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2024/11/01 16:26 |
光と影 第十八回「呪・八戒!!」 /ウェイスター(ノーマン)
PC:ヴォルボ ウェイスター
NPC:吟遊詩人の男
場所:ガイス?
+++++++++++++++++++++++++++++++++++

どうなっているんだ?あまりの出来事に二人の思考は凍り付いていた。
見るからに寂れていた廃村が、いつの間にか活気を取り戻した…いや、そんな表現で
は飽き足らない。
何もない荒野に突如としてオアシスが現れたかのよう…。

「…ど、どうなっているんでしょうか…。」

ヴォルボは、事態を必死に理解しようと、辺りを見回し、答えが無いのを予想しなが
らもウェイスターに尋ねた。

「……。」

予想通り、ウェイスターは答えを用意することができなかった。

何がどうなったのか、廃村は、春の木漏れ日漂う和やかな村になっていた。

幻覚?罠?…地図を間違えた?いや、馬鹿な…。
さまざまに思考をめぐらせ、現実に草木に触れ、そのどれもが違うことを確かめた。


「憂き世に漂う 鮮やかな幻 いつの世も 楽園は姿を隠し 暗闇から 世界を照ら
し…。」

なんだかよく分からない歌詞に乗せて、吟遊詩人が歌っていた。
そうだ。この男、ここが寂れていたときから、ずっとそこにいる。
ウェイスターが、視線を向けると、視線に気づいたのか、話しかける気があったの
か、吟遊詩人は顔を上げ滑らかに舌を動かした。

「…君たちは…。紛れ込んでしまったのかな?」
「紛れ込んだ?」

反応したのは、ヴォルボだった。合点がいかない…そんな面持ちで、吟遊詩人に近づ
く。

「そう、紛れ込んだのさ。輪廻の隙間に…。」
「どういことだ?」

まどろっこしい、吟遊詩人の物言いに業を煮やしたのか、ウェイスターも詰め寄って
問い詰める。

「…そう、せかさないでくれよ。…そうだね、例えるならば、ここは生と死の隙間
…。別の世界さ。」

吟遊詩人は、朗らかにそういってのけた。手にしたハープをポロン…と、一撫でし、
満足そうだ。
その姿は陽光を浴び、きらめいていただけに、ウェイスターの癪に障った。

「ふざけるな!!別の世界だと?何を寝ぼけている!…ここがどこか。私はそれを知
りたいだけだ。下らん御託を並べるな!」

大げさな身振りと、彼にしては長い口上。相当、腹が立っているようだった。今にも
胸倉につかみかからんばかりに、怒鳴り散らす。

「まぁまぁ、おちついて…。」

そうなると、ヴォルボは、なだめる役に徹するしかない。しかたなし、ウェイスター
と、詩人の間に割って入り、手をあげる。

「君たちが驚くのも無理はない。君たち、普通の人たちと、この世界はあまりに無縁
だ。」

詩人は、驚いたふうもなく、歌うように言葉をつむぐ。

「君たち…普通の人間が生きるのが、現世…としよう。仮にね。そうすると、ここは
…霊界というのがしっくりくるかな。厳密には違うんだけどね。」
「?」

二人は合点がいかない様子

「生き物は死ぬとどうなると思う?魂…ってヤツ。」

すると 男はいきりたつ

「しるか!ごちゃごちゃと…!!」

連れがなだめる おだやかに

「待ってください!今、説明を聞かないと、いつまでもワケが分からないままで
す!」

男は黙って閉口する

「……むぅ…。」

連れが促す 事の次第…

「さ、続けてください。」

詩人は歌いだす 歌いだす 語りだす…

「魂は死なず、新たな体を与えられる。…神というのかな?神秘の塊だよ。だけど、
体が滅びてからすぐに新しい体用意されるわけじゃない。
つまりここは、新しい体を待つ魂の安息所というわけだ。分かるかな?」

男は口を閉じたまま

「まぁ、そんなことは、どうでもいいんだろ?どうやったら、現世に帰れるか…。そ
れが知りたいんだろ?」

詩人は見透かしたよう

「結論はな。」
「だろ?たまに紛れ込む人がいると、決まってそれを要求するからね。」
「…ということは、いままでにここに訪れた…現世の人がいたわけですね?」

興奮気味のウェイスターは置いておいて、ヴォルボはことの収集にかかった。

「大体の人は、現世に帰るよ。本来ここにくるべきじゃないんだ。この世界が君たち
を拒絶する。…つまり、世界にはじかれ、強制的にもとの現世に戻る。待っていれ
ば、じきに始まるよ。」

詩人は、淡々と言った。今までの浪々とした話かたが急に変わったのを、ヴォルボは
不快に思った。

「では…、このまま待っていればいいんですね?」
「うん。…ただ、君たちが強く望むなら、ここに残ることもできる。さらに言えば、
強く強く願うなら現世に少しだけ変化を与えることができる。」

詩人はまじめな顔をして、ガキっぽい表現をした。

「どういうことだ?」

ウェイスターは、もはや自体を理解する気はなく、流れに逆らわないことにしたよう
だった。それ故に、無駄な言葉は発せず、ただ疑問の声だけを上げた。
「折角だから、自己紹介するね。僕の名はキラミースト・モンス・ミックス。キラで
いいよ。」
「何を急に…。」
「僕は死神だ。」

意味深を通り越して、意味不明な言葉の羅列に、二人はぽかんと口をあけた。
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2007/02/12 17:22 | Comments(0) | TrackBack() | ▲光と影

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