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2024/05/17 05:06 |
光と影 第四回「尋問からの発見」/ウェイスター(ノーマン)
PC:ヴォルボ ウェイスター
NPC:マリリアン
場所:ソフィニア
+++++++++++++++++++++++++++++++++++

マリリンとか言うデブスは、あっけに取られたからか、口をぽかんとあけ不美人に拍
車がかかっていた。

正直、ウェイスターは笑いをこらえるので精一杯だった。ヴォルボに促されるまで、
自己紹介することもできず、必死に目をそらしていた。また、自己紹介のときも極力
目を合わせないように気をつけた。さすがに、真顔を笑われたのでは向こうも傷つく
だろう。

「はじめまして。ウェイスター・ロビンです。なにやら、悪事に巻き込まれたご様
子。私でよければ力になりたいと思い参上しました。」

マリリンは、はぁ、と、気の抜けた返事をよこし、相変わらずブスだった。また、
ウェイスターの言葉の意味がよくわかっていないようで、結局なんでヴォルボにくっ
ついているのかが理解できずにいた。

しかし、理解できてないといえばヴォルボもまた然りで、彼からも詳しい説明を促さ
れてしまった。マリリンの話を聞きにきたというに、なんでかウェイスターが質問攻
めにあう。良く考えれば必然だが。

「むぅ…。つまり、です。私はカミカゼ機動隊という…あー…いわばボランティアみ
たいな慈善団体に所属してまして、世のか弱き人を救うのを生きがいとしてるわけで
す。」

ウェイスターは、必死に説明したが、二人には「おせっかいサンなのね。」の一言で
一蹴されてしまった。

「…まぁ、そんなところです。」

ウェイスターもまた、しぶしぶ了承した。

自己紹介がひと段落すると、また話は元に戻り、事件の現場や状況を詳しく聞きなお
していた。ほとんどはさっき話したことと重複し、目新しい情報は無かった。

「…これ以上はもう…。」

マリリンの側から話を打ち切ってきた。しつこい尋問にうんざりしたからだろう。当
初は事件のことを聞いていたのだが、時折彼女自身のプライベートなことなども聞き
始めたからかもしれない。それが、リラックスさせようとするヴォルボなりの気遣い
なのか、単なる趣味なのかは定かではない。

「ヴォルボ殿、これ以上聞き込みをしていても、らちがあきません。調査に行くなり
なんなりしましょう。」

「…ですね。」

非常に後ろ髪惹かれる思いのヴォルボも承知し、二人はマリリン宅を出る。ここでも
ヴォルボは「またお邪魔するかも知れません」などと言っていた。ウェイスターは内
心とんでもないと毒づきながらの帰路となった。

           +++++

ソフィニアの街はすでに暗くなっていた。街の人々は、仕事帰りらしい。疲れた顔
や、うれしそうな顔など様々な表情が飛び交っていた。そんな中、ウェイスターと
ヴォルボは難しい顔で考え事をしながら、酒場「トラベラーズイン」に向かってい
た。

「広くて、暗くて、魔方陣で、石畳…と。見当つきますか?」

ウェイスターは、手帳にメモした情報を羅列してみた。どの情報も決定力を欠いてい
るように思えた。また、この近辺かどうかすら定かではない。

「んー。」

ヴォルボはうなったままで、答えをよこすことはしなかった。すると、突然口を開い
た。

「そうだ!」

突然の大声に、ウェイスターは二、三歩後ずさりし、それから、相槌を打った。

「どうしたんですか?」

「これは、髪止めにしよう。うん。それがいい。あの娘にきっと似合うのができるは
ずだ。」

「は?」

あまりにも的外れな答えが返ってきたので、ウェイスターは、はにわの如く間抜けな
顔をしてしまった。

「髪止めだよ。髪止め。」

髪止めぐらい想像つくよ…。とウェイスターは思ったが、もしかしたら深い考えが
あっての発言かもしれない。もう少し、髪止めという言葉を反芻してみようと思っ
た。

「そんなわけだから、ボクは、先に帰ってますね。」

短い足をバタバタさせながら、ヴォルボは酒場に向かって走っていってしまった。
ウェイスターは「どんなわけで?」と、その場に取り残されてしまった。いや、走っ
て追えば捕まえられるだろう。正直、ドワーフが駆けたところでたかが知れているの
だ。

「……。」

間。

「…まぁ、いい。一人の方が調査はしやすい。」

たっぷり三分は黙ってから、ウェイスターは気を取り直し、手帳を眺めた。
広くて…屋内と限れば、多数あるが…。
暗くて…地下か?だが、天井は見えなかったらしいが。
魔方陣で…ソフィニアは魔法が盛んだ。特定はできないだろう。
石畳…少なくても、人の手が加わったところということだろう。

そこから導いてみるに…。

「魔術学院…か?」

まさか。ウェイスターは考えてから、それを打ち消した。魔術学院といえば伝統と栄
誉あるれっきとした学校だ。その学校の中でよからぬことを企む輩がいるものだろ
か。しかし、それなら合点がいく。

「…ふむ。」

ウェイスターは思わず立ち止まっていたことに気がついた。
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2007/02/12 17:16 | Comments(0) | TrackBack() | ▲光と影

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