PC:アベル ヴァネッサ
NPC:ギア ラズロ 学長
場所:ギルドアカデミー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギアに続いて入った教務室は、少々騒がしい雰囲気だった。
それというのも、結構な人数の教官がいたためである。わいわいがやがやと熱っぽく
話をしている者もいれば、自分の机で書類書きをしたり書類のチェックをしていたり
する者もいる。
ギアは、そんな中を、てくてくと一番奥の机に向かって歩いていく。その後を、三人
がついていく。
(……アヒルの親子みたい……)
そんな自分たちの状態を指して、ヴァネッサはそんなことをちょっと思った。
一番奥の机には、高齢の女性がいた。柔らかな毛質の白髪を頭の後ろでまとめ、丸メ
ガネをかけた、物静かな雰囲気の女性である。
「失礼します、学長」
その女性を前に、ギアは緊張した面持ちで背すじをピンと伸ばした。
「久しぶりですね、ギア」
優しく微笑みながら女性が発した言葉は、静かな響きを持っていた。
(えぇと、学長っていうと……)
ヴァネッサは少し考えた。
学長というのは、アカデミーの中で一体どんな役割をしているのだろうか。
考え込んでいる様子に気付くと、女性はヴァネッサに微笑みかけてきた。
「わたくしは、アカデミーの教官達をまとめる役をしているのですよ」
それから、隣にいるアベルとラズロに視線を一巡させ、
「こちらが、今回入学を希望しているという子達ですね?」
「ヴァネッサです」
ぺこり、とヴァネッサは頭を下げた。
一番年上の自分が、一番最初に名乗るのが良いと思ったのである。
「アベルです」
二番目に名乗ったのはアベル。
「ラズロ=ブライ=アルトゥール=オーベンスです」
――アベルとヴァネッサは、ほぼ同時に、ラズロを見た。
「……お前、そんな長ったらしい名前だったの?」
アベルの言葉は、まさしくヴァネッサの内心そのものだった。
「悪いか」
ラズロは少しばかりムッとした表情を浮かべ、
「いんや、別に」
対するアベルは、軽く上げた手の先をちょいちょいと左右に動かして、「気にすん
な」と伝えた。
「魔法を専門に学ぶというのは、貴方ね。それで、男の子二人は剣術を、と」
書類をめくりながら、学長は何やら呟いては三人の様子を見たりしている。
彼女なりの審査のようなことをしているらしい。
「わかりました。貴方達をギルドアカデミー生徒として受け入れます」
学長は、優しげだが、どこか凛とした眼差しを三人に向けた。
やる気が満ちてくる……というのだろうか、ヴァネッサは何だかカァッと高揚してく
るのを感じた。
「その……がんばりますっ」
思わずそんなことを口走り、ハッと気付いた時には既に遅し。
ヴァネッサに、教務室にいる教官達の視線が集中していた。
(うう……)
「気にすんなって、大丈夫だから」
アベルが肩を叩くものの、あちこちからクスクスという笑い声が聞こえ、赤くなって
うなだれるばかりである。
学長は最初、ほんの少し目を丸くしていたが……やがて目元を緩めた。
嘲笑するようなものではなく、微笑ましいものを見るような、そんな感じである。
「そうそう、担当する教官に紹介をしなくてはいけませんね。ついてらっしゃい」
言うと、学長はゆったりした動きで椅子を離れた。
NPC:ギア ラズロ 学長
場所:ギルドアカデミー
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ギアに続いて入った教務室は、少々騒がしい雰囲気だった。
それというのも、結構な人数の教官がいたためである。わいわいがやがやと熱っぽく
話をしている者もいれば、自分の机で書類書きをしたり書類のチェックをしていたり
する者もいる。
ギアは、そんな中を、てくてくと一番奥の机に向かって歩いていく。その後を、三人
がついていく。
(……アヒルの親子みたい……)
そんな自分たちの状態を指して、ヴァネッサはそんなことをちょっと思った。
一番奥の机には、高齢の女性がいた。柔らかな毛質の白髪を頭の後ろでまとめ、丸メ
ガネをかけた、物静かな雰囲気の女性である。
「失礼します、学長」
その女性を前に、ギアは緊張した面持ちで背すじをピンと伸ばした。
「久しぶりですね、ギア」
優しく微笑みながら女性が発した言葉は、静かな響きを持っていた。
(えぇと、学長っていうと……)
ヴァネッサは少し考えた。
学長というのは、アカデミーの中で一体どんな役割をしているのだろうか。
考え込んでいる様子に気付くと、女性はヴァネッサに微笑みかけてきた。
「わたくしは、アカデミーの教官達をまとめる役をしているのですよ」
それから、隣にいるアベルとラズロに視線を一巡させ、
「こちらが、今回入学を希望しているという子達ですね?」
「ヴァネッサです」
ぺこり、とヴァネッサは頭を下げた。
一番年上の自分が、一番最初に名乗るのが良いと思ったのである。
「アベルです」
二番目に名乗ったのはアベル。
「ラズロ=ブライ=アルトゥール=オーベンスです」
――アベルとヴァネッサは、ほぼ同時に、ラズロを見た。
「……お前、そんな長ったらしい名前だったの?」
アベルの言葉は、まさしくヴァネッサの内心そのものだった。
「悪いか」
ラズロは少しばかりムッとした表情を浮かべ、
「いんや、別に」
対するアベルは、軽く上げた手の先をちょいちょいと左右に動かして、「気にすん
な」と伝えた。
「魔法を専門に学ぶというのは、貴方ね。それで、男の子二人は剣術を、と」
書類をめくりながら、学長は何やら呟いては三人の様子を見たりしている。
彼女なりの審査のようなことをしているらしい。
「わかりました。貴方達をギルドアカデミー生徒として受け入れます」
学長は、優しげだが、どこか凛とした眼差しを三人に向けた。
やる気が満ちてくる……というのだろうか、ヴァネッサは何だかカァッと高揚してく
るのを感じた。
「その……がんばりますっ」
思わずそんなことを口走り、ハッと気付いた時には既に遅し。
ヴァネッサに、教務室にいる教官達の視線が集中していた。
(うう……)
「気にすんなって、大丈夫だから」
アベルが肩を叩くものの、あちこちからクスクスという笑い声が聞こえ、赤くなって
うなだれるばかりである。
学長は最初、ほんの少し目を丸くしていたが……やがて目元を緩めた。
嘲笑するようなものではなく、微笑ましいものを見るような、そんな感じである。
「そうそう、担当する教官に紹介をしなくてはいけませんね。ついてらっしゃい」
言うと、学長はゆったりした動きで椅子を離れた。
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