PC:エンジュ シエル レイン
NPC:露店商のオヤジ
場所:酒場
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夜。客足も遠のき始めた酒場の一角。
待ち合わせに遅れてきたエンジュは、明らかに気分を害していた。
どかっと椅子に腰掛け、骨付き肉のローストとシーフードサラダとピラフを頼む。
「……遅刻」
「知ってるわよ」
一気にコップの水を飲み干すと、大きな胸が揺れるのも構わず髪を掻き上げる。
同じテーブルに先についていたシエルは、いつものように紅茶をすすった。
「聞いて?!冗談じゃないわよあのオヤジ」
「はいはい」
「ちょっとコレ、見てよ」
差し出されたのは小さな、掌に乗るほどの銀製の天使像。
「……で?」
「ちょっと露店覗いてたら、目を引いたから手に取ったんだけど」
「ん……」
「ウチはお金以外のモノでお売りするんですよって言い出して」
「……」
「お試しに一週間交換してみませんか?って」
注文の料理来たためにいったん会話が中断される。が、シエルが顎に手をあて、な
にやら考え込んでいる間にも、大人数用の料理の山が消費されてゆく。
一息ついてエンジュが口元を拭く頃には、料理の大半が消費されていた。
「返事もしてないのにあのオヤジ!」
バン!テーブルを強く叩き付けて。
「私の魔力、奪われちゃった!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どの店も店じまいを始めた頃、エンジュから逃げ切った露店商が性懲りもなくまた
店を開いていた。
「さぁ、もう少し材料が足りないな」
声を聞くと、見た目よりもずっと若い印象を与える。
目深に被った帽子のせいで、表情はよく見えない。
「お嬢さん、手に取ってみませんか?」
声を掛けたのは、ツインテールが印象的な中華服の女の子。
今日最後の客は彼女だ。オヤジは小さくほくそ笑んだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ちょっと、私の話、聞いてくれる?」
いやそーうな口振りで、シエルが切り出す。
「ああ、そうね。今日はシエルの話聞くはずだったんだっけ?」
エンジュが本来の用件をやっと思い出したかのように答える。
「ちょっと相談があったのよね」
「何?」
「さっきの話、関係がありそうですごくイヤなんだけど」
「どういうこと?」
「コレ」
差し出されたのは六枚の銀の羽根飾り。
「綺麗ね」
「……代わりにアルジャン取られたわ」
「?!」
「多分同じヤツだと思うんだけど」
カップに残った紅茶を飲み干すシエル。
ちなみにアルジャンというのは風をあらかじめ装填することで使用可能になる魔法
銃だ。
「行くわよシエルっ」
「……見失ったんでしょ?」
「私の魔法を辿るのよ、アナタが!」
カップを置いて、立ち上がる。
「寝たら後、おねがい」
「分かってるわよ」
「頼りにしてるわ」
二人が酒場を後にする。ドコかで新たなターゲットが被害に遭う前に。
NPC:露店商のオヤジ
場所:酒場
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夜。客足も遠のき始めた酒場の一角。
待ち合わせに遅れてきたエンジュは、明らかに気分を害していた。
どかっと椅子に腰掛け、骨付き肉のローストとシーフードサラダとピラフを頼む。
「……遅刻」
「知ってるわよ」
一気にコップの水を飲み干すと、大きな胸が揺れるのも構わず髪を掻き上げる。
同じテーブルに先についていたシエルは、いつものように紅茶をすすった。
「聞いて?!冗談じゃないわよあのオヤジ」
「はいはい」
「ちょっとコレ、見てよ」
差し出されたのは小さな、掌に乗るほどの銀製の天使像。
「……で?」
「ちょっと露店覗いてたら、目を引いたから手に取ったんだけど」
「ん……」
「ウチはお金以外のモノでお売りするんですよって言い出して」
「……」
「お試しに一週間交換してみませんか?って」
注文の料理来たためにいったん会話が中断される。が、シエルが顎に手をあて、な
にやら考え込んでいる間にも、大人数用の料理の山が消費されてゆく。
一息ついてエンジュが口元を拭く頃には、料理の大半が消費されていた。
「返事もしてないのにあのオヤジ!」
バン!テーブルを強く叩き付けて。
「私の魔力、奪われちゃった!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どの店も店じまいを始めた頃、エンジュから逃げ切った露店商が性懲りもなくまた
店を開いていた。
「さぁ、もう少し材料が足りないな」
声を聞くと、見た目よりもずっと若い印象を与える。
目深に被った帽子のせいで、表情はよく見えない。
「お嬢さん、手に取ってみませんか?」
声を掛けたのは、ツインテールが印象的な中華服の女の子。
今日最後の客は彼女だ。オヤジは小さくほくそ笑んだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ちょっと、私の話、聞いてくれる?」
いやそーうな口振りで、シエルが切り出す。
「ああ、そうね。今日はシエルの話聞くはずだったんだっけ?」
エンジュが本来の用件をやっと思い出したかのように答える。
「ちょっと相談があったのよね」
「何?」
「さっきの話、関係がありそうですごくイヤなんだけど」
「どういうこと?」
「コレ」
差し出されたのは六枚の銀の羽根飾り。
「綺麗ね」
「……代わりにアルジャン取られたわ」
「?!」
「多分同じヤツだと思うんだけど」
カップに残った紅茶を飲み干すシエル。
ちなみにアルジャンというのは風をあらかじめ装填することで使用可能になる魔法
銃だ。
「行くわよシエルっ」
「……見失ったんでしょ?」
「私の魔法を辿るのよ、アナタが!」
カップを置いて、立ち上がる。
「寝たら後、おねがい」
「分かってるわよ」
「頼りにしてるわ」
二人が酒場を後にする。ドコかで新たなターゲットが被害に遭う前に。
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