PC:セラフィナ ザンクード
NPC:刺客、アラクネ
場所:カフール
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
──風に揺れる彼の触角が、不穏な気配を察知した瞬間だった。
ザンクードはスピリストマーダーのグリップを握り、臨戦態勢をとった。
「どうしま…」
「喋るな」
数秒遅く目覚めたセラフィナがに背を向けて言い放ち、全感覚を索敵に集中する。
すると、彼は察知した気配に対して怪訝な舌打ちをする……
何処で自分たちの存在を嗅ぎ付けたのかは知らないが、察知した相手は…さっきまで戦っていた蟲族とは違い人間だった。
数は五人以上はおり、武器は刀といったところである。
飛び込んで一人ずつ瞬殺するのは軽く、殲滅するのは容易である。
だが、今自分が護るべき存在は…そんな相手と同郷の者という事実は免れない。
「俺は……相手が人だろうと手加減する気はない」
─「分かってます」─
相手に対して“同情深い奴”とは知っていた……
だが自分には、黙祷する彼女の“武器”でしかなく、同じく“武器”を持って忍び寄る大人数が襲うとなれば、使用者の意志次第で連中の一切を殺める以外…その存在意義は無意味に等しい。
……セラフィナの確立した意志がザンクードに託された瞬間、それのみ己に誓い……忍び寄る相手に向かっていった。
──────────────
突如として落下した相手の姿を…間近で見る一瞬の直後、最初の犠牲者は右肩から左脇腹まで斜めまで断裂される。
他の刺客は標的の側面へ投擲系の短刀を投げつけるが、
ザンクードは全て投擲小鎌で弾き返し、跳ね返る短刀の軌道が、刺客らを付近の木や地面ごと貫通して磔にされ、
直後に刀を抜く間も与えず急接近して、刺客らを瞬時に細切れにする。
振り卸された刃が人間の肉体を…一人、また一人と斬り落として血飛沫をあげる。
擬態するまでもなく、残る刺客らは刀を受け流されると、四肢を断裂され、胴部はあり得ない方向で切断されていった。
─と、部隊の司令塔らしき男が視界に入り…、瞬間的に握りを持ちかえ、その刃が首を狙う。
ほぼ同時に動きだした男は一直線に駆け出し、刃が頭に触れる寸前、男は体の向きを変えて刃を極小単位の間ですり抜け、同時に催涙弾のピンを抜いた。
─その時だった。
─────「!!!!?」
催涙ガスから吹き出た煙が…
その“臭気”によってザンクードの脳裏にある、“忌まわしい記憶を呼び覚まし”、
気管に入る寸前で吸うのを止めた……
ガスの煙に紛れ向こうに消え去る男を追おうとするが見失い……
煙の中で動きがとれなくなる。
────<V08-“ガーベラ”の試作型だ…覚えてるだろう…、あの時お前の感覚能力を奪った毒薬さ>
刹那──しゃがれた品の無い笑い声が突如として森に響き、彼の脳裏に焼き付いたその記憶が危険性を察知し、声を聞くやいなや振り返る。
─だが…今のザンクードの動きではその相手についていけるはずもなく、直後に宙吊りとなって空中を飛び回る声の主の蹴りを食らい吹っ飛ぶ。
直撃の勢いで少し吸ってしまった性で足元がフラつき、二撃目の体当たりは躱しきれず、右脚の外骨格の関節部にかすり傷を負う。
その上容赦なく残存する他の刺客が刀を向けて襲いかかり、ザンクードは残る力で刃を振るい斬り伏せていくが、やっと全て捌ききった時点で方膝を着いた。
<その様子じゃ立てなくなるのは時間の問題だな…>
品の無い声の主はゆっくりと近付き、相手の視界に入る場所にたどり着いて、膝を着くザンクードを見下ろした。
口元にはマスクをしていたが……
その顔には“忌まわしい記憶”として…ザンクードには見覚えがあった
<…ア…ラ…クネェエエエエッ!!!!…>
───はっきりと認知した直後、おびただしい殺気を燃え上がらせ、実に感情的でなまでに超速にして直線的な斬撃を放って襲いかかる。
<会いたかったぜェ“小僧”。何年ぶりだろうなァ…?>
斬撃はアラクネが四本の腕に握るサイのみで軽々と阻まれ、徐々に速度を落とし…、やがて次第に全て弾き落とされていく。
<この毒で感覚を鈍らせちまったお前は…あの時…、仲間を皆ゴミ屑みてぇに殺らされちまって、テメェの義姉貴と逃げるので手ェ一杯だった…
そしてオメェは生憎お前の死に様は…“態々首を切り落とされに”向かって行ったあの義姉貴にゃ遠く及ばねぇ……残念だなぁ~ヲイ♪>
アラクネの言葉がザンクードの憎悪の業火を煽らせ、体力も精神も確実に磨り減らしていく。
とうとう…速度を完全に失った刃と腕は、二本のサイとアラクネの指から射出される糸に捕らえら、閉まる糸が両腕の関節部を容赦無く破砕する。
<ッ!!!!!………>
射出される糸に捕らえら、閉まる糸が両腕の関節部を容赦無く破砕する。
悲鳴を圧し殺し……腕を引きちぎる程の痛みが伴う中で脚を動かすも、絡み付いた糸の構造がそれさえ許さない。
そんな中だった。アラクネはザンクードを見下げると言い放つ。
<…だがな……それも今俺が言う取引にさえ乗れば。オメェは命を縮めずに済む、厄介な話じゃねぇ…実にシンプルな話だぜ?>
相手が相手だ。よっぽどタチの悪いの話に決まってる事は想像が着いていた。
──が、続けて言われた言葉は、ザンクードがこの時点で考えられる“想像出来る程の趣味の悪さ”を越えていた。
─<なぁに…お前は素直に、あの“死人の小娘”渡せば良いのさ…。
どうせあいつぁ故郷に帰った所でもう“死人”と変わりねぇ…
“奴ら”に狙われた以上それは分かってたはずじゃねぇのかよ?>
<貴様…>
<それともアレか?“罪滅ぼし”ってやつかぃ?
