キャスト:トノヤ・月見・ファング
NPC:ワッチ
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
―――――――――――――――
今夜で2泊目になる宿は、相変わらず騒々しかった。
それは月見のテンションが下がるどころか、上がる一方だったからという
だけではなく、単に泊り客が多いというだけである。
観光業も盛んなヴァルカンでは、郊外でもない限り、こういう光景は
さほど珍しいものではない。
そんな騒がしい食堂の一画で、4人は夕食をとっている。
「なぁ、あのアイボリーっていう人、『ンルディはオヤジが嫌う者が作った』
とか言ってたよな」
野菜と肉がふんだんに入った煮込みスープをすすって、ファングは
なんとなく向かいに座っているトノヤに言った。
彼は字が読めない(というか、文字自体初めて見た顔をしていた)らしく、
ワッチにメニューを読み上げてもらっていた。
月見も同様で、身を乗り出してはいちいち騒いでいる。
「この剣を作ったのって…あの『暴れ山羊』の親父だろ?お前のオヤジさん、
あのジジィになんか怨みでもあんのかねぇ?」
「うーん…」
「このあたりは前菜だな。俺野菜嫌いだから読んでねぇ」
ファングが言葉に詰まると、月見が振り返った。
「詐欺られたとかッ!」
「俺にしてみればこのパーティが詐欺っぽいぞ。なんか」
「ひでぇなトノヤー」
「ここから先は肉料理だぜ…えーっと『鶏肉の山賊焼き』と」
ま、とりあえず、と話を切ってスプーンを置く。
「明日はそのガラス職人の所に行って、話をつけてから『暴れ山羊』で
オヤジのことを聞けばいーよ」
「何を使ってそこまで行くんですかファング君ッ」
月見が半分タックルするようにして訊いてくる。そのせいで横手の壁に
思い切り頭をぶつけながらも、手を振って答えてやる。
「あー…列車で行けば早いんだけど、路銀ないから合同馬車かな…」
「馬車!」
「デザートは…」
何がそんなに嬉しいのか、嬉々とした表情で目を輝かせる月見。
ワッチが面倒見よく二人にメニューの説明をしているが、もはや誰も
聞いていない。
「今日はなんか超忙しかったからなー…早く寝ないと明日起きられなくなるぞ
…てゆーか既に眠ぃけど」
熱気にうかされているような気分で、テーブルに突っ伏そうとすると、
テーブルの向こうからトノヤに肩を叩かれた。
「何言ってんだよお前、夜はこれからだぜ?」
「――はい?」
目の前に、巨大なジョッキが突き出される。なみなみと液体の入ったそれを、
なんとなく受取ってしまう――
「かんぱーいっ」
「カンパーイ☆」
「エ――!?」
酒盛りは夜更けまで続いた。
NPC:ワッチ
場所:ヴァルカン/炭鉱の中
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今夜で2泊目になる宿は、相変わらず騒々しかった。
それは月見のテンションが下がるどころか、上がる一方だったからという
だけではなく、単に泊り客が多いというだけである。
観光業も盛んなヴァルカンでは、郊外でもない限り、こういう光景は
さほど珍しいものではない。
そんな騒がしい食堂の一画で、4人は夕食をとっている。
「なぁ、あのアイボリーっていう人、『ンルディはオヤジが嫌う者が作った』
とか言ってたよな」
野菜と肉がふんだんに入った煮込みスープをすすって、ファングは
なんとなく向かいに座っているトノヤに言った。
彼は字が読めない(というか、文字自体初めて見た顔をしていた)らしく、
ワッチにメニューを読み上げてもらっていた。
月見も同様で、身を乗り出してはいちいち騒いでいる。
「この剣を作ったのって…あの『暴れ山羊』の親父だろ?お前のオヤジさん、
あのジジィになんか怨みでもあんのかねぇ?」
「うーん…」
「このあたりは前菜だな。俺野菜嫌いだから読んでねぇ」
ファングが言葉に詰まると、月見が振り返った。
「詐欺られたとかッ!」
「俺にしてみればこのパーティが詐欺っぽいぞ。なんか」
「ひでぇなトノヤー」
「ここから先は肉料理だぜ…えーっと『鶏肉の山賊焼き』と」
ま、とりあえず、と話を切ってスプーンを置く。
「明日はそのガラス職人の所に行って、話をつけてから『暴れ山羊』で
オヤジのことを聞けばいーよ」
「何を使ってそこまで行くんですかファング君ッ」
月見が半分タックルするようにして訊いてくる。そのせいで横手の壁に
思い切り頭をぶつけながらも、手を振って答えてやる。
「あー…列車で行けば早いんだけど、路銀ないから合同馬車かな…」
「馬車!」
「デザートは…」
何がそんなに嬉しいのか、嬉々とした表情で目を輝かせる月見。
ワッチが面倒見よく二人にメニューの説明をしているが、もはや誰も
聞いていない。
「今日はなんか超忙しかったからなー…早く寝ないと明日起きられなくなるぞ
…てゆーか既に眠ぃけど」
熱気にうかされているような気分で、テーブルに突っ伏そうとすると、
テーブルの向こうからトノヤに肩を叩かれた。
「何言ってんだよお前、夜はこれからだぜ?」
「――はい?」
目の前に、巨大なジョッキが突き出される。なみなみと液体の入ったそれを、
なんとなく受取ってしまう――
「かんぱーいっ」
「カンパーイ☆」
「エ――!?」
酒盛りは夜更けまで続いた。
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