PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ラズロ リリア リック ワム
場所:エドランス国 ウサギ型眷属の村
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さて……」
本を片手に持ち替え、ワムはロッキングチェアから体を起こす。
「君達はこれからどうするつもりだね。すぐ香草の採取に行くのか?」
「いえ、昼食を済ませてから行こうと思っています」
ラズロが律儀な口調で答えると、ワムはアゴに手をおいた。
「うむ。それが良い。実を言うと、なるべく調子の良い状態で行ってもらいたいの
だ」
「……どういう意味でしょう?」
ヴァネッサは思わず尋ねていた。
香草の採取は、そんなに過酷な作業だろうか。
「いや、説明もなしにすまない」
ワムは、片手をそっと上げた。
「実は、最近、どうも香草の畑が荒らされているようなのだ。今のところ、たいした
被害は出ていないし、村人の誰かが危害を加えられた話もないから、様子を見ている
のだが……もしかしたら、何かに出くわす……ということも考えられるのでな」
その口ぶりに、リックは何かピンときたらしい。
「あ、もしかして、調味料が届いてない、っていうのは……」
リックの言葉に、ワムは頷く。
「……そういうことだ。以前のように作業に集中できんのでな、村で使う分はなんと
か確保できたのだが、他へまわす分が少し足らなくなってしまったのだ」
(それで、女将さんは自分で取りに来ようとしてたのかな?)
ヴァネッサは、ふと、そんなことを思った。
「犯人の目星はついているのですか?」
ラズロが尋ねると、ワムは悩むような素振りを見せた。
「村の者が、それらしいものを見た、と言っていたんだが……」
「それなら、手がかりになりますよね。教えてください」
「う、ううむ……」
ラズロの言葉に、ワムは言いよどんだ。
「どうしたんですか?」
「手がかり、と言えるかどうか……」
「目撃されているのなら、有力な証拠だと思いますけど」
しばらくワムは黙りこみ……それから、ぽつん、と呟いた。
「何か、白くてぼんやりしたものが畑の周りを回っていたらしい」
「そ、それって幽霊っ?」
リリアがビクッと震え、ヴァネッサにしがみつく。
「怖いのか?」
「あったりまえじゃない!」
アベルの問いかけに、リリアは威嚇する猫のごとき態度で答える。
「ふーん。幽霊なんて、だいたいは何かの間違いなんだろ。かーちゃんが言ってた
ぜ。怖がってると、何でも幽霊に見える、って」
「怖いものは怖いの! あんまり幽霊の話しないでよバカ!」
うっすらと涙すら浮かべ始めたリリアに、アベルは「へーい」と返事をし、それから
アクビをした。
「でもさ、まだ幽霊って決まったわけじゃないだろ。そんなにビクビクしなくたって
大丈夫だって」
リックがなだめているが、リリアはすねて答えない。
(幽霊、かぁ……。本当なのかなぁ。幽霊だとしたら、何のために畑を荒らすのかし
ら……?)
リリアにぎゅうっとしがみつかれながら、ヴァネッサはぼんやりとその点に思いをは
せていた。
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NPC:ラズロ リリア リック ワム
場所:エドランス国 ウサギ型眷属の村
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「さて……」
本を片手に持ち替え、ワムはロッキングチェアから体を起こす。
「君達はこれからどうするつもりだね。すぐ香草の採取に行くのか?」
「いえ、昼食を済ませてから行こうと思っています」
ラズロが律儀な口調で答えると、ワムはアゴに手をおいた。
「うむ。それが良い。実を言うと、なるべく調子の良い状態で行ってもらいたいの
だ」
「……どういう意味でしょう?」
ヴァネッサは思わず尋ねていた。
香草の採取は、そんなに過酷な作業だろうか。
「いや、説明もなしにすまない」
ワムは、片手をそっと上げた。
「実は、最近、どうも香草の畑が荒らされているようなのだ。今のところ、たいした
被害は出ていないし、村人の誰かが危害を加えられた話もないから、様子を見ている
のだが……もしかしたら、何かに出くわす……ということも考えられるのでな」
その口ぶりに、リックは何かピンときたらしい。
「あ、もしかして、調味料が届いてない、っていうのは……」
リックの言葉に、ワムは頷く。
「……そういうことだ。以前のように作業に集中できんのでな、村で使う分はなんと
か確保できたのだが、他へまわす分が少し足らなくなってしまったのだ」
(それで、女将さんは自分で取りに来ようとしてたのかな?)
ヴァネッサは、ふと、そんなことを思った。
「犯人の目星はついているのですか?」
ラズロが尋ねると、ワムは悩むような素振りを見せた。
「村の者が、それらしいものを見た、と言っていたんだが……」
「それなら、手がかりになりますよね。教えてください」
「う、ううむ……」
ラズロの言葉に、ワムは言いよどんだ。
「どうしたんですか?」
「手がかり、と言えるかどうか……」
「目撃されているのなら、有力な証拠だと思いますけど」
しばらくワムは黙りこみ……それから、ぽつん、と呟いた。
「何か、白くてぼんやりしたものが畑の周りを回っていたらしい」
「そ、それって幽霊っ?」
リリアがビクッと震え、ヴァネッサにしがみつく。
「怖いのか?」
「あったりまえじゃない!」
アベルの問いかけに、リリアは威嚇する猫のごとき態度で答える。
「ふーん。幽霊なんて、だいたいは何かの間違いなんだろ。かーちゃんが言ってた
ぜ。怖がってると、何でも幽霊に見える、って」
「怖いものは怖いの! あんまり幽霊の話しないでよバカ!」
うっすらと涙すら浮かべ始めたリリアに、アベルは「へーい」と返事をし、それから
アクビをした。
「でもさ、まだ幽霊って決まったわけじゃないだろ。そんなにビクビクしなくたって
大丈夫だって」
リックがなだめているが、リリアはすねて答えない。
(幽霊、かぁ……。本当なのかなぁ。幽霊だとしたら、何のために畑を荒らすのかし
ら……?)
リリアにぎゅうっとしがみつかれながら、ヴァネッサはぼんやりとその点に思いをは
せていた。
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