PC:アダム ランディ まめ子
NPC:魔獣の森の獣の皆さん
場所:クレイスヘンの魔獣の森
/////////////////////////////////////////////////
人間が排斥された、魔獣のための森。
魔獣の楽園。
魔獣の安息の地。
魔獣の住処。
魔獣の庭園。
魔獣の、ゆりかご。
それが、クレスヘインの魔獣の森。
そう。
ここが、クレスヘインの魔獣の森。
■■■■■■■■■
雨が、酷い。
森を覆うようなその雨は、否応無しに体温を低下させる。
服を、肌を滴り落ちるその雫と共に、体力も零れ落ちているようだとおもった。
――判断を……誤まったッ!
荒い息で後方を見やる。
ただひたすらに続く暗い木々達。遥か彼方の闇には、小さな赤い輝きが沢山見える。
森近くの村から出発した時間から考えて、まだ夜ではないようだ。
ねばねばと糸引く粘液に包まれた相棒を引きずりながら、アダムは後退する。
その粘液は厚く、厚く巻かれ煌びやかな刀身は少しも見えない。
いつもはおしゃべりであるはずの相棒は、無言だ。
いや、それだけではない。
気配が、感じられないのだ。
「す、すみません~……すいませんアダムさん~~……!」
アダムの隣にいる緑の魔族――ランディが、苦しげな声でいう。
ずずり、ずずりと引きずる右足全体に、アダムの相棒を包む粘液と同じものが付
着している。
こちらはそんなに厚く纏ってはいないが……ランディの顔は蒼白だ。
「まさか、こんな所に聖獣がいるだなんてぇ~~……うっうっ」
目を細めた視線の先には右足を纏う粘液。
薄暗い闇だからこそわかる、微かな光を発している。
「謝るなって。死んでないだけまだマシだ。」
そうは言うものの、この状況は何も変わらない。
■■■■■■■■■
――事の成り行きはこうだ。
依頼のため、リードリース王国へと向かうことになったアダム達。
アンガスに向かう二つの道の内、安全とされるここ――クレイスヘンの魔獣の森を
通る道を選んだ。
森を通るといってもかする程度、そんなに危険はないと思われた。
多少危険だとしても切り抜ける自信はあった。
実際、あと少しで森を抜けることができた。
だが、想定外のことは起こるもので。
まずは聖獣。
位としては下位のもので、アダム一人でも軽くあしらえる程度だ。
しかし、魔族としてのランディにとっては例外らしく。
聖なる力に当てられ、ランディはマトモに動けなくなってしまう。
アダムは一人で聖獣五匹の相手をしなくてはいけなくなった。
そして、粘液。
まったくもって話は飛ぶがアダムの相棒である日本刀、彼には苦手なものがある。
――それは、ガムのような粘質のものだ。
聖獣が放った粘液は、マトモに彼に直撃し、あまりのショックに気絶してしまった。
その粘液はランディにまで直撃し、ますます身動きが取れなくなる。
かくして、ランディは戦闘不能になり、
相棒は沈黙する。
まめ族の少女が奮闘しようとするも、それを押さえ、
そして今、戦局的不利な彼らは逃げているわけだ。
■■■■■■■■■
「ねえ、みて!みて!あそこ!あそこ!あそこがいいわ!」
何かを見つけたのか、アダムの肩にひっついていた豆――まめ族の少女、まめ子が
叫ぶ。
「あそこにこやがあるわ!」
「小屋……!」
確かに、何処か落ち着ける場所での休息が必要だ。
この粘液を、どうにかできるかもしれない。
……しかし、こんな森の中に人が住んでいるような形跡が残されていること自体お
かしい。
何故ならここはクレイスヘンの魔獣の森。
――はたして、そのような場所に人間が安全でいられる場所などあるのだろうか。
「……大丈夫です……あそこの小屋は安全です。それに……」
アダムの心配に気づいたのか、ランディがいう。
その視線はじっと小屋を見ている。
「あの小屋には、結界が張ってあります。魔獣は近寄れない……はず。」
「……お前は、大丈夫か?」
その問いに、ランディは笑顔で答えた。
「はやくはやく!はやくしないと<おいつかれてしまう>わ!」
まめ子がアダムの耳元で叫ぶ。
小さな叫びは、不思議とこの森に響いた。
NPC:魔獣の森の獣の皆さん
場所:クレイスヘンの魔獣の森
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人間が排斥された、魔獣のための森。
魔獣の楽園。
魔獣の安息の地。
魔獣の住処。
魔獣の庭園。
魔獣の、ゆりかご。
それが、クレスヘインの魔獣の森。
そう。
ここが、クレスヘインの魔獣の森。
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雨が、酷い。
森を覆うようなその雨は、否応無しに体温を低下させる。
服を、肌を滴り落ちるその雫と共に、体力も零れ落ちているようだとおもった。
――判断を……誤まったッ!
