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2024/11/20 14:29 |
クロスフェードA 第6話 『月が輝くその夜に』/チップリード(ハセ)
PC:チップリード、ライン、リーゼル
NPC:箭霧集団、漸黄(幹部)
場所:ソフィニアの宿屋、その周辺
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――
月の輝く深夜、ふとしたときに俺は目覚めた。
辺りを見ると狭い部屋に安っぽいベット・・・ここは宿屋のようだ。
二階の窓から射す月の光は俺を暖かく包んでくれているはずなのに。
目覚めたとき俺はこの感情を抑え切れなかった。

「ああ、頭が痛い・・・。気持ちが悪い・・・」

なんだか数時間前の記憶が曖昧だ・・・。完全に二日酔いの症状である。
自分が今置かれている状況をもう一度考えてみよう・・・。


まず、俺はチョロさんに依頼を受けた。依頼内容はとある人物のサポート、集
合場所はクーロンだった。俺がクーロンに着くまでの間に起きた出来事は思い
出したくない・・・苦い思い出だ。

そしてクーロンでの集合場所、酒場の裏路地で俺を待っていたのは・・・依頼者と
思われる人物の死体だった。

俺はただならぬ雰囲気を感じたが、依頼者の死体を調べた。すると「ミスリル
社」がこの依頼に関わっていることが分かった。どうやらこの依頼者も俺を
「ミスリル社」に送り込むつもりだったらしい。
そして俺は依頼者の死体を弔ってからミスリル社に向かった・・・。



まあミスリルの社長が自らおいでになって依頼の説明をしていたのは驚きだっ
た。
依頼の内容も驚きだったが・・・。正直これはすでにランクAの部類だ。それなの
に俺のランクはE・・・。間違いなくこれはギルドのミスだな。チョロさんめ・・・何
やってんだか・・・。

まあ、この依頼を受けていたのは俺だけではないのがせめてもの救いか・・・。特
にあのリーゼルとかいうやつはただならぬ雰囲気を持っていたな。持っている
獲物もまた大きいし・・・しかも酒豪だったとは・・・。ラインっていうやつもなか
なかの実力を持っているだろうし、恐らく俺らよりも常識人だろう。まあ俺が
役立たずでも何とかなるだろう・・・。もしかしたら“あの人”が来るかもしれな
いし、今はこの状況を保つのが優先だな。

「しかし、自棄酒しすぎた・・・。水でももらって気分を落ち着かせよう」
俺はベットから起き上がってドアに向かった・・・向かおうとしたのだが、何かが
おかしい・・・。
そう、誰にでもあるだろう?虫の知らせってやつが、俺の虫はいつも厄災を運
ぶ虫なのだ。
この気分は二日酔いのせいか?いや、違う。この感覚は・・・・・・“あの人”に訓
練と称して行われた“俺”がターゲットのハンティングに似ている・・・つまり!
「俺は狙われている!?」
とっさに伏せる俺。
恐らく窓際は危険だろう・・・。相手は飛び道具を使う相手か?それともドアの向
こうにはもう・・・。
俺はベッドの隣においてある装備をすばやく身につけた。俺の武器・・・“あの
人”から教わった中でも短剣が一番使いやすかった。短剣といっても一種類で
はない。多種多様の短剣が俺の服には巧妙に隠してある、その数13本。服の
左右にそれぞれ5本ずつ、そして足に1本ずつ、最後に俺が腰に下げている少
し長めの短剣が俺の装備一式だ。

俺は長剣を抜き、そっと窓に近づく・・・。窓の端からそっと覗くが周りには怪し
い人物はおろか、人すら見当たらない。


「俺の勘違い、か・・・まだ酒が残ってるのかなぁ・・・」
俺は剣を鞘にしまいドアに再度向かった・・・その瞬間。
窓ガラスが割れ、ガラスが俺の頬をかすりながら矢がドアの真ん中に矢が突き
刺さっていた・・・。
「う、うそ、だろ?」
しかし頬を流れる俺の血がそれを否定していた。
俺はとっさにドアから飛び出た。ここにいてはまずい!
ドアを出て廊下へ、そして俺は力の限り叫んだ。
「うああぁぁぁぁーーーーーー!!」
まずドアを蹴り破って出てきたのはリーゼルだった。どうやら二日酔いの兆候
は見られない、相当なタフガイ野郎だな・・・。頼むからその持っているでかい獲
物で俺とかをなぎ払わないでくれよ・・・。
次に遅れて出てきたのはラインだった。まだ寝ぼけた様子で、襲撃に驚いたと
いうより、安眠を邪魔されて怒っているようにも思える表情だ。それでも棍棒
を持ってるのは長年の技なのか?だからそんな目で俺を見るな・・・頼むから。

