PC:アベル ヴァネッサ
NPC:リリア リック ダイス
場所:エドランス国 アカデミー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
食堂、図書館と見てきて、校舎の外に出たついでにとアカデミーの敷地内で
校舎の外にある図書館のように独立した施設を見て歩いた。
「あとで回るけど、校内にもギルドがメインで出資した店があってそっちは、
例によって出世払いがきくんだけど、外の別棟でたてられた店は普通の店だ
から現金払いだから気をつけてね。」
いちいち中に入って品揃えを確認するところまではしなかったが、リリア
の話によれば、校内にくらべると上質のものやレアものが取り揃えてあると
のことで、外からの客も多いという。
武器・防具・道具とそれぞれエリアごとに店を連ね、街中のメインストリ
ートと人気を二分する商店街として、旅人、特に冒険者を自認するものには
有名だという。
ただ、出世払いがきかなだけに修士以下の生徒はまず利用することはない
そうで、リリアもリックもこっちにはあまりこないようだった。
商店街を話しながら抜け、ぐるりと表に回って再び校内にあるきだす。
「こっちにいくと別棟があって修士以上のための教室があるんだ。」
リリアが歩きながら指し示したのは、正面口から入り、今朝方自分たちの
いた教室とは逆方向に進み、さらに手続きの日にきた職員室を過ぎた先にあ
る分岐路の先だった。
「あ、教室って時々出てくるあの?」
「そ、ヴァネッサの思ってるやつ。」
ヴァネッサの質問に、心持先輩の威厳を込めてリリアが答える。
「修士以上になると私たちが今やってるみたいなクラス分けで、基本授業を
一ならびに受けたりはしなくなって、より専門性の高い事を選択して学び研
究していく。 だから同じ事でも思想や方向性が違えば別の教室になったり
して、ある種独立した研究機関みたいになってるところもあるのよ。」
食堂の料理人を始め、アカデミー内の様々な部署で実地研修として生徒が
参加しているわけだが、そこで提供される技術や料理はそういった教室で研
究開発されたものなのだ。
それは市場に出ていないものが多く、アカデミーでしかお目にかかれない
者がほとんどなため、それを目当てに一般人が訪れるのは珍しいことではな
いのだ。
「俺ら授業の中で剣や魔法を学ぶだろ? そこの先生も教室もってたり所属
してたりするから、基礎以上も追求したかったら、教室に行けばいいのさ。」
「へー、道場みたいだなぁ。」
リックの話にアベルがなんとなく連想できたのは、出稽古にきた剣士に感銘
を受けて道場まで追いかけて弟子入りしたという、昔実家の宿に来た冒険者の
戦士から聞いた話だった。
「ま、今の俺たちのレベルじゃあまり関係ないけど。」
そういうリックもリリアも少し照れ笑いぎみだった。
たしかに、修士どころか、一階生でまごついている身でははるか先の話であ
る。
「まあまあ、そっちはともかく、こっちはすぐにでも知っとくべきだよね。」
話を変えてというよりも、初めからそこが目的地だったのだろう、とってお
きを自慢する子供の笑顔でリリアはもう一つの道を先導して進む。
廊下を進むと程なく開けたところに出た。
そこは様々な装備に身を包んだ人目で一般人でないとわかる者たちであふれ
ていた。
「ここがアカデミー併設のギルド・エドランス支部よ。」
周知のとおり、アカデミーはそのままギルドとしての側面を備えているのだ
が、会員に仕事を斡旋したり情報を提供したりするという一番一般的な業務を
行うには、やはりそれ専用の窓口が必要になる。
まして、ギルド業務それ自体はアカデミーとは関係ないもの達も活用するも
のである。
「そういうわけで、ちゃんと外にも出入り口あるから、本当は正面口から入ら
なくてもいいんだけど、私たちは校内から行き来することが多いから、この道
知らないと大変なのよ。」
「そんなに通うの?」
「もー、ヴァネッサ達も研究志望じゃなくて、冒険者志望でしょ? ここで依
頼をうけたりするのよ。」
そういってリリアの指し示した一角には掲示板があり、そこには様々な依頼
や告知の紙がはられていた。
見ていると、そこで気に入った依頼や告知を見つけると、受付に言って詳し
い話をしてもらうという流れのようだ。
「ふーん、あれをもっていけばいいのか。」
リックがそんなアベルの肩を叩いて首を振る。
「俺たちはあんなふうに依頼をえり好みできるレベルじゃないから、あそこの
受付で、身の丈にあったものを選んでもらうのさ。」
「そうなのか? ん? リック達はもうやったことがあるのか?」
「ああ、っても二度だけだけどな。」
「へー、すごいなぁ。」
アベルは素直に感心したが、リリアがおかしそうに笑う。
「たいしたことないのよ。単なる配達よ。」
