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PC:カイ クレイ
NPC:デュラン・レクストン
場所:王都イスカーナ
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「あー、とりあえず予告にある琥珀を見せてもらえるかな」
ドタバタをお望みだとしても、仕事をしないわけにはいかない。クレイは老人に声をかけた。
「ひょーっほっほっほ、場所はお前さんらにもヒ・ミ・ツ・じゃ!」
老人は高らかに笑う。クレイは脳天に叩き込んでやろうかと拳を震わせ、頭の中でゆっくり10数えてから口を開いた。老人に付き合ってたら思うつぼだ。こちらが大人にならなければ。
「仕事にならないんだ、頼むよ」
「……ちぇ」
「……ちぇ、だとぉ?」
おっと、いけないいけない。こんなことで感情的になってしまったら相手のペースで物事が進む。
「遊びで来てるんじゃないんだ、ソレはあんたの方がわかってるだろ」
何とか声のトーンを落として語りかける。目の前の老人の方は顔を目一杯膨らませて、子供のように上目遣いでクレイを見上げた。
「ちょっとしたお茶目さんじゃないか……」
「迷惑」
間髪入れずにカイが呟く。
「さすがは公爵のお墨付きじゃ。一筋縄じゃイカンのう」
うんうんと大げさに頷いて、老人は本の山を弄りだす。
「ちょっとまっとれよ」
まさかこの本の山に琥珀が埋もれているのか。考えただけで頭が痛くなって、二人は顔を見合わせた。それから小一時間ほど、狭い書斎の中で待たされることになる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「で?」
「みつからん」
うんざりした顔で問いかけるクレイに、老人はけろっと答えた。
「あーのーねー」
頭をわしゃわしゃするクレイの隣でカイが何かにふと目を留める。視線の先には老人が漁っていたのとは別の本の山。革表紙の本に隠れるように、小さな木箱らしきモノが見えたのだ。
「老人、コレを見てもイイか?」
「ぬぁ?コレとはドレじゃ」
自分で崩した本の山から這い出してくる老人。狭い室内がますます狭くなった気がする。
「その本の下の、ああ、その小箱だ」
カイのいうとおりに積んだ本の下敷きになっていた木箱を掘り出す老人の手が、止まった。
「コレは琥珀と一緒に頂いた箱じゃ」
懐かしそうに蓋をさする。
「見るかね」
差し出された小箱の蓋には鳥を象った紋章が刻まれており、その鳥には何故か足が三本。嘴には小粒の琥珀をくわえていた。
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