PC:ヴィルフリード、ディアン、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋
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「あーもー、どうしてあの子はああいう子なのかなぁ!」
「どうしてって…まぁ気持ちはわからんでもないが」
フレアは「ディアンと一度話してみる」と言って部屋を出て行った。
リタルードはヴィルフリードにぐちぐちもらす。
「だって、何食べたらあんなふうに育つわけ?
栄養状態あんま良さそうじゃないのに妙に性根いいしさぁ。
僕、彼女見てると生きてるの恥ずかしくなってくるもん」
痛々しいまでに不器用であるということは、生きる上であまりにも損な特質である
が、同時に酷く強い魅性を放つものだ。
そして本人がそのことに決して気づかないからこそ、その魅性は張り詰めた一本の絹
糸のように脆いものであるにも関わらず、ほんのぎりぎりのところで損なわれない。
それは、その人物に連なる人間の性質や放された手、偶然読んだ本だとか他者からの
信頼や裏切り、太陽の暖かさや朝露の透明さ、食べるに困る人間の生きることへの必
死さのようなものが、本当に絶妙なバランスで作りだしたものなのだろう。
そのくせ、たとえどのようなところでどのように成長していたとしても、彼女は彼女
でしかなかったのではないかという、水にうつった太陽の光の揺らめきへの憧れのよ
うな、永遠を思わせるものも兼ね備えている。
「僕さぁ、ゼクスさんってすっごいいい人だと思うんだよね」
片方の頬をべったりとつけて、頭を机にのせてリタルードは言う。
「だって僕が彼の立場だったら、女に飢えた凶悪囚30人くらい詰め込んだ監獄に、
フレアちゃん丸腰にして投げ込んだりしちゃうよ?」
「…おい」
「あ、いまさら引くんだ? 僕変態だってとっくにわかってるくせに」
「根に持ってんのか?」
「別にぃ。変態って言われようがどんなレッテル貼られようが、重要なのはどんな考
えでそれ貼ってどんな用途で使うかってことじゃん。
個人の趣味趣向や外見とかで、蔑んだり自らと差別化するために簡単にレッテル貼
るのは『あぁこの人器小さくて視野狭いんだぁ』ってのほほんと微笑ましく思うけれ
ど」
「あー、そうかよ」
「お金払ったら実行してくれるかなゼクスさん。
彼女の相棒の四肢折りますってオプション付で」
「他人に迷惑かける趣味趣向はどうかと思うぞ」
「まあねぇ。僕も言ってるだけだし」
「そうかよ…」
確かに言ってるだけだけれど、もし自分がゼクスの立場だったらどうするか本当にわ
からないなぁと、心の中でリタルードは付け加える。
だって誰かを壊したいと願わないほど、自分は完璧な人間なんかじゃない。
でもきっとフレアは、誰かを壊すことを選ぶくらいなら、自分を壊すことをえらぶの
だろう。
それを「強さ」と本当に人は呼ぶのだろうか?
窓から風が吹き込んで、さわりと頬をなでる。
「彼女の相棒は、彼女をちゃんと受けとめることができるのかな…?」
眠気で濁った頭で小さな声で呟いた一言には、ヴィルフリードの返事はなかった。
NPC:なし
場所:宿屋
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「あーもー、どうしてあの子はああいう子なのかなぁ!」
「どうしてって…まぁ気持ちはわからんでもないが」
フレアは「ディアンと一度話してみる」と言って部屋を出て行った。
リタルードはヴィルフリードにぐちぐちもらす。
「だって、何食べたらあんなふうに育つわけ?
栄養状態あんま良さそうじゃないのに妙に性根いいしさぁ。
僕、彼女見てると生きてるの恥ずかしくなってくるもん」
痛々しいまでに不器用であるということは、生きる上であまりにも損な特質である
が、同時に酷く強い魅性を放つものだ。
そして本人がそのことに決して気づかないからこそ、その魅性は張り詰めた一本の絹
糸のように脆いものであるにも関わらず、ほんのぎりぎりのところで損なわれない。
それは、その人物に連なる人間の性質や放された手、偶然読んだ本だとか他者からの
信頼や裏切り、太陽の暖かさや朝露の透明さ、食べるに困る人間の生きることへの必
死さのようなものが、本当に絶妙なバランスで作りだしたものなのだろう。
そのくせ、たとえどのようなところでどのように成長していたとしても、彼女は彼女
でしかなかったのではないかという、水にうつった太陽の光の揺らめきへの憧れのよ
うな、永遠を思わせるものも兼ね備えている。
「僕さぁ、ゼクスさんってすっごいいい人だと思うんだよね」
片方の頬をべったりとつけて、頭を机にのせてリタルードは言う。
「だって僕が彼の立場だったら、女に飢えた凶悪囚30人くらい詰め込んだ監獄に、
フレアちゃん丸腰にして投げ込んだりしちゃうよ?」
「…おい」
「あ、いまさら引くんだ? 僕変態だってとっくにわかってるくせに」
「根に持ってんのか?」
「別にぃ。変態って言われようがどんなレッテル貼られようが、重要なのはどんな考
えでそれ貼ってどんな用途で使うかってことじゃん。
個人の趣味趣向や外見とかで、蔑んだり自らと差別化するために簡単にレッテル貼
るのは『あぁこの人器小さくて視野狭いんだぁ』ってのほほんと微笑ましく思うけれ
ど」
「あー、そうかよ」
「お金払ったら実行してくれるかなゼクスさん。
彼女の相棒の四肢折りますってオプション付で」
「他人に迷惑かける趣味趣向はどうかと思うぞ」
「まあねぇ。僕も言ってるだけだし」
「そうかよ…」
確かに言ってるだけだけれど、もし自分がゼクスの立場だったらどうするか本当にわ
からないなぁと、心の中でリタルードは付け加える。
だって誰かを壊したいと願わないほど、自分は完璧な人間なんかじゃない。
でもきっとフレアは、誰かを壊すことを選ぶくらいなら、自分を壊すことをえらぶの
だろう。
それを「強さ」と本当に人は呼ぶのだろうか?
窓から風が吹き込んで、さわりと頬をなでる。
「彼女の相棒は、彼女をちゃんと受けとめることができるのかな…?」
眠気で濁った頭で小さな声で呟いた一言には、ヴィルフリードの返事はなかった。
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