距離が近くても一般人にとって街の外は安全とはいえない。
見知らぬ旅人に頼むのは安心できない。
そういった事情から、配達の仕事は割りと良くギルドに持ち込まれる。
冒険者を名乗る以上、未熟とはいえ簡単な仕事である配達の仕事は生徒に優
先的にまわされることが多いのだが、これも立派な仕事なのだ。
なにより、信用をつけるにはうってつけでもある。
「なーんていっても、大げさに冒険って言うほど出ないのは確かだけどな。」
肩をすくめるリックに、しかしアベルはうらやましく思っていた。
たとえ小さくても、「仕事」をこなしたのだから。
「お、リトル・ラックじゃないか、今日は仕事探しか?」
通用口のところで固まって話していたら、紙の束を持った男が声をかけてき
た。
ギルドの職員で、アカデミーから生徒のデータをもらってきた所だという。
「それとも買い物か?」
先にいわれたー、とリリアがつまらなそうにふくれる。
「もう、ダイスさんはいつも間が悪いんだから。 今から案内するところなの
に。」
「え? そいつは悪かったな。」
ここがつまりギルドがだしているという店でもあるのだ。
ここでは基本的な装備が購入でき、それの料金は先払いというアカデミーの
システムが使えるため、仕事探しよりもむしろその買い物で通うことが多いと
言う。
しかしアベルはそんなことよりも気になることがあった。
「なあ、リトル・ラックってリックのこと?」
「え? あ、ああ、まあそんなかんじかな?」
アベルとしては二つ名(というより単なるあだ名程度なのだが)をもっている
リックに、素直に驚いただけなのだが、なぜかリックの反応はいまいちだった。
むしろ、あまりそれには触れないでほしいかのような。
そこら辺の事情はリリアも良く知らないらしく肩をすくめて、
「なんでかリックはあまり気に入ってないみたいなんだよね。」
「あのなー、運だけみたいにいわれて喜ぶ奴はいないって。」
「はいはい、そういうことにしときましょ。」
なんとなくいわれ方が気に入らないってのとは違う気がしたが、アベルにし
てもそこまで深く追求するつもりはなかった。
リリアとリックが言い合うのを笑ってみていたダイスは、アベルとヴァネッ
サに、
「こいつらは一階生の中でも場慣れしてるほうだし、仲間するならお勧めだ。」
そういって肩を叩くと「がんばれよ。」と言い残して離れていった。
NPC:リリア リック ダイス
場所:エドランス国 アカデミー
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食堂、図書館と見てきて、校舎の外に出たついでにとアカデミーの敷地内で
校舎の外にある図書館のように独立した施設を見て歩いた。
「あとで回るけど、校内にもギルドがメインで出資した店があってそっちは、
例によって出世払いがきくんだけど、外の別棟でたてられた店は普通の店だ
から現金払いだから気をつけてね。」
いちいち中に入って品揃えを確認するところまではしなかったが、リリア
の話によれば、校内にくらべると上質のものやレアものが取り揃えてあると
のことで、外からの客も多いという。
武器・防具・道具とそれぞれエリアごとに店を連ね、街中のメインストリ
ートと人気を二分する商店街として、旅人、特に冒険者を自認するものには
有名だという。
ただ、出世払いがきかなだけに修士以下の生徒はまず利用することはない
そうで、リリアもリックもこっちにはあまりこないようだった。
商店街を話しながら抜け、ぐるりと表に回って再び校内にあるきだす。
「こっちにいくと別棟があって修士以上のための教室があるんだ。」
リリアが歩きながら指し示したのは、正面口から入り、今朝方自分たちの
いた教室とは逆方向に進み、さらに手続きの日にきた職員室を過ぎた先にあ
る分岐路の先だった。
「あ、教室って時々出てくるあの?」
「そ、ヴァネッサの思ってるやつ。」
ヴァネッサの質問に、心持先輩の威厳を込めてリリアが答える。
「修士以上になると私たちが今やってるみたいなクラス分けで、基本授業を
一ならびに受けたりはしなくなって、より専門性の高い事を選択して学び研
究していく。 だから同じ事でも思想や方向性が違えば別の教室になったり
して、ある種独立した研究機関みたいになってるところもあるのよ。」
食堂の料理人を始め、アカデミー内の様々な部署で実地研修として生徒が
参加しているわけだが、そこで提供される技術や料理はそういった教室で研
究開発されたものなのだ。
それは市場に出ていないものが多く、アカデミーでしかお目にかかれない
者がほとんどなため、それを目当てに一般人が訪れるのは珍しいことではな
いのだ。
「俺ら授業の中で剣や魔法を学ぶだろ? そこの先生も教室もってたり所属
してたりするから、基礎以上も追求したかったら、教室に行けばいいのさ。」
