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2025/03/10 06:20 |
Get up! 13/コズン(ほうき拳)
場所 :会議室
PC :フェイ コズン
NPC:レベッカ 人影 亜神?


 暗闇の中、彼は微睡みを終えた。失策もあった。部下も失ったがなんとでもなるだろう。どうせ雇ったものだ。彼の血を失ったわけではない。
 よろよろと立ちあがると旧い体は随分と衰えていた。亜神と呼ばれた者でも、もはや種族の延命の方法は新たに作り出すしかない。

「情けない、ものだ」

 神という言葉に浮かれていたつもりもない。衰退してしまったという事実も受け止め、どう対応するか考えていた。何年も何度も何回も。

 けれども彼は神にはなれない。種族の仲間達を再び世に戻すことはできなかったし、自身の命も付きかけている。あと時間は百年もないだろう。所詮亜神ということか、と自嘲する。

 だが、まだ希望がある。近い力をもう一度集めればいい。幸い今までいた場所などよりも亜人達が生き残っている地だ。神の血もまた残っている。混じりものでもこの才構わない。あの戦いで純血は消えていったのだから。

 それに崇めていたものの末ならば古の盟約に従い、血を捧げるべきなのだ。彼の親の代からそうなのだから。

「血を捧げよ……我が子らよ」

 彼は呟く。うぉーんあぉーんと暗い空間に言葉がうごめいた。

 すると呼応するような音があたりに立ち上がる。狼や犬たちが騒ぎ立て、巨大なコウモリ達が飛び回った。マンティコアが数匹、虚空から現れ闇の中へ降り立つ。その奥からは小柄なバジリスクがのろのろと姿を現した。

 動物、魔獣達はどんどんと集まり、うぉーぁおーんと声を反響させた。
 


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


 モンスターを引き連れたケースの事件のデータとなると、件数が絞れて来る。
 事件の流れというのも自然と見えてくるものだった。

「この犯人、ポポルから流れてきたみたい」
「ですね。事件発生はイムヌス急進派による虐殺後ですが、それに紛れて犯行を行っていた可能性もあります。それを考慮すればあのガルガゼンドから流れて来た可能性もあります」
「愚王の国らしいわねー、ヤッバいとこから来たもんね」

 三人の検討会はいつになく順調だった。

 資料も今まで情報を洗い直し整理するだけで済む。全部が有機的に絡んでいるわけではないのだから。情報を切り捨てられるのは一気に調査を加速させてくれる。

 もっともコズンは相変わらず、むすっとしていた。けれど資料に目を通していた。専門用語や何種もの古代語の資料ならまいるが、平時に生徒にかかられた資料もすくなくない。
 また、帳簿上になっている統計ならなんとかなる。子豚の売り上げなどを几帳面な兄に習って付けた記憶を思い出す。あのころの子豚の値段は金貨5枚ぐらいだったろうか。懐かしさが、なんだか溢れてきてコズンは少し目を伏せた。大嫌いだった兄や帳簿でも、いいものだったんだな、と思い返す

「コズン、データあってるー?」
「ああぁ? 合ってるよ、いちいち確認しなくても違ってたら、言うつーの」

 資料には年々、同じような事件が起こっては未解決に終わりをいくつか繰り返したものが多い。
 熟練の冒険者を送るまでもない小さな事件ばかりで、実際の事件が大きく冒険者ごと失ってしまう。あるいは力不足で真相までたどり着かない。
 そういった事件ばかりだった。

「年々、大胆になっているわね」
「か。この村一つを神隠し事件とかか?」
「それは、別の事件かもしれないがな」

 話し合いは進む。少し集中しすぎたためか、ドアの前に立った人のことは気がつかなかった。人影は彼らが気づかないまま、すっと消えていた。



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽



「いいのかい、せっかく馬跳ばしたってのーに」

 スカウト風の男がエルガーに話しかけた。

「必要ありませんよ。もう彼らだけでやっていけます」

 エルガーはそうとだけ言うと、自分の担当する事件へと戻っていった。


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2010/02/06 03:33 | Comments(0) | TrackBack() | ○Get up!!

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