PC アロエ・オーシン
場所 イノス(港→シーカヤック号船内)
NPC おばば様(サラ)・ヤックル船長・船員
___________________________________
翌日、サラたち一行はイノスの港にやってきた。
イノスの港は、今日もさまざまな船の船員達に溢れ、活気に満ちている。
イノスはこの地方では一番栄えている港だ。他の国や都市の品物のほとんど
が、このイノスの港を通ってこの地方に運ばれてくる。港には大量に品物を輸
送するための大型船や、個人が所有している商船など、色々な船が泊まってい
る。船員同士の会話が聞こえ、潮風が一行の頬を撫でた。
「あ、鳥…」
麦藁帽子に、白いワンピース姿のオーシンが空を見上げて呟いた。空にはカ
モメの群れが飛んでいる。とたんに、くしゅん、とくしゃみが出た。それを見
ておばば様が笑う。
「馬鹿だね、太陽を直視するからだよ」
「う…」
しゅん、と下を向くオーシン。すると今度はアロエが、
「なぁなぁ、ばーさんっ」
「何だい」
迷惑そうにおばば様が振り向くと、アロエが、まるで宝物を見つけた子供の
ように瞳をきらきらさせている。
「なぁおれ、昨日ここ通った時はわかんなかったけど、ここの港ってこんなに
人がいっぱいいるんだなっ。それにたくさん船も泊まってるし。おれ、知らな
かったぜっ」
「通った」というのは、空腹のときに飛翔してこの町を見下ろしたことであ
る。そんなアロエを見て、はん、と一つ鼻を鳴らすとおばば様は、
「馬鹿だねアンタは。社会見学に来た子供じゃあるまいし。いちいちそんなこ
とで興奮するんじゃないよ」
冷たく言い放ち、早足でさっさと歩き出した。歩きながらおばば様は言う。
「いいかい、アンタ達、そんな風に浮かれている場合じゃないんだよ。特にそ
この馬鹿天使。お前、今日の目的を忘れたのかい?」
おばば様に「馬鹿天使」呼ばわりされ、むっ、とするアロエ。
「解ってるよ。ばーさん」
「今日は、シーカヤック号の船長の娘の容態を診るために来たんだからね。観
光しに来たんじゃないんだから無駄口叩かないでさっさと歩きな、馬鹿天使」
「あん?何だよ、さっきから馬鹿馬鹿って!」
アロエの声を無視しておばば様はさっさと歩いていく。おばば様の背中に向
かってアロエは呟いた。
「ったくよ…、ホントあのばーさんムカつくぜっ」
「行こう、アロエ」
オーシンが緑色の瞳でアロエを見つめて言う。
「船長の娘が待ってるから…。早く行ってあげなきゃ」
「あ…」
オーシンの言葉にアロエははっとした。
「そだな…。うん」
「お待ちしていましたぞ。サラ様」
船員に連れられ、シーカヤック号の船内に入ると、待っていました、とばか
りに船長がいそいそと三人を出迎えた。小太りで、赤ら顔に白い顎ひげの、人
のよさそうな顔をした船長だ。
「私はこの船の船長のヤックルという者だ。昨日使いに出した船員から話は聞
いていると思うが、どうか、娘のカヤを診てやってくれ。この町ではもう貴女
しか頼める人間がいないのだ。医者からは全員見離され…」
堪えきれずに涙をこぼした船長の肩を、ぽん、と一つ叩くと、おばば様はさ
っさと歩き出した。厳しい表情で前を見据えて。
「昨日約束したからね。私は医療は専門外だがとりあえず診るだけは診る
さ。…泣いてる暇があったらさっさと部屋に案内しな」
う…、と目頭を抑えると、船長は先頭に立って歩き出した。
「私が部屋まで案内しよう。私の後についてきたまえ」
場所 イノス(港→シーカヤック号船内)
NPC おばば様(サラ)・ヤックル船長・船員
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翌日、サラたち一行はイノスの港にやってきた。
イノスの港は、今日もさまざまな船の船員達に溢れ、活気に満ちている。
イノスはこの地方では一番栄えている港だ。他の国や都市の品物のほとんど
が、このイノスの港を通ってこの地方に運ばれてくる。港には大量に品物を輸
送するための大型船や、個人が所有している商船など、色々な船が泊まってい
る。船員同士の会話が聞こえ、潮風が一行の頬を撫でた。
「あ、鳥…」
麦藁帽子に、白いワンピース姿のオーシンが空を見上げて呟いた。空にはカ
モメの群れが飛んでいる。とたんに、くしゅん、とくしゃみが出た。それを見
ておばば様が笑う。
「馬鹿だね、太陽を直視するからだよ」
「う…」
しゅん、と下を向くオーシン。すると今度はアロエが、
「なぁなぁ、ばーさんっ」
「何だい」
迷惑そうにおばば様が振り向くと、アロエが、まるで宝物を見つけた子供の
ように瞳をきらきらさせている。
「なぁおれ、昨日ここ通った時はわかんなかったけど、ここの港ってこんなに
人がいっぱいいるんだなっ。それにたくさん船も泊まってるし。おれ、知らな
かったぜっ」
「通った」というのは、空腹のときに飛翔してこの町を見下ろしたことであ
る。そんなアロエを見て、はん、と一つ鼻を鳴らすとおばば様は、
「馬鹿だねアンタは。社会見学に来た子供じゃあるまいし。いちいちそんなこ
とで興奮するんじゃないよ」
冷たく言い放ち、早足でさっさと歩き出した。歩きながらおばば様は言う。
「いいかい、アンタ達、そんな風に浮かれている場合じゃないんだよ。特にそ
この馬鹿天使。お前、今日の目的を忘れたのかい?」
おばば様に「馬鹿天使」呼ばわりされ、むっ、とするアロエ。
「解ってるよ。ばーさん」
「今日は、シーカヤック号の船長の娘の容態を診るために来たんだからね。観
光しに来たんじゃないんだから無駄口叩かないでさっさと歩きな、馬鹿天使」
「あん?何だよ、さっきから馬鹿馬鹿って!」
アロエの声を無視しておばば様はさっさと歩いていく。おばば様の背中に向
かってアロエは呟いた。
「ったくよ…、ホントあのばーさんムカつくぜっ」
「行こう、アロエ」
オーシンが緑色の瞳でアロエを見つめて言う。
「船長の娘が待ってるから…。早く行ってあげなきゃ」
「あ…」
オーシンの言葉にアロエははっとした。
「そだな…。うん」
「お待ちしていましたぞ。サラ様」
船員に連れられ、シーカヤック号の船内に入ると、待っていました、とばか
りに船長がいそいそと三人を出迎えた。小太りで、赤ら顔に白い顎ひげの、人
のよさそうな顔をした船長だ。
「私はこの船の船長のヤックルという者だ。昨日使いに出した船員から話は聞
いていると思うが、どうか、娘のカヤを診てやってくれ。この町ではもう貴女
しか頼める人間がいないのだ。医者からは全員見離され…」
堪えきれずに涙をこぼした船長の肩を、ぽん、と一つ叩くと、おばば様はさ
っさと歩き出した。厳しい表情で前を見据えて。
「昨日約束したからね。私は医療は専門外だがとりあえず診るだけは診る
さ。…泣いてる暇があったらさっさと部屋に案内しな」
う…、と目頭を抑えると、船長は先頭に立って歩き出した。
「私が部屋まで案内しよう。私の後についてきたまえ」
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