんやりしたもの』は、今のところ見当たらなかっ
た。
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NPC:ラズロ リリア リック
場所:エドランス国 香草の畑
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「うわぁ……」
香草畑に到着しての第一声は、感嘆の声だった。
田舎育ちのアベルとヴァネッサにとっては、畑など見慣れたものだったが、それで
も、その風景には感激させられた。
山のなだらかな斜面に作られた広々とした畑に、背の低い香草が生い茂っている。
「広ーい! すっごーい!」
リリアはきゃいきゃいとはしゃぎ、
「ここまでの広さを開墾したのか」
ラズロはその労力と苦労に思いをはせ、
「あ……雑草、生えてるね」
「だいぶ草むしりしてないな、こりゃ」
「幽霊騒ぎのせいで、手入れもままならないんだろ」
他の三人は、畑の状態について会話をしていた。
「って、無駄話している場合じゃないぞ。早いところ摘み取って戻ろう」
リックが作業開始を促すと、
「リック、そのカッコ恥ずかしいから、早く終わらせたいんでしょー」
リリアがにたりと笑う。
ちょっとだけ図星だったらしく、リックが「う……」と呟いた。
リックは、大きなカゴを背負っている。
今回は、このカゴ一杯になるまで摘み取る予定である。
ちなみに、なんでリックが背負っているのかというと、じゃんけんで負けたためであ
る。
じゃんけんになったのは……あんまりカッコ良くないスタイルになるため、積極的に
背負いたいものではなかったからである。
「うるさい、お前はユーレイユーレイ泣いてたくせにっ」
「泣いてないわよ! カゴ男っ」
「別に、カゴ男呼ばわりじゃ傷つかないし」
「じゃあ壁がお友達の独り言王子っ!」
「人をネクラみたいに言うなっ」
あっと言う間に、やいのやいの、と言い合いが始まる。
二人と知り合ってから、何度目になることか。
最近ではおなじみになりつつある光景である。
おなじみになりつつあるが……だからって放っておくのもいけないことのような気が
するヴァネッサである。
だいいち、今は「香草摘み」という大事な作業を目の前にしているのだ。
「二人とも、やめて」
しかし、ヴァネッサの声は届かない。
二人は相変わらず言い合っている。
「放っておけ」
ラズロは関わるだけ時間の無駄、とばかり、さっさと畑の中に踏み込んでいった。
「でも……」
困り顔で二人を見ていると、アベルがポンと肩を叩いてきた。
「大丈夫だって、本気でお互いが嫌いでケンカになってるわけじゃないから、よく言
うだろ、ケンカするほど仲が良いって」
「う、うん……」
それは、ヴァネッサだってわかってはいるのだが。
「そのうちケロッとしていつも通りになってるって。んじゃ、ちゃっちゃと終わらせ
ようぜ」
そう言うと、アベルはラズロに続いて畑に入っていった。
ヴァネッサは、畑に入る前、ぐるりと辺りを見回してみた。
――ワムの言っていた『白くてぼんやりしたもの』は、今のところ見当たらなかっ
た。
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