PC:チップ
NPC:漸黄、ユヴェス・レクトール
場所:ソフィニア近郊
その太刀筋は光のようだった。
突如現れた影にそいつはあっけなくやられてしまった、ただの一太刀で。
その影は腕に人を抱えていたが、そんな事はどうでもよかった。
俺が混乱しているのは・・・その影の正体を知っているからだ。
だからこそ、俺は一欠けらの理性でこう言った。
「あなたは・・・まさか・・・」
その影はゆっくりと振り返り・・・その素顔を見せた。
「さて、どうしたものかな・・・」
俺は深いため息を吐いた・・・。
野宿するに当たって注意するべき点はいくつかある。
野獣、火を絶やさないこと、そして食料の問題だ。この中で最後の食料が問題だった・・・。
「まさか俺が食い尽くしてしまうとは・・・」
そんな俺は・・・リーゼルとラインに責任を押し付けられ、ウサギなどの獣を狩るために草むらに身を潜めていた・・・。彼らは違う場所で待機しているし、元々この作業は俺の得意としているところだから問題はないが・・・。それにしても、元々ギルドの手違いで俺が派遣されてしまったわけだがそれにしてはこの事件は手に余るものだ。いきなり襲撃されるし、本当に死ぬかと思ったのだからやけ食いしてもいいではないか・・・。それに彼らだって十分食べていたし・・・。
「ん?」
俺の潜んでいる場所から数メートル先の草むらに何かいる・・・。あの大きさから言って猪くらいだろうか?
「・・・今夜は猪鍋だな。うん」
そう思うと自然と笑みがこぼれてくる。俺はニヤニヤしながら気配を消し、獲物へと近づいていった・・・のだが何かがおかしい。
何故か血の臭いがするし、それにこの感覚は・・・嫌な予感の前兆だった気がする。
「もしかして・・・また厄介事かな?」
それでも人間、食欲には勝てないもので俺はどんどん【それ】に近づいていった。
やめておけばよかった。
まず、最初にそう思った。俺が見つけてしまったのは猪などではなく、先日襲撃してきた暗殺集団のリーダー【漸黄】だった。
「お前はあの時の短剣使い・・・」
漸黄は左胸を押さえながらゆっくりとこちらに近づいていった。先日の傷が癒えてないのかどこか苦しげではあった。
「お前がここにいるということは・・・さてはあいつも貴様らの仲間か・・・」
漸黄の体をよく見ると体中傷だらけで、明らかに先ほどまで戦闘をしていたようだ。
おそらく漸黄の言う【あいつ】とやらがその傷を負わせたらしいが、生憎と心当たりはない。どうやら勘違いしているようだ・・・とても悪いほうに。
漸黄はさらに近づいてくる・・・。俺は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなっていた。
「我らのアジトが潰されていた時は流石に目を疑ったが・・・あの男が動いているならそれは当然なのかも知れんな・・・だが、ただでは死なんぞ!!」
そう叫ぶと漸黄は勢いよく俺に飛び掛ってきた。その速さはまるで音速・・・だが俺にはスローモーションで見えていた。
ああ、死んだなこりゃ・・・。
俺はそう心の中で思うと「これが走馬灯ってやつか?」などと思いながらただ見ていた。
見ていたからこそ、次の瞬間に俺は混乱した。
漸黄の向こう側からやってきた一陣の影。
その影は持っていた剣であろう何かで漸黄に斬りかかった。
その太刀筋は光のようだった。
突如現れた影に漸黄はあっけなくやられてしまった、ただの一太刀で。
その影は腕に人を抱えていたが、そんな事はどうでもよかった。
俺が混乱しているのは・・・その影の正体を知っているからだ。
だからこそ、俺は一欠けらの理性でこう言った。
「あなたは・・・まさか・・・」
その影はゆっくりと振り返り・・・その素顔を見せた。
「ユヴェス・レクトール・・・」
NPC:漸黄、ユヴェス・レクトール
