PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ギア ラズロ ウサギの女将さん
場所:エドランス国 せせらぎ亭 アカデミー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからの三日は実に忙しく、そして充実していた。
三人は早速せせらぎ亭の手伝いをしつつ、時間を見ては町をみて歩き、
当面の生活に困らないぐらいの地理を把握した。
ラズロにとっては店の手伝いは初体験なだけに、なかなか苦戦していた
が、すでに生活の一部になっていたアベルとヴァネッサが旨く助けること
で、三日で十分にこなせるようになっていた。
「忘れ物ない?」
いよいよアカデミー初日。
まだこの街にきてから数日しかたってないが、すっかり自分の家のよう
に馴染んだせせらぎ亭の前で、ウサギの女将さんはいつものよう朗らかな
声で子供たちに念を押した。
「え、と・・・・・・大丈夫です。」
言われて素直に持ち物を確認するヴァネッサ。
それをみたアベルは義姉の肩を軽くたたいて、笑いそうになりながら言
った。
「いや、初日じゃ持ち物ってほどの用意もないし。」
この国のアカデミーは冒険者育成を軸にすえるだけに、いわゆる学期制
や年度といった概念がない個人主体のシステムを採っている。
そのため、生徒の入ってくる時期もばらばらで入学式はもちろん、事前
の説明などいちいち行ったりはしない。
そのため初日は用意も何もないので、とりあえず荷物ができた時のサッ
クとメモを取れるようにしとくぐらいしか準備するものはないのだ。
それは女将にもわかっていることだが、定期的に生徒を預かり続けてき
た彼女は、朝の見送りがるとつい言ってしまう癖のようになっていたのだ。
そのことを良く知るギアは、なんとなくほほえましい気分になった。
「でも、弁当は忘れるなよ。お前らはまだ金がないからな。」
これにはアベルが反応し、念のためといいつつサックを確認する。
その中には、紙袋に入れられた女将さん特性のパンにヴァネッサが作っ
た野菜とひき肉を炒めたアンをつめた今日の弁当が収まっていた。
「どうやら良いみたいだな。 それじゃいくか。」
ギアに促され、その後ろを子供たちがついていくのを女将が見送った。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
四日前来たときはもう各自が教室やら実習に出ていた上、事務のほうに
しかカオを出さなかったため思いのほか静かだったのだが、今朝は登校し
てくる生徒・職員があふれていた。
アカデミーが近づくにつれ増える人の群れが、アカデミーの門というに
はひろい敷地を区切る入り口にすいこまれていくさまをみた子供たちは驚
いていた。
この街に着いたときも驚いたが、こう一つのところに人が集中している
光景はさすがに想像を超えていた。
「・・・・・・村人全部集めたって・・・・・・。」
声に出して言おうとして言葉を飲み込んだアベルにヴァネッサも珍しく
呆けたようにうなづくだけだった。
ここでいつもなら皮肉を飛ばすラズロでも威圧されたようになっている
のだから田舎育ちの二人の反応は当然だろう。
またこの「人々」というのがさまざまな国、種族のごちゃ混ぜで、衣装
が違うのは当然で、あきらかに異形の種族も多数見られた。
ウサギの女将が店を出して定住するぐらいだから、ここではそれが日常
なのだ。
「ははは、この朝の光景をある吟遊詩人は『世界の広さを垣間見れる』っ
て唄ったぐらいだからな。ほれ、突っ立ってるとあぶねーぞ、いくぞ。」
ひと笑いしたギアに背中を押された子供たち顔を見合わせると、何かを
期待するようにうなづきあって足を踏み出した。
NPC:ギア ラズロ ウサギの女将さん
場所:エドランス国 せせらぎ亭 アカデミー
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それからの三日は実に忙しく、そして充実していた。
三人は早速せせらぎ亭の手伝いをしつつ、時間を見ては町をみて歩き、
当面の生活に困らないぐらいの地理を把握した。
ラズロにとっては店の手伝いは初体験なだけに、なかなか苦戦していた
が、すでに生活の一部になっていたアベルとヴァネッサが旨く助けること
で、三日で十分にこなせるようになっていた。
「忘れ物ない?」
いよいよアカデミー初日。
まだこの街にきてから数日しかたってないが、すっかり自分の家のよう
に馴染んだせせらぎ亭の前で、ウサギの女将さんはいつものよう朗らかな
声で子供たちに念を押した。
「え、と・・・・・・大丈夫です。」
言われて素直に持ち物を確認するヴァネッサ。
それをみたアベルは義姉の肩を軽くたたいて、笑いそうになりながら言
った。
「いや、初日じゃ持ち物ってほどの用意もないし。」
この国のアカデミーは冒険者育成を軸にすえるだけに、いわゆる学期制
や年度といった概念がない個人主体のシステムを採っている。
そのため、生徒の入ってくる時期もばらばらで入学式はもちろん、事前
の説明などいちいち行ったりはしない。
そのため初日は用意も何もないので、とりあえず荷物ができた時のサッ
クとメモを取れるようにしとくぐらいしか準備するものはないのだ。
それは女将にもわかっていることだが、定期的に生徒を預かり続けてき
た彼女は、朝の見送りがるとつい言ってしまう癖のようになっていたのだ。
そのことを良く知るギアは、なんとなくほほえましい気分になった。
「でも、弁当は忘れるなよ。お前らはまだ金がないからな。」
これにはアベルが反応し、念のためといいつつサックを確認する。
その中には、紙袋に入れられた女将さん特性のパンにヴァネッサが作っ
た野菜とひき肉を炒めたアンをつめた今日の弁当が収まっていた。
「どうやら良いみたいだな。 それじゃいくか。」
ギアに促され、その後ろを子供たちがついていくのを女将が見送った。
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四日前来たときはもう各自が教室やら実習に出ていた上、事務のほうに
しかカオを出さなかったため思いのほか静かだったのだが、今朝は登校し
てくる生徒・職員があふれていた。
アカデミーが近づくにつれ増える人の群れが、アカデミーの門というに
はひろい敷地を区切る入り口にすいこまれていくさまをみた子供たちは驚
いていた。
この街に着いたときも驚いたが、こう一つのところに人が集中している
光景はさすがに想像を超えていた。
「・・・・・・村人全部集めたって・・・・・・。」
声に出して言おうとして言葉を飲み込んだアベルにヴァネッサも珍しく
呆けたようにうなづくだけだった。
ここでいつもなら皮肉を飛ばすラズロでも威圧されたようになっている
のだから田舎育ちの二人の反応は当然だろう。
またこの「人々」というのがさまざまな国、種族のごちゃ混ぜで、衣装
が違うのは当然で、あきらかに異形の種族も多数見られた。
ウサギの女将が店を出して定住するぐらいだから、ここではそれが日常
なのだ。
「ははは、この朝の光景をある吟遊詩人は『世界の広さを垣間見れる』っ
て唄ったぐらいだからな。ほれ、突っ立ってるとあぶねーぞ、いくぞ。」
ひと笑いしたギアに背中を押された子供たち顔を見合わせると、何かを
期待するようにうなづきあって足を踏み出した。
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