「へー、道場みたいだなぁ。」
リックの話にアベルがなんとなく連想できたのは、出稽古にきた剣士に感銘
を受けて道場まで追いかけて弟子入りしたという、昔実家の宿に来た冒険者の
戦士から聞いた話だった。
「ま、今の俺たちのレベルじゃあまり関係ないけど。」
そういうリックもリリアも少し照れ笑いぎみだった。
たしかに、修士どころか、一階生でまごついている身でははるか先の話であ
る。
「まあまあ、そっちはともかく、こっちはすぐにでも知っとくべきだよね。」
話を変えてというよりも、初めからそこが目的地だったのだろう、とってお
きを自慢する子供の笑顔でリリアはもう一つの道を先導して進む。
廊下を進むと程なく開けたところに出た。
そこは様々な装備に身を包んだ人目で一般人でないとわかる者たちであふれ
ていた。
「ここがアカデミー併設のギルド・エドランス支部よ。」
周知のとおり、アカデミーはそのままギルドとしての側面を備えているのだ
が、会員に仕事を斡旋したり情報を提供したりするという一番一般的な業務を
行うには、やはりそれ専用の窓口が必要になる。
まして、ギルド業務それ自体はアカデミーとは関係ないもの達も活用するも
のである。
「そういうわけで、ちゃんと外にも出入り口あるから、本当は正面口から入ら
なくてもいいんだけど、私たちは校内から行き来することが多いから、この道
知らないと大変なのよ。」
「そんなに通うの?」
「もー、ヴァネッサ達も研究志望じゃなくて、冒険者志望でしょ? ここで依
頼をうけたりするのよ。」
そういってリリアの指し示した一角には掲示板があり、そこには様々な依頼
や告知の紙がはられていた。
見ていると、そこで気に入った依頼や告知を見つけると、受付に言って詳し
い話をしてもらうという流れのようだ。
「ふーん、あれをもっていけばいいのか。」
リックがそんなアベルの肩を叩いて首を振る。
「俺たちはあんなふうに依頼をえり好みできるレベルじゃないから、あそこの
受付で、身の丈にあったものを選んでもらうのさ。」
「そうなのか? ん? リック達はもうやったことがあるのか?」
「ああ、っても二度だけだけどな。」
「へー、すごいなぁ。」
アベルは素直に感心したが、リリアがおかしそうに笑う。
「たいしたことないのよ。単なる配達よ。」
距離が近くても一般人にとって街の外は安全とはいえない。
見知らぬ旅人に頼むのは安心できない。
そういった事情から、配達の仕事は割りと良くギルドに持ち込まれる。
冒険者を名乗る以上、未熟とはいえ簡単な仕事である配達の仕事は生徒に優
先的にまわされることが多いのだが、これも立派な仕事なのだ。
なにより、信用をつけるにはうってつけでもある。
「なーんていっても、大げさに冒険って言うほど出ないのは確かだけどな。」
肩をすくめるリックに、しかしアベルはうらやましく思っていた。
たとえ小さくても、「仕事」をこなしたのだから。
「お、リトル・ラックじゃないか、今日は仕事探しか?」
通用口のところで固まって話していたら、紙の束を持った男が声をかけてき
た。
ギルドの職員で、アカデミーから生徒のデータをもらってきた所だという。
「それとも買い物か?」
先にいわれたー、とリリアがつまらなそうにふくれる。
「もう、ダイスさんはいつも間が悪いんだから。 今から案内するところなの
に。」
「え? そいつは悪かったな。」
ここがつまりギルドがだしているという店でもあるのだ。
ここでは基本的な装備が購入でき、それの料金は先払いというアカデミーの
システムが使えるため、仕事探しよりもむしろその買い物で通うことが多いと
言う。
しかしアベルはそんなことよりも気になることがあった。
「なあ、リトル・ラックってリックのこと?」
「え? あ、ああ、まあそんなかんじかな?」
アベルとしては二つ名(というより単なるあだ名程度なのだが)をもっている
リックに、素直に驚いただけなのだが、なぜかリックの反応はいまいちだった。
むしろ、あまりそれには触れないでほしいかのような。
そこら辺の事情はリリアも良く知らないらしく肩をすくめて、
「なんでかリックはあまり気に入ってないみたいなんだよね。」
「あのなー、運だけみたいにいわれて喜ぶ奴はいないって。」
「はいはい、そういうことにしときましょ。」
なんとなくいわれ方が気に入らないってのとは違う気がしたが、アベルにし
てもそこまで深く追求するつもりはなかった。
リリアとリックが言い合うのを笑ってみていたダイスは、アベルとヴァネッ
サに、
「こいつらは一階生の中でも場慣れしてるほうだし、仲間するならお勧めだ。」
そういって肩を叩くと「がんばれよ。」と言い残して離れていった。
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