キャスト:トノヤ・ファング
NPC:ワッチ・月見・リア・セバス
場所:ヴァルカン/古い屋敷内
___________________
積み上げられた薪の上に、肩肘をついてダルそうに座っているのはトノヤ。
斧を片手にトノヤを睨み、いつでも来いと構えるのはワッチ。
「ほい」
やる気のないトノヤの手から薪が一本宙を舞う。
「ふんっ」
コッと乾いた音を立てて薪は真っ二つに割れ、ワッチの後ろに着地する。
ワッチの後ろには綺麗に割られた薪達が山積みになっている。
薪を割るために用意された切り株は寂しそうにポツンと隅に追いやられていた。
「ほい」
「おりゃっっ」
また一本。
「ほいほいっと」
「ふんふんがっ」
今度は二本。
「五本同時っ、ほいほいほいほい、ほいっと」
「うりゃりゃりゃりゃーーー!!ふげっ」
急に五本同時に投げられ、割損ねた一本がワッチの眉間に見事ヒットした。
「ぐぅうう、いたた~~……少年!今一本だけ明らかにオイラの眉間狙っただろ!遊
んでるんじゃないんだぞ!!!」
「だはははははは!修行が足りねーんだよ、親父殿!ひぃひぃ」
「な、なにをぉおおお!よし、もっと投げてみろ!全部打ち取ってみせる!」
「あーあー、やってるやってる。絶対こうなってると思ったんだよね」
修理の手続きを終え、様子を見に来てみればやはり真面目にやっていない。
ファングはやれやれとバンダナに手を当て、遊んでいる二人に近づいた。
近づいても気づかないほど熱中している二人に声をかけようとしたところで、ふと、
気づいた。
「あれ、月見は?」
肉体労働の薪割りより手続きを選んだ月見だったが、すぐ飽きて先に薪割りの様子を
見に行ったはずだったのに。
姿が見えない。
「おーい、そこの破天荒と不良少年、破廉恥こっちに来なかった?」
「あ、ファング。手伝いに来てくれたのか?でももう終わるよ、っていうかちょっと
割りすぎたかも」
「てめっ!おせぇんだよ!今頃のこのこ来やがって」
「ねえ、聞いてよ、人の話。月見来なかった?ずいぶん前にこっちに行ったと思った
んだけど」
遊んでいたようでちゃんと薪は割り終わっていたようで。
何日も持ちそうなほどの大量の薪が山になっているのが見えた。
ワッチは斧をもとの場所へしまっているところだった。
「月見~?来てないと思うけどなぁ。オイラ薪割りに夢中で気づかなかったな」
「きもちわりぃ奇声発する幽霊ならいたけどな」
「げっ、マジでここって幽霊でんの!?」
「そうそう、出た出た。働く男の汗はなんて美しいんダッ☆うひょーーーう☆とか
ゆって。気持ち悪かったから少年が薪投げつけたら居なくなったけど」
「マジうぜぇよ。鼻息荒ぇし、一回投げつけただけじゃくたばらなくてよ。三本めで
やっと、こ、これも愛ッ☆とかいいながら、成仏したんだよな」
「ちょ、と、え。それって…さ。えええ!?どう考えたってそれ月見じゃん!!」
なんで気づかないかな!と、急いで、幽霊が出たという墓石の陰に向かうファング。
覗き込んでみると案の定、眉間に三つのたんこぶをこさえながら気絶している月見を
発見した。
気絶しているくせに幸せそうな顔をしていたのは気づかなかったことにして、とりあ
えず起こそうと、月見のたんこぶを木の枝でつついた。
「つんつん。おーい、生きてるかー?」
「……うぺっ。んがっ!?目覚めたら目の前にはバンダナ王子が目覚めのチッスをs
……」
「するかぼけ!ぎゃー!巻き付くな!人間の動きをしろ!」
軟体動物のように腕にまとわりつく月見をどうにか引きはがしながら、薄気味悪い墓
の群れから離れ、凸凹二人のもとへ……
「って、いないし!」
さっきまでそこに居たはずの破天荒と不良少年は、すでに屋敷の中へ戻ったようだっ
た。
「あっは、ファング君もボクも放置プレイ☆」
「なんなんだよこのまとまりのなさは~~~!ったく、くだらない事言ってないで俺
たちも屋敷に戻るぞ」
「イエッサー」
屋敷に戻ると、用意が終わるまで湯でもあびていてください、と執事に言われ、浴場
へと案内された四人。
下手な宿より待遇が良い。
危険因子の月見を先にいれ、執事に事情を説明し、見張ってもらっている間に男共は
浴場へとを急いだ。
見張ってもらっているとわかっていても、なんとなく急いで済ませてしまったのは三
人とも同じだった。
ほかほかといい気持ちで出て来て、ワッチが一言。
「これってさ、普通だったら逆だよな……」
「………」
なにが、と、言わなくても無言でうなずくファングとトノヤ。
「……なかなか苦労しているようですね」
執事のつぶやきに三人は同時にため息をついた。
