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2025/03/10 07:48 |
立金花の咲く場所(トコロ) 21/ヴァネッサ(周防松)
PC:アベル ヴァネッサ 
NPC:ギア ラズロ 
場所:ギルドアカデミー前

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

せせらぎ亭前のやや細い通りは、しばらく歩くと、ギルドアカデミーへと続く道に出
る。
それは、やたらと道幅の広い通りだった。
田舎の狭い一本道にしか慣れていないアベルとヴァネッサは、正直、通りの右側を歩
けばいいのか、左側を歩けばいいのか、それとも真ん中を歩けばいいのか、さっぱり
分からなかった。
「アベル君……」
「何」
「道、広いね」
「だな」
緊張をほぐすためか、戸惑い気味に、ぎこちなく会話を交わしながら、二人はギアと
ラズロの後をついていく。
ギアはもともとここで長年生活していたわけだし、ラズロは……おそらくこういった
大都市に慣れているのだろう。
過去のことや自分のことを一切話さないから、あくまでも憶測だが。
「アベル君」
「何」
「人、いっぱいいるね……」
「だな」

改めて、ギサガ村との違いを体感している二人だった。


「はい、ご到着、と」
ギアがそう言って足を止めたのは、巨大な石造りの門の前だった。
門はアーチ状になっており、上の丸い部分には金色の縁取りが施された赤い宝石のよ
うなものが埋めこまれている。
「ところでお二人さん、道、覚えられたか?」
「えぇっ……」
ヴァネッサは、うろたえた声を上げた。
頭が空っぽだったのか、それともいっぱいいっぱいだったのか、ここまでの道中さっ
ぱり覚えがない。
ただひたすら、ギアとラズロを見失わないようにとついてきただけなのである。
ちら、と隣のアベルに救いを求めるかのように視線を向けると、
「わりぃ。俺もさっぱり覚えてねぇ」
彼は難しい顔をして腕組みをしていた。
「……ラズロ、お前は?」
「覚えています」
ラズロの返答に、二人は「おぉ~っ」「わぁ……」と揃って感心した声を上げる。
「ラズロ、しばらく二人の道案内してやれ」
「はい、先生」
ラズロは、相変わらずのすました顔で短く返答した。

門をくぐると、白壁の巨大な建物が現れた。
どうやら、これがギルドアカデミーの校舎らしい。
「うわっ、でっけぇ……」
見ればわかるようなことを、アベルが呟いた。
(なんだか、迷子になりそう……)
隣で校舎を見上げながら、ヴァネッサはそう思った。
「慣れないうちはなぁ、確実に迷うぜ。俺なんざ校舎ん中把握するのに二ヶ月かかっ
ちまったよ」
(そんなに時間かかっちゃうぐらいなら……どうしよう、ホントに迷子になるか
も……)
ギアの話を聞いて、ますます不安が色濃くなるヴァネッサだった。
「って、ここでボサッとしてられんだろ。手続き手続き」
促され、一行は校舎に足を踏み入れた。

校舎に入ってまず真っ先に目につくのは、受付のカウンターである。
やや地味な印象を受ける女性が席についている。
「入学希望者の手続きをしたいんだが」
「紹介状を拝見できますか?」
「悪い、ちょっと待っててもらえるかな」
ギアが受付嬢と話をしている間、三人は手持ちぶさたになった。
すぐに話が終われば良いのだが、どうもこの受付嬢は新しく配属されたばかりのよう
で、何やら手間取っている。
ヴァネッサは、不意に視線を移した。
壁にずらりと掲げられている肖像画でも見て、時間を潰そうと思ったのである。
(どうして、こんなに肖像画が置いてあるんだろう……)
そう思いつつ見ていると、一枚のプレートが目に入った。
『歴代の最優秀成績者』とある。
これは、歴代の最優秀成績者の肖像画だったのである。
探してみると、若かりし頃のランバートの絵や、せせらぎ亭の女将の絵もあった。
(もしかして……)
ギアやグラント、カタリナの絵もあるだろうか。
ヴァネッサは、好奇心にかられて探し始めた。


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2007/02/12 21:36 | Comments(0) | TrackBack() | ▲立金花の咲く場所

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