PC:ヴィルフリード、ディアン、フレア、リタルード
NPC:なし
場所:宿屋
-------------------------------------
「フレア?」
反応のないフレアに、ディアンが声をかける。
フレアは少し俯くだけで、こちらを向かない。首を少し、横に振ったのかもしれな
い。
「…フレア?」
再度、今度はすこし強めにディアンが呼ぶ。
フレアの細い肩が、やけに小さく思えるのは気のせいか。
合わない視線。
さらに声をかけようと、ディアンが息を吸う。
「ふざけるなっ!」
ごく短い沈黙をやぶったのは、フレアのほうに一歩足を踏み出したディアンではな
く。
「リタ…?」
訝しげにヴィルフリードが名を呼んで、リタルードは自分の上気した頬の熱さを自覚
する。
「だって…だって」
言葉が。
つまって、うまくでてこない。
リタルードは、時々周囲の空気やわずかな物事から過剰に情報を拾ってしまうことが
ある。
もしフレアと出会ったのがもう一日早かったら。
あるいは、もしフレアの視線が向いていたのが、たとえ彼女が認知していなくても自
分のほうだとしたら。
リタルードは、完全に自らの感情も引きずられて、
それを断ち切るために声をあげることはできなかっただろう。
自分のためだけに、感情を吐き出す。
「だって…、この世界に意味があるものなんか何もなくて、
すべての存在は無意味だという一点だけで平等なんだ!
希望なんてどこにもないんだ。
ただあるのは連続したひとつひとつがほんのわずかな可能性だけなんだ。
ただそのどれかが常に恣意的に訪れるだけだんだ!
だから…だから」
何を言っているのか、自分でもよくわからない。だからこそ止められない。
「だから…、思い上がるな」
ずっと、少し離れた床をにらみつけていたリタルードは、視線を上げてフレアのほう
を見据えて、抑えた声で最後に搾り出した。
それだけ言って、リタルードは直後に襲ってきた自己嫌悪に膝をつく。沈黙が落ち
る。
ディアンがベッドの側に屈んだのが、気配でわかった。
NPC:なし
場所:宿屋
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「フレア?」
反応のないフレアに、ディアンが声をかける。
フレアは少し俯くだけで、こちらを向かない。首を少し、横に振ったのかもしれな
い。
「…フレア?」
再度、今度はすこし強めにディアンが呼ぶ。
フレアの細い肩が、やけに小さく思えるのは気のせいか。
合わない視線。
さらに声をかけようと、ディアンが息を吸う。
「ふざけるなっ!」
ごく短い沈黙をやぶったのは、フレアのほうに一歩足を踏み出したディアンではな
く。
「リタ…?」
訝しげにヴィルフリードが名を呼んで、リタルードは自分の上気した頬の熱さを自覚
する。
「だって…だって」
言葉が。
つまって、うまくでてこない。
リタルードは、時々周囲の空気やわずかな物事から過剰に情報を拾ってしまうことが
ある。
もしフレアと出会ったのがもう一日早かったら。
あるいは、もしフレアの視線が向いていたのが、たとえ彼女が認知していなくても自
分のほうだとしたら。
リタルードは、完全に自らの感情も引きずられて、
それを断ち切るために声をあげることはできなかっただろう。
自分のためだけに、感情を吐き出す。
「だって…、この世界に意味があるものなんか何もなくて、
すべての存在は無意味だという一点だけで平等なんだ!
希望なんてどこにもないんだ。
ただあるのは連続したひとつひとつがほんのわずかな可能性だけなんだ。
ただそのどれかが常に恣意的に訪れるだけだんだ!
だから…だから」
何を言っているのか、自分でもよくわからない。だからこそ止められない。
「だから…、思い上がるな」
ずっと、少し離れた床をにらみつけていたリタルードは、視線を上げてフレアのほう
を見据えて、抑えた声で最後に搾り出した。
それだけ言って、リタルードは直後に襲ってきた自己嫌悪に膝をつく。沈黙が落ち
る。
ディアンがベッドの側に屈んだのが、気配でわかった。
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