食事ははじめに通された応接室ではなく、少し広めのダイニングに通された。
暖炉と、テーブルと、10脚ほどの椅子だけが並ぶ、とても質素なダイニング。
すでにテーブルの上には前菜と飲み物が用意されていた。
「わお!なにやらオシャレな晩餐会のよ・か・ん☆がしますぞー!」
「なんか、ここまでしてもらっちゃって良いのかな~」
「肉料理多めだといいなぁオイラ」
「あーやっとメシだー」
それぞれ好き勝手な椅子に座り、前菜をあっというまに空にしてしまった。
これだけじゃぁ、足りない!とお行儀もへったくれもなく騒ぎだす困った四人組。
「お待たせいたしました、こちらメインディッシュの川魚の南蛮焼き、山羊のグリル
……ああ、そちらはパンペルデュと、きのこの……」
執事がワゴンにいっぱいのメインディッシュを説明しながらテーブルに並べている端
から、皿はどんどん空になり積み上げられていく。
並びきるのも待ちきれず、ワゴンから勝手に好きなものを取り始める始末。
月見はすでにデザートに手を出し始めていた。
「まったく、屋敷の食料を根こそぎ食べ尽くす気?ほどほどにしてよね」
十数枚重なって塔のようになった皿を両手に、給仕室へと消えた執事と入れ替えにリ
アがあきれた様子で入って来た。
「うまいっす!ごちになってまふ!もぐもぐ」
頬袋にいっぱい食料をつめこみながらファングは屋敷の主に礼を言った。
「当たり前でしょ、うちのセバスの料理は一級品よ。ところで、修理に数日かかるけ
ど、あなたたちどうする?いったん街へ戻る?空いている部屋があるからここに泊
まっていっても良いけど」
「でひればここひおひゃましたいれふ。おれたひあんあもちあわへないんれこうつー
ひとああんm……」
「……ものを飲み込んでからしゃべっていただけるかしら」
「ぅん、ごっくん。ここにお世話ンなっても良いですか」
「わかったわ。部屋とか色々セバスが案内するわ。じゃ、私は作業に戻るから」
扉を開けかけて、ふと、リアは振り返った。
「タダで泊まれると思ったら大間違いよ。そのぶん働いてもらうからね。ふふふ」
物凄い笑顔を残して屋敷の主は作業場へと戻っていった。
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NPC:ワッチ・月見・リア・セバス
場所:ヴァルカン/古い屋敷内
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積み上げられた薪の上に、肩肘をついてダルそうに座っているのはトノヤ。
斧を片手にトノヤを睨み、いつでも来いと構えるのはワッチ。
「ほい」
やる気のないトノヤの手から薪が一本宙を舞う。
「ふんっ」
コッと乾いた音を立てて薪は真っ二つに割れ、ワッチの後ろに着地する。
ワッチの後ろには綺麗に割られた薪達が山積みになっている。
薪を割るために用意された切り株は寂しそうにポツンと隅に追いやられていた。
「ほい」
「おりゃっっ」
また一本。
「ほいほいっと」
「ふんふんがっ」
今度は二本。
「五本同時っ、ほいほいほいほい、ほいっと」
「うりゃりゃりゃりゃーーー!!ふげっ」
急に五本同時に投げられ、割損ねた一本がワッチの眉間に見事ヒットした。
「ぐぅうう、いたた~~……少年!今一本だけ明らかにオイラの眉間狙っただろ!遊
んでるんじゃないんだぞ!!!」
「だはははははは!修行が足りねーんだよ、親父殿!ひぃひぃ」
「な、なにをぉおおお!よし、もっと投げてみろ!全部打ち取ってみせる!」
「あーあー、やってるやってる。絶対こうなってると思ったんだよね」
修理の手続きを終え、様子を見に来てみればやはり真面目にやっていない。
ファングはやれやれとバンダナに手を当て、遊んでいる二人に近づいた。
近づいても気づかないほど熱中している二人に声をかけようとしたところで、ふと、
気づいた。
「あれ、月見は?」
肉体労働の薪割りより手続きを選んだ月見だったが、すぐ飽きて先に薪割りの様子を
見に行ったはずだったのに。
姿が見えない。
「おーい、そこの破天荒と不良少年、破廉恥こっちに来なかった?」
「あ、ファング。手伝いに来てくれたのか?でももう終わるよ、っていうかちょっと
割りすぎたかも」
「てめっ!おせぇんだよ!今頃のこのこ来やがって」
「ねえ、聞いてよ、人の話。月見来なかった?ずいぶん前にこっちに行ったと思った
んだけど」
遊んでいたようでちゃんと薪は割り終わっていたようで。
何日も持ちそうなほどの大量の薪が山になっているのが見えた。
ワッチは斧をもとの場所へしまっているところだった。