場所:ソフィニア近郊
その太刀筋は光のようだった。
突如現れた影にそいつはあっけなくやられてしまった、ただの一太刀で。
その影は腕に人を抱えていたが、そんな事はどうでもよかった。
俺が混乱しているのは・・・その影の正体を知っているからだ。
だからこそ、俺は一欠けらの理性でこう言った。
「あなたは・・・まさか・・・」
その影はゆっくりと振り返り・・・その素顔を見せた。
「さて、どうしたものかな・・・」
俺は深いため息を吐いた・・・。
野宿するに当たって注意するべき点はいくつかある。
野獣、火を絶やさないこと、そして食料の問題だ。この中で最後の食料が問題だった・・・。
「まさか俺が食い尽くしてしまうとは・・・」
そんな俺は・・・リーゼルとラインに責任を押し付けられ、ウサギなどの獣を狩るために草むらに身を潜めていた・・・。彼らは違う場所で待機しているし、元々この作業は俺の得意としているところだから問題はないが・・・。それにしても、元々ギルドの手違いで俺が派遣されてしまったわけだがそれにしてはこの事件は手に余るものだ。いきなり襲撃されるし、本当に死ぬかと思ったのだからやけ食いしてもいいではないか・・・。それに彼らだって十分食べていたし・・・。
「ん?」
俺の潜んでいる場所から数メートル先の草むらに何かいる・・・。あの大きさから言って猪くらいだろうか?
「・・・今夜は猪鍋だな。うん」
そう思うと自然と笑みがこぼれてくる。俺はニヤニヤしながら気配を消し、獲物へと近づいていった・・・のだが何かがおかしい。
何故か血の臭いがするし、それにこの感覚は・・・嫌な予感の前兆だった気がする。
「もしかして・・・また厄介事かな?」
それでも人間、食欲には勝てないもので俺はどんどん【それ】に近づいていった。
やめておけばよかった。
まず、最初にそう思った。俺が見つけてしまったのは猪などではなく、先日襲撃してきた暗殺集団のリーダー【漸黄】だった。
「お前はあの時の短剣使い・・・」
漸黄は左胸を押さえながらゆっくりとこちらに近づいていった。先日の傷が癒えてないのかどこか苦しげではあった。
「お前がここにいるということは・・・さてはあいつも貴様らの仲間か・・・」
漸黄の体をよく見ると体中傷だらけで、明らかに先ほどまで戦闘をしていたようだ。
おそらく漸黄の言う【あいつ】とやらがその傷を負わせたらしいが、生憎と心当たりはない。どうやら勘違いしているようだ・・・とても悪いほうに。
漸黄はさらに近づいてくる・・・。俺は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなっていた。
「我らのアジトが潰されていた時は流石に目を疑ったが・・・あの男が動いているならそれは当然なのかも知れんな・・・だが、ただでは死なんぞ!!」
そう叫ぶと漸黄は勢いよく俺に飛び掛ってきた。その速さはまるで音速・・・だが俺にはスローモーションで見えていた。
ああ、死んだなこりゃ・・・。
俺はそう心の中で思うと「これが走馬灯ってやつか?」などと思いながらただ見ていた。
見ていたからこそ、次の瞬間に俺は混乱した。
漸黄の向こう側からやってきた一陣の影。
その影は持っていた剣であろう何かで漸黄に斬りかかった。
その太刀筋は光のようだった。
突如現れた影に漸黄はあっけなくやられてしまった、ただの一太刀で。
その影は腕に人を抱えていたが、そんな事はどうでもよかった。
俺が混乱しているのは・・・その影の正体を知っているからだ。
だからこそ、俺は一欠けらの理性でこう言った。
「あなたは・・・まさか・・・」
その影はゆっくりと振り返り・・・その素顔を見せた。
「ユヴェス・レクトール・・・」
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