荒い息で後方を見やる。
ただひたすらに続く暗い木々達。遥か彼方の闇には、小さな赤い輝きが沢山見える。
森近くの村から出発した時間から考えて、まだ夜ではないようだ。
ねばねばと糸引く粘液に包まれた相棒を引きずりながら、アダムは後退する。
その粘液は厚く、厚く巻かれ煌びやかな刀身は少しも見えない。
いつもはおしゃべりであるはずの相棒は、無言だ。
いや、それだけではない。
気配が、感じられないのだ。
「す、すみません~……すいませんアダムさん~~……!」
アダムの隣にいる緑の魔族――ランディが、苦しげな声でいう。
ずずり、ずずりと引きずる右足全体に、アダムの相棒を包む粘液と同じものが付
着している。
こちらはそんなに厚く纏ってはいないが……ランディの顔は蒼白だ。
「まさか、こんな所に聖獣がいるだなんてぇ~~……うっうっ」
目を細めた視線の先には右足を纏う粘液。
薄暗い闇だからこそわかる、微かな光を発している。
「謝るなって。死んでないだけまだマシだ。」
そうは言うものの、この状況は何も変わらない。
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――事の成り行きはこうだ。
依頼のため、リードリース王国へと向かうことになったアダム達。
アンガスに向かう二つの道の内、安全とされるここ――クレイスヘンの魔獣の森を
通る道を選んだ。
森を通るといってもかする程度、そんなに危険はないと思われた。
多少危険だとしても切り抜ける自信はあった。
実際、あと少しで森を抜けることができた。
だが、想定外のことは起こるもので。
まずは聖獣。
位としては下位のもので、アダム一人でも軽くあしらえる程度だ。
しかし、魔族としてのランディにとっては例外らしく。
聖なる力に当てられ、ランディはマトモに動けなくなってしまう。
アダムは一人で聖獣五匹の相手をしなくてはいけなくなった。
そして、粘液。
まったくもって話は飛ぶがアダムの相棒である日本刀、彼には苦手なものがある。
――それは、ガムのような粘質のものだ。
聖獣が放った粘液は、マトモに彼に直撃し、あまりのショックに気絶してしまった。
その粘液はランディにまで直撃し、ますます身動きが取れなくなる。
かくして、ランディは戦闘不能になり、
相棒は沈黙する。
まめ族の少女が奮闘しようとするも、それを押さえ、
そして今、戦局的不利な彼らは逃げているわけだ。
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「ねえ、みて!みて!あそこ!あそこ!あそこがいいわ!」
何かを見つけたのか、アダムの肩にひっついていた豆――まめ族の少女、まめ子が
叫ぶ。
「あそこにこやがあるわ!」
「小屋……!」
確かに、何処か落ち着ける場所での休息が必要だ。
この粘液を、どうにかできるかもしれない。
……しかし、こんな森の中に人が住んでいるような形跡が残されていること自体お
かしい。
何故ならここはクレイスヘンの魔獣の森。
――はたして、そのような場所に人間が安全でいられる場所などあるのだろうか。
「……大丈夫です……あそこの小屋は安全です。それに……」
アダムの心配に気づいたのか、ランディがいう。
その視線はじっと小屋を見ている。
「あの小屋には、結界が張ってあります。魔獣は近寄れない……はず。」
「……お前は、大丈夫か?」
その問いに、ランディは笑顔で答えた。
「はやくはやく!はやくしないと<おいつかれてしまう>わ!」
まめ子がアダムの耳元で叫ぶ。
小さな叫びは、不思議とこの森に響いた。
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