「月見~?来てないと思うけどなぁ。オイラ薪割りに夢中で気づかなかったな」
「きもちわりぃ奇声発する幽霊ならいたけどな」
「げっ、マジでここって幽霊でんの!?」
「そうそう、出た出た。働く男の汗はなんて美しいんダッ☆うひょーーーう☆とか
ゆって。気持ち悪かったから少年が薪投げつけたら居なくなったけど」
「マジうぜぇよ。鼻息荒ぇし、一回投げつけただけじゃくたばらなくてよ。三本めで
やっと、こ、これも愛ッ☆とかいいながら、成仏したんだよな」
「ちょ、と、え。それって…さ。えええ!?どう考えたってそれ月見じゃん!!」
なんで気づかないかな!と、急いで、幽霊が出たという墓石の陰に向かうファング。
覗き込んでみると案の定、眉間に三つのたんこぶをこさえながら気絶している月見を
発見した。
気絶しているくせに幸せそうな顔をしていたのは気づかなかったことにして、とりあ
えず起こそうと、月見のたんこぶを木の枝でつついた。
「つんつん。おーい、生きてるかー?」
「……うぺっ。んがっ!?目覚めたら目の前にはバンダナ王子が目覚めのチッスをs
……」
「するかぼけ!ぎゃー!巻き付くな!人間の動きをしろ!」
軟体動物のように腕にまとわりつく月見をどうにか引きはがしながら、薄気味悪い墓
の群れから離れ、凸凹二人のもとへ……
「って、いないし!」
さっきまでそこに居たはずの破天荒と不良少年は、すでに屋敷の中へ戻ったようだっ
た。
「あっは、ファング君もボクも放置プレイ☆」
「なんなんだよこのまとまりのなさは~~~!ったく、くだらない事言ってないで俺
たちも屋敷に戻るぞ」
「イエッサー」
屋敷に戻ると、用意が終わるまで湯でもあびていてください、と執事に言われ、浴場
へと案内された四人。
下手な宿より待遇が良い。
危険因子の月見を先にいれ、執事に事情を説明し、見張ってもらっている間に男共は
浴場へとを急いだ。
見張ってもらっているとわかっていても、なんとなく急いで済ませてしまったのは三
人とも同じだった。
ほかほかといい気持ちで出て来て、ワッチが一言。
「これってさ、普通だったら逆だよな……」
「………」
なにが、と、言わなくても無言でうなずくファングとトノヤ。
「……なかなか苦労しているようですね」
執事のつぶやきに三人は同時にため息をついた。
食事ははじめに通された応接室ではなく、少し広めのダイニングに通された。
暖炉と、テーブルと、10脚ほどの椅子だけが並ぶ、とても質素なダイニング。
すでにテーブルの上には前菜と飲み物が用意されていた。
「わお!なにやらオシャレな晩餐会のよ・か・ん☆がしますぞー!」
「なんか、ここまでしてもらっちゃって良いのかな~」
「肉料理多めだといいなぁオイラ」
「あーやっとメシだー」
それぞれ好き勝手な椅子に座り、前菜をあっというまに空にしてしまった。
これだけじゃぁ、足りない!とお行儀もへったくれもなく騒ぎだす困った四人組。
「お待たせいたしました、こちらメインディッシュの川魚の南蛮焼き、山羊のグリル
……ああ、そちらはパンペルデュと、きのこの……」
執事がワゴンにいっぱいのメインディッシュを説明しながらテーブルに並べている端
から、皿はどんどん空になり積み上げられていく。
並びきるのも待ちきれず、ワゴンから勝手に好きなものを取り始める始末。
月見はすでにデザートに手を出し始めていた。
「まったく、屋敷の食料を根こそぎ食べ尽くす気?ほどほどにしてよね」
十数枚重なって塔のようになった皿を両手に、給仕室へと消えた執事と入れ替えにリ
アがあきれた様子で入って来た。
「うまいっす!ごちになってまふ!もぐもぐ」
頬袋にいっぱい食料をつめこみながらファングは屋敷の主に礼を言った。
「当たり前でしょ、うちのセバスの料理は一級品よ。ところで、修理に数日かかるけ
ど、あなたたちどうする?いったん街へ戻る?空いている部屋があるからここに泊
まっていっても良いけど」
「でひればここひおひゃましたいれふ。おれたひあんあもちあわへないんれこうつー
ひとああんm……」
「……ものを飲み込んでからしゃべっていただけるかしら」
「ぅん、ごっくん。ここにお世話ンなっても良いですか」
「わかったわ。部屋とか色々セバスが案内するわ。じゃ、私は作業に戻るから」
扉を開けかけて、ふと、リアは振り返った。
「タダで泊まれると思ったら大間違いよ。そのぶん働いてもらうからね。ふふふ」
物凄い笑顔を残して屋敷の主は作業場へと戻っていった。
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