とんだ野郎だなァあ~ヲイ♪
…せっかく“儲けの半分”くれてやろうと思ったのによォ♪>
<何が望みだ…。渡したとして…あいつはどうなる?!!!>
<あの地は……、俺や侵略種にとっちゃまさに“宝の山”だからな……。
そうすりゃ蟲族は一気に統一され、以外の種族の連中とも戦争おっ始められる…。偉大なる“革命”さ…。分かるだろ?偉大なる“革命”にゃ…“それ相応の犠牲”が要るんだよ>
<………何のためにだ!!!一体貴様の腐った企みは何処にある?!!!!答えろッ!!!!!>
──この時既に…彼の中では冗談では済まなかった。
彼の脳裏に焼き付いた記憶が、かつて自分の無力で失った“肉親”との全ての記憶が憎悪を越えた感情呼び起こし、最後の力を与えた。
───ザンクードは力を振り絞り左肩を揺らすとガントレットから両刃の鎖鎌が引き出されされ、牙で鎖を捕らえると振り回して糸を斬り裂く。
<ほォ~………飽くまでもこのアラクネ様に逆らうのかい…。良い度胸じゃねぇか>
<……あぁ……俺から渡ろうと思う時点で間違いだったな。>
毒霧が晴れ始め…ザンクードは再度感覚を取り戻し始める。
すると何処からともなく、斬り裂いたはずの刺客らが現れ襲いかかるが、それらを口の牙から振り回す鎖鎌で、肉体ごと全て弾き飛ばすと、ザンクードは果敢にアラクネに立ち向かって行く。
──しかし…その刃が届く直前、アラクネの指が操作された瞬間だった。
自分が吹っ飛ばしたはずの兵士達が起き上がり空中に浮くと、刀の切っ先を向け、ザンクードの体を地へと串刺しにし、とどめにアラクネが握るサイが腹部の鎧と外骨格を貫通する。
<…………ッ……?!!!!!……>
勢いよく刀は引き抜かれ、倒れ込む瞬時に、兵士らの真上で日の光によって反射する“線”を見てザンクードは悟る。
自分はいつの間にかアラクネの“屍人形”と戦ってたのだと。
<言ったはずだぜ……お前ェは追いつかねぇのさ…あの義姉貴にはなァ…>
こと切れたザンクードが、気を失う直前に聞いた言葉はそれだけであり、
後は見たのはマリオネットの様に崩れ落ちる屍であり…………、そこにあの蜘蛛男は居なかった。
───────
NPC:刺客、アラクネ
場所:カフール
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──風に揺れる彼の触角が、不穏な気配を察知した瞬間だった。
ザンクードはスピリストマーダーのグリップを握り、臨戦態勢をとった。
「どうしま…」
「喋るな」
数秒遅く目覚めたセラフィナがに背を向けて言い放ち、全感覚を索敵に集中する。
すると、彼は察知した気配に対して怪訝な舌打ちをする……
何処で自分たちの存在を嗅ぎ付けたのかは知らないが、察知した相手は…さっきまで戦っていた蟲族とは違い人間だった。
数は五人以上はおり、武器は刀といったところである。
飛び込んで一人ずつ瞬殺するのは軽く、殲滅するのは容易である。
だが、今自分が護るべき存在は…そんな相手と同郷の者という事実は免れない。
「俺は……相手が人だろうと手加減する気はない」
─「分かってます」─
相手に対して“同情深い奴”とは知っていた……
だが自分には、黙祷する彼女の“武器”でしかなく、同じく“武器”を持って忍び寄る大人数が襲うとなれば、使用者の意志次第で連中の一切を殺める以外…その存在意義は無意味に等しい。
……セラフィナの確立した意志がザンクードに託された瞬間、それのみ己に誓い……忍び寄る相手に向かっていった。
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突如として落下した相手の姿を…間近で見る一瞬の直後、最初の犠牲者は右肩から左脇腹まで斜めまで断裂される。
他の刺客は標的の側面へ投擲系の短刀を投げつけるが、
ザンクードは全て投擲小鎌で弾き返し、跳ね返る短刀の軌道が、刺客らを付近の木や地面ごと貫通して磔にされ、
直後に刀を抜く間も与えず急接近して、刺客らを瞬時に細切れにする。
振り卸された刃が人間の肉体を…一人、また一人と斬り落として血飛沫をあげる。
