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2024/11/01 12:33 |
光と影 第十六回「意外!めがね男の恐怖!!」 /ウェイスター(ノーマン)
PC:ヴォルボ ウェイスター
NPC:ウォダック(テスカトリポカ)
場所:イヴァノフォールドの一農村
+++++++++++++++++++++++++++++

二人は唖然としていた。目の前のウォダックことテスカトリポカの言葉から察する
に、この男が、村を破壊したのだろうが、流石にそんなことは信じられない。自然災
害か戦争に巻き込まれたかのように無残な姿の村。それを、このやせた、背の丸い男
がやってのけたというのだろうか。確かにこの男にはテスカトリポカの力が宿ってい
るらしい。
しかし、だ。

「どうした?そんなマヌケな顔なんかしちゃってさ。」

ウォダックは、宙に浮いたまま二人に近づいてきた。勿論、この男に羽根があるわけ
ではないし、何かの器具が取り付けられているわけでもない。宙に浮いている理由が
無い。それなのにウォダックは平然と宙で歩みを進めているのである。多分、一介の
宗教家であれば彼を神の使いとあがめるだろう。それほどに神秘的な歩みだった。

ふぁさっ…

ウォダックはヴォルボの髭を一撫でし、不気味な笑みを浮かべる。まだ、浮いたまま
だ。

「今夜は野宿になるね。風邪なんかひかないでね。」

二人は、動けなかった。

「じゃあ、また。」

すぅっと消えるウォダック。神がかりにもほどがある。

二人は汗が顔を伝い、あごのところでたまり、ぽたりと落ちる。その汗が乗っていた
馬の首を伝い、さらに地面に落ちるまでの時間、呼吸をすることさえ忘れていた。

ようやく我に返ると、肩で息をし、あたりを見回す。そうだ、村が壊滅状態にあった
んだ。思い出す。
火事も起こっているし、瓦礫の下から人を運び出したりしなければならない。そう
だ。そうだ。忘れている場合でない。ウォダックがどうあれ、とにかく今は人命救助
が第一だ。ウェイスターとヴォルボはお互い見合って、行動を開始した。まずは、火
事を消しにかかる。幸い井戸は無事で、手早く水を運び小火は鎮火。火災は初期消火
がものを言うのだ。休むまもなく、次々と瓦礫の除去のかかる。二人は額に汗して懸
命にどかすも、すでに絶命しているものも少なくなかった。小さな村とはいえ、結構
な人口だ。その全てを助けられるほど二人は万能ではなかった。
と、すればやはりウォダックは神がかり的だ。二人が懸命に働いても救えないだけの
命をいともたやすく消し去ったのだ。

「くそ…ッ。」

やけくそになりながら瓦礫をどかす。やりきれない無力感を誤魔化すために。

がしゃ
がしゃ
がしゃ

ウェイスターは、瓦礫をどかしながら、その奥にある赤子の鳴き声が聞こえなくなる
のを聞いた。
ヴォルボは、けが人に包帯を巻きながら、その人の命が消えていくのを感じた。

がしゃ
がしゃ
がしゃ

ウェイスターは、瓦礫に左腕を挟まれた男を見た。男は、必死にあがくも、どうやら
腕は外れないようだ。瓦礫をどかそうとウェイスターは思い、力を込めるがびくとも
しない。ウェイスターは、男の左腕を断ち切り、瓦礫の下から引っ張り出した。男は
何故腕を切ったのかと、ウェイスターをにらみつけた。

ヴォルボは、焼け落ちる寸前の家から女性を助け出した。その女性は言う。中には子
供がいるそうだ。だが、家はもう崩れる寸前だった。女性は再び家に戻ろうとする。
ヴォルボはそれを引き止めた。女性は行かせてくれ、と哀願する。それでも、きつく
引き止める。女性は言った。子供を見殺しにしてまで生きる理由はない、と。それで
も…引き止めた。

がしゃ
がしゃ
がしゃ

夜も更け、月が真上に来るころ、ようやく村は静かになった。すすり泣く人々の声以
外、ろくに聞こえなくなっていた。
ウェイスターは顔を伏せながら、小さく言った。

「先を急ごう。」

「…そうですね。」

ヴォルボもまた、小さく答えた。

一刻一秒でも早くテスカトリポカを討たなければならない。だが、勝てるのだろう
か。村一つを簡単に屠る悪魔に。邪滅の剣とやら本当だとして、それだけで勝機が訪
れるのだろうか。
二人は、暗い気持ちのまま馬を走らせた…。

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2007/02/12 17:21 | Comments(0) | TrackBack() | ▲光と影

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