「「一体どうした!!」」
見事にハモっている、意思の疎通はばっちりだな。
「どうしたもこうしたも・・・たった今窓から狙撃されたんだ!」
「な、なんだって!?」
驚いて返事をしたのはラインだった。俺並に慌てているな・・・。
「やはり、素直には通してくれないか・・・」
落ち着いて返事をしたのはリーゼルだった。こっちは経験慣れしてるのか?
それはそれで嫌な生活だなよな・・・。ああはなりたくない・・・。
「と、とにかく!すぐにここから出な・・・あれ?」
今になって気づいた。この騒ぎの中、ドアから出てきたのは俺ら三人だけ。他
の宿泊者は一体どうしたんだ・・・?

俺のその疑問を悟ったのか、リーゼルが口を開いた。
「気づいたか?俺も不審に思っていた。この場合、経験から言うと次の展開
は・・・・・・」
「て、展開は・・・?」
俺が恐る恐る聞いてみる。
「パーティ(乱戦)だな!!」

まるでその掛け声を待っていたかのように次々とドアから黒ずくめの集団が現
れた。
1人、2人、3人・・・・10人もいる・・・。
その上、俺達は宿屋の角部屋に泊まっていた。俺達の背後は強固の壁、前方に
は黒ずくめの集団、そして奴らは懐から次々と奇妙な形の獲物を取り出した。
「暗器・・・か」
俺は一人つぶやいた。“あの人”との訓練で暗器の使い方も習ったから俺はそ
の方面にいろいろと知識がある。恐らく奴らの武器には・・・・・・。
「気をつけろ、奴らの武器には毒が塗ってある可能性が高い。かすりでもした
ら・・・やばいぞ」
「そうか・・・なら、一掃するだけだな。喰らいな!バルバルス!!」

リーゼルの篭手から何か弾けるような音がすると、彼の台詞とともに彼の持っ
ていた剣から灼熱の炎が出現した。
「「なっ!?」」
見事に俺とラインの台詞がかぶった。まあ、無理もないだろう。いきなり剣か
ら炎が沸いて出てきたんだから・・・。
もっと驚いたのは前方の敵だろう、いきなり灼熱の炎に自分たちが焼かれるの
だから。
だがさすがプロ、とっさに反応したやつはドアの向こうに引き返した者もい
た。まあ極少数であるが・・・。

この戦闘で10人いた敵は半分に減っていた。なんていう戦闘力・・・むちゃくち
ゃだ。というかこの有様はさすがにまずいような・・・店の主人もびっくりするだ
ろうなぁ・・・。

「よし、この隙に逃げるぞ!弁償なんてしたくないからな!」
そう言ってリーゼルは走り出した。炎に向かって。
「ふう、なんでこんなことに・・・」
そう言いながらラインも共に走っていく・・・。
2人は炎をもろともせずに走り抜けて行った。超人か?あいつら・・・。
「・・・・・・・・え?」
そして1人取り残された俺・・・。
「逃がすな!!」
敵の怒号が響く。それに呼応して3人が彼らを追っていった。
目の前に立ちはだかる2人の黒ずくめ・・・・。もしかして、俺ピンチ・・・かな?





「ほう、始まったか・・・」
襲撃の場所となる宿から少しはなれた木の上に男は立っていた。
男は宿を襲った集団と同じ格好をしていたが、その漂わせる気迫はまったく違
うものだった。
「ほう、2人逃げたか・・・。その中でもあの刀を持ってる輩、なかなか出来る
な。部下では少々荷が重いか・・・」

そう言うと男は木から飛び降りた。その高さはゆうに4~5mはある。しかし
男は体を空中で捻り、音もなく着地した。その動きはとある国に存在したと言
い伝わる忍者のようである。

「我ら箭霧からは逃げられん。漸黄・・・参る!」
そして男は風の如く走り出した・・・逃げたリーゼルたちに向かって・・・。
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2007/02/14 21:21 | Comments(0) | TrackBack() | ▲クロスフェードA

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