PC:礫 メイ
NPC:街の人々
場所:ポポル
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
てくてくてくてく。
暖かい日差しを浴びるポポルの町並みを、礫が歩く。
礫は、先ほど受けた仕事の依頼人であるカイン・レーべドルフの元へと向かう途中で
ある。
詳しい話は自宅にて、ということで、ギルドの受付嬢が簡単に氏の自宅の場所を説明
してくれた。
「いたずらって、どういうことするんだろ」
礫の肩にちゃっかり腰を降ろしているメイは、不意に首を傾げた。
「わからないけど……何とかしてくれって依頼が出てるってことは、結構ひどいいた
ずらをしているのかもね」
礫の答えに、メイは「うーん」とうなって腕組みをした。
「駄目だよね。誰かが迷惑するようないたずらってしちゃいけないんだから」
「うん、まあね」
「やっていいいたずらと、やっちゃいけないいたずらがあるんだから、それをちゃん
と知っておかないと」
「う、うん。まあね」
「せめて、寝ている間に髪の毛を結んだり、枕を取り替えたり、上下を逆さにし
ちゃったり……」
その一言に「そうだね」の言葉は返ってこなかった。
それが何を現しているかにも気付かず、メイは一人でぶつぶつ言い続ける。
「お砂糖と塩を入れ替えたり、靴下を片っぽ隠したり、飼い犬のひげをちょっと引っ
張ってみたり……」
「……ねえ、メイちゃん」
「ん、何?」
思いつく限りのいたずらを口に出していると、礫が声をかけてきた。
見ると、ほんの少し困惑したような顔をしている。
(あたし、何か変なこと言ったかなぁ?)
メイはきょとんとそれを見つめ返した。
……他の妖精の一族がどうなのかはわからないが、メイは「いたずらは好きな人間に
対する愛情表現として行うべし」と教えられて育っている。
あくまで愛情表現、ということなので、あまり行きすぎた事はしてはならないとも同
時に教えられている。
ちなみにメイはまだ礫に『いたずら』をしたことがないが、近いうちにちょっとした
ことをやらかすつもりではいた。
ちゃんとした恋愛の意味でなくとも……まだ「恋」と呼べるかどうかわからない状態
でも、礫のことは「好きな人間」に違いなかったから。
「ええと、もしかして、それ全部、誰かにやったことあるの?」
やや困惑気味に見ていた礫が、ようやく口を開く。
メイは、ぷるぷると首を横に振った。
「ううん、まだやってないよ? 」
はふ……と礫の口から小さなため息がもれる。
「メイちゃん」
「何?」
「それ、やらないほうがいいと思う」
「どうして?」
極めて良識のある礫の発言に、メイは心底不思議そうな顔をする。
愛情持って行う「いたずら」が悪いことだとは、およそ考えもつかない。
礫は、どこか決まりが悪そうに視線を外した。
「その……何て言うか、もうちょっと別なやり方で、相手のことが好きだよって伝え
る方法もあると思うし……」
「別なやり方~?」
メイは盛大に頭を抱えて考え込んだ。
言うだけじゃ足りないほど相手のことが「好き」な時はどうするのだろう。
やはり行動するのじゃないだろうか。
だがこの場合、メイにとってその行動が「いたずら」とすっかり刷り込まれているの
が問題である。
……案の定、メイの中で答えが出る前に、二人はカイン・レーベドルフの自宅に辿り
ついた。
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NPC:街の人々
場所:ポポル
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てくてくてくてく。
暖かい日差しを浴びるポポルの町並みを、礫が歩く。
礫は、先ほど受けた仕事の依頼人であるカイン・レーべドルフの元へと向かう途中で
ある。
詳しい話は自宅にて、ということで、ギルドの受付嬢が簡単に氏の自宅の場所を説明
してくれた。
「いたずらって、どういうことするんだろ」
礫の肩にちゃっかり腰を降ろしているメイは、不意に首を傾げた。
「わからないけど……何とかしてくれって依頼が出てるってことは、結構ひどいいた
ずらをしているのかもね」
礫の答えに、メイは「うーん」とうなって腕組みをした。
「駄目だよね。誰かが迷惑するようないたずらってしちゃいけないんだから」
「うん、まあね」
「やっていいいたずらと、やっちゃいけないいたずらがあるんだから、それをちゃん
と知っておかないと」
「う、うん。まあね」
「せめて、寝ている間に髪の毛を結んだり、枕を取り替えたり、上下を逆さにし
ちゃったり……」
その一言に「そうだね」の言葉は返ってこなかった。
それが何を現しているかにも気付かず、メイは一人でぶつぶつ言い続ける。
「お砂糖と塩を入れ替えたり、靴下を片っぽ隠したり、飼い犬のひげをちょっと引っ
張ってみたり……」
「……ねえ、メイちゃん」
「ん、何?」
思いつく限りのいたずらを口に出していると、礫が声をかけてきた。
見ると、ほんの少し困惑したような顔をしている。
(あたし、何か変なこと言ったかなぁ?)
メイはきょとんとそれを見つめ返した。
……他の妖精の一族がどうなのかはわからないが、メイは「いたずらは好きな人間に
対する愛情表現として行うべし」と教えられて育っている。
あくまで愛情表現、ということなので、あまり行きすぎた事はしてはならないとも同
時に教えられている。
ちなみにメイはまだ礫に『いたずら』をしたことがないが、近いうちにちょっとした
ことをやらかすつもりではいた。
ちゃんとした恋愛の意味でなくとも……まだ「恋」と呼べるかどうかわからない状態
でも、礫のことは「好きな人間」に違いなかったから。
「ええと、もしかして、それ全部、誰かにやったことあるの?」
やや困惑気味に見ていた礫が、ようやく口を開く。
メイは、ぷるぷると首を横に振った。
「ううん、まだやってないよ? 」
はふ……と礫の口から小さなため息がもれる。
「メイちゃん」
「何?」
「それ、やらないほうがいいと思う」
「どうして?」
極めて良識のある礫の発言に、メイは心底不思議そうな顔をする。
愛情持って行う「いたずら」が悪いことだとは、およそ考えもつかない。
礫は、どこか決まりが悪そうに視線を外した。
「その……何て言うか、もうちょっと別なやり方で、相手のことが好きだよって伝え
る方法もあると思うし……」
「別なやり方~?」
メイは盛大に頭を抱えて考え込んだ。
言うだけじゃ足りないほど相手のことが「好き」な時はどうするのだろう。
やはり行動するのじゃないだろうか。
だがこの場合、メイにとってその行動が「いたずら」とすっかり刷り込まれているの
が問題である。
……案の定、メイの中で答えが出る前に、二人はカイン・レーベドルフの自宅に辿り
ついた。
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