擬態するまでもなく、残る刺客らは刀を受け流されると、四肢を断裂され、胴部はあり得ない方向で切断されていった。
─と、部隊の司令塔らしき男が視界に入り…、瞬間的に握りを持ちかえ、その刃が首を狙う。
ほぼ同時に動きだした男は一直線に駆け出し、刃が頭に触れる寸前、男は体の向きを変えて刃を極小単位の間ですり抜け、同時に催涙弾のピンを抜いた。
─その時だった。
─────「!!!!?」
催涙ガスから吹き出た煙が…
その“臭気”によってザンクードの脳裏にある、“忌まわしい記憶を呼び覚まし”、
気管に入る寸前で吸うのを止めた……
ガスの煙に紛れ向こうに消え去る男を追おうとするが見失い……
煙の中で動きがとれなくなる。
────<V08-“ガーベラ”の試作型だ…覚えてるだろう…、あの時お前の感覚能力を奪った毒薬さ>
刹那──しゃがれた品の無い笑い声が突如として森に響き、彼の脳裏に焼き付いたその記憶が危険性を察知し、声を聞くやいなや振り返る。
─だが…今のザンクードの動きではその相手についていけるはずもなく、直後に宙吊りとなって空中を飛び回る声の主の蹴りを食らい吹っ飛ぶ。
直撃の勢いで少し吸ってしまった性で足元がフラつき、二撃目の体当たりは躱しきれず、右脚の外骨格の関節部にかすり傷を負う。
その上容赦なく残存する他の刺客が刀を向けて襲いかかり、ザンクードは残る力で刃を振るい斬り伏せていくが、やっと全て捌ききった時点で方膝を着いた。
<その様子じゃ立てなくなるのは時間の問題だな…>
品の無い声の主はゆっくりと近付き、相手の視界に入る場所にたどり着いて、膝を着くザンクードを見下ろした。
口元にはマスクをしていたが……
その顔には“忌まわしい記憶”として…ザンクードには見覚えがあった
<…ア…ラ…クネェエエエエッ!!!!…>
───はっきりと認知した直後、おびただしい殺気を燃え上がらせ、実に感情的でなまでに超速にして直線的な斬撃を放って襲いかかる。
<会いたかったぜェ“小僧”。何年ぶりだろうなァ…?>
斬撃はアラクネが四本の腕に握るサイのみで軽々と阻まれ、徐々に速度を落とし…、やがて次第に全て弾き落とされていく。
<この毒で感覚を鈍らせちまったお前は…あの時…、仲間を皆ゴミ屑みてぇに殺らされちまって、テメェの義姉貴と逃げるので手ェ一杯だった…
そしてオメェは生憎お前の死に様は…“態々首を切り落とされに”向かって行ったあの義姉貴にゃ遠く及ばねぇ……残念だなぁ~ヲイ♪>
アラクネの言葉がザンクードの憎悪の業火を煽らせ、体力も精神も確実に磨り減らしていく。
とうとう…速度を完全に失った刃と腕は、二本のサイとアラクネの指から射出される糸に捕らえら、閉まる糸が両腕の関節部を容赦無く破砕する。
<ッ!!!!!………>
射出される糸に捕らえら、閉まる糸が両腕の関節部を容赦無く破砕する。
悲鳴を圧し殺し……腕を引きちぎる程の痛みが伴う中で脚を動かすも、絡み付いた糸の構造がそれさえ許さない。
そんな中だった。アラクネはザンクードを見下げると言い放つ。
<…だがな……それも今俺が言う取引にさえ乗れば。オメェは命を縮めずに済む、厄介な話じゃねぇ…実にシンプルな話だぜ?>
相手が相手だ。よっぽどタチの悪いの話に決まってる事は想像が着いていた。
──が、続けて言われた言葉は、ザンクードがこの時点で考えられる“想像出来る程の趣味の悪さ”を越えていた。
─<なぁに…お前は素直に、あの“死人の小娘”渡せば良いのさ…。
どうせあいつぁ故郷に帰った所でもう“死人”と変わりねぇ…
“奴ら”に狙われた以上それは分かってたはずじゃねぇのかよ?>
<貴様…>
<それともアレか?“罪滅ぼし”ってやつかぃ?
とんだ野郎だなァあ~ヲイ♪
…せっかく“儲けの半分”くれてやろうと思ったのによォ♪>
<何が望みだ…。渡したとして…あいつはどうなる?!!!>
<あの地は……、俺や侵略種にとっちゃまさに“宝の山”だからな……。
そうすりゃ蟲族は一気に統一され、以外の種族の連中とも戦争おっ始められる…。偉大なる“革命”さ…。分かるだろ?偉大なる“革命”にゃ…“それ相応の犠牲”が要るんだよ>
<………何のためにだ!!!一体貴様の腐った企みは何処にある?!!!!答