PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ウサギの女将 ラズロ リリア リック
場所:エドランス国 せせらぎ亭
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ、アベル君おかえり……?」
アベルにヴァネッサが声をかけ終わるより先に、ドタドタと後から人が続いた。
一人はラズロ。
実技に入り始めてから一緒に帰ってくる事が多くなっているので、これはいつも
の事。
「お、ヴァネッサー。」
「おしゃましまーす。」
いつもと違うのはリリアとリックがついてきているところだった。
もちろんこの一月あまり、幾度かここに顔を出した事はあるが、基本的に昼間だ
けで、姉弟が忙しそうにしている夜の営業の邪魔にならなようにしていた。
いまは営業時間にはまだ早いが、ゆっくりしていくというには開店準備を考える
と適当とはいえないだろう。
「え、どうしたの?」
こんな時間に来るぐらいだし、なにかあったのかときをまわす義姉にアベルは説
明しようとして、女将とヴァネッサが何か話中だったことを思い出した。
「えーと、いやこっちは後でもいいんだけど、そっちこそなにかあったの?」
あ、と思い出したように女将を見てまたリリアとリックを見るヴァネッサ。
この時間女将は料理の仕込みの最終調整で厨房にいるのが普通。
アベルならずとも何かの話の最中である事はすぐにわかるところである。
当然、リリアとリックもそれを察してうなづく。
「あ、あのね実は……。」
さりげなく女将が進めた席に全員が腰をおとすのをまって、調味料調達の事を話
した。
「ふむ、一日って事は日帰りか一泊ぐらいか。どういうことすればいいのですか?」
ラズロが女将に聞いた。
けっして砕けてきたとはいいがたいが、最近のラズロはここに来たころにあった
壁を意識してかどうか取り払いつつあるようだった。
そんなラズロに女将は笑顔でうなづいた。
「そうそうそう。調味料は翌日のお昼ぐらいまでに間に合えばいいから無理に夜に
強行するより、一晩休んで戻ってくれればいいわ。」
それで調味料の集めかたなんだけど、と女将の話によれば、要は香草を採取する
と言うことだった。
本当ならちゃんと仕入れ問屋に卸してもらっているのだが、手違いで次のが入っ
ていないため、店を一日休みにして自分でとりに行こうとしていたのだった。
「ね、お世話になってるんだし、わたしたちでなんとかできないかな?」
ヴァネッサはアベルに懇願するようにいってみた。
もしアベルが断れば、さすがに自分ひとりでは荷が重い。
しかし、意外とあっさりアベルはうなづいた。
「運、いいんじゃないかな、な、ラズロ?」
「たしかに、手始めには手ごろなクエストだろう。」
ラズロが無愛想ながらアベルに同意する。
するとなぜか、リリアとリックもなぜか頷いて賛同の意を表した。
「え?え?えーと、ラズロはともかくリリアとリックは??」
そういえば二人は何をしにきたんだっけ、とヴァネッサは疑問で混乱した。
「ふふふ、あのね、実はさっきまで先生のところにクエスト挑戦の申請してたの
よ。」
リリアがうれしそうに答えた。
ようやく一通りの第一段階取得がすんだこともあり、そろそろPTを組んでクエス
トにでても良いころだろうと、担任に申請の仕方を終わりながら手続きしていのだ。
実践主義のアカデミーは、クエストでのポイントもちゃんと考慮される。
そのため、もともと冒険者として実力のあるものなら、あっという間に修士を取
得できたりするのも珍しくない。
もっともそういう連中は資格よりも、アカデミーでしか学べない事に興味があっ
てわざわざ入学してくるので、資格取得後も席を残したままというのがほとんどら
しい。
話がそれたが、つまり――言いだしっぺはリックだった――かれらもそろそろポ
イントを稼ぎつつ経験もつもうという話だったのだ。
それで今日は簡単にヴァネッサに話しを通しておいて明日あたりから構内ギルド
でクエストを物色する予定だったのだ。
「こういう自分で請けた仕事でも実際に取り掛かる前に申告しとけ、跡で結果に応
じて評価してくれるらしいし、取りあえずの肩ならしにはいいんじゃない?」
リリアもリックも低ランクとはいえ、冒険者からの入学者だ。
それなりの経験もあるが、なんといってもPTとして組むのは初めての面子。
一泊で、調味材用香草探しなら実地訓練としては手ごろに思えた。
「まあまあまあ、みんなでいってくれるの? じゃあお腹へるでしょうから……。」
「おーっと、訓練もかねてんだ食料は現地調達にしようぜ。」
リックの提案に女将は手をパムと打ち、
「あらあらあら、でもお昼の用意くらいはいいわよね。 それに返ってきたらお腹
ペコペコでしょうからおいしいもの作って待ってるわ。」
それにはアベルがうれしそうに頷いた。
「報酬(ご馳走)まであるんだし、ヴァネッサもいいだろ?」
「え、ええ。もともと私からお願いのつもりだったし。」
いずれにせよ、これは楽しみだ、と子供たちの目が輝きだしたのを見て、女将さん
もうれしそうに目を細めた。
――――――――――――――――
――――――――――――――――
NPC:ウサギの女将 ラズロ リリア リック
場所:エドランス国 せせらぎ亭
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ、アベル君おかえり……?」
アベルにヴァネッサが声をかけ終わるより先に、ドタドタと後から人が続いた。
一人はラズロ。
実技に入り始めてから一緒に帰ってくる事が多くなっているので、これはいつも
の事。
「お、ヴァネッサー。」
「おしゃましまーす。」
いつもと違うのはリリアとリックがついてきているところだった。
もちろんこの一月あまり、幾度かここに顔を出した事はあるが、基本的に昼間だ
けで、姉弟が忙しそうにしている夜の営業の邪魔にならなようにしていた。
いまは営業時間にはまだ早いが、ゆっくりしていくというには開店準備を考える
と適当とはいえないだろう。
「え、どうしたの?」
こんな時間に来るぐらいだし、なにかあったのかときをまわす義姉にアベルは説
明しようとして、女将とヴァネッサが何か話中だったことを思い出した。
「えーと、いやこっちは後でもいいんだけど、そっちこそなにかあったの?」
あ、と思い出したように女将を見てまたリリアとリックを見るヴァネッサ。
この時間女将は料理の仕込みの最終調整で厨房にいるのが普通。
アベルならずとも何かの話の最中である事はすぐにわかるところである。
当然、リリアとリックもそれを察してうなづく。
「あ、あのね実は……。」
さりげなく女将が進めた席に全員が腰をおとすのをまって、調味料調達の事を話
した。
「ふむ、一日って事は日帰りか一泊ぐらいか。どういうことすればいいのですか?」
ラズロが女将に聞いた。
けっして砕けてきたとはいいがたいが、最近のラズロはここに来たころにあった
壁を意識してかどうか取り払いつつあるようだった。
そんなラズロに女将は笑顔でうなづいた。
「そうそうそう。調味料は翌日のお昼ぐらいまでに間に合えばいいから無理に夜に
強行するより、一晩休んで戻ってくれればいいわ。」
それで調味料の集めかたなんだけど、と女将の話によれば、要は香草を採取する
と言うことだった。
本当ならちゃんと仕入れ問屋に卸してもらっているのだが、手違いで次のが入っ
ていないため、店を一日休みにして自分でとりに行こうとしていたのだった。
「ね、お世話になってるんだし、わたしたちでなんとかできないかな?」
ヴァネッサはアベルに懇願するようにいってみた。
もしアベルが断れば、さすがに自分ひとりでは荷が重い。
しかし、意外とあっさりアベルはうなづいた。
「運、いいんじゃないかな、な、ラズロ?」
「たしかに、手始めには手ごろなクエストだろう。」
ラズロが無愛想ながらアベルに同意する。
するとなぜか、リリアとリックもなぜか頷いて賛同の意を表した。
「え?え?えーと、ラズロはともかくリリアとリックは??」
そういえば二人は何をしにきたんだっけ、とヴァネッサは疑問で混乱した。
「ふふふ、あのね、実はさっきまで先生のところにクエスト挑戦の申請してたの
よ。」
リリアがうれしそうに答えた。
ようやく一通りの第一段階取得がすんだこともあり、そろそろPTを組んでクエス
トにでても良いころだろうと、担任に申請の仕方を終わりながら手続きしていのだ。
実践主義のアカデミーは、クエストでのポイントもちゃんと考慮される。
そのため、もともと冒険者として実力のあるものなら、あっという間に修士を取
得できたりするのも珍しくない。
もっともそういう連中は資格よりも、アカデミーでしか学べない事に興味があっ
てわざわざ入学してくるので、資格取得後も席を残したままというのがほとんどら
しい。
話がそれたが、つまり――言いだしっぺはリックだった――かれらもそろそろポ
イントを稼ぎつつ経験もつもうという話だったのだ。
それで今日は簡単にヴァネッサに話しを通しておいて明日あたりから構内ギルド
でクエストを物色する予定だったのだ。
「こういう自分で請けた仕事でも実際に取り掛かる前に申告しとけ、跡で結果に応
じて評価してくれるらしいし、取りあえずの肩ならしにはいいんじゃない?」
リリアもリックも低ランクとはいえ、冒険者からの入学者だ。
それなりの経験もあるが、なんといってもPTとして組むのは初めての面子。
一泊で、調味材用香草探しなら実地訓練としては手ごろに思えた。
「まあまあまあ、みんなでいってくれるの? じゃあお腹へるでしょうから……。」
「おーっと、訓練もかねてんだ食料は現地調達にしようぜ。」
リックの提案に女将は手をパムと打ち、
「あらあらあら、でもお昼の用意くらいはいいわよね。 それに返ってきたらお腹
ペコペコでしょうからおいしいもの作って待ってるわ。」
それにはアベルがうれしそうに頷いた。
「報酬(ご馳走)まであるんだし、ヴァネッサもいいだろ?」
「え、ええ。もともと私からお願いのつもりだったし。」
いずれにせよ、これは楽しみだ、と子供たちの目が輝きだしたのを見て、女将さん
もうれしそうに目を細めた。
――――――――――――――――
――――――――――――――――
PR
トラックバック
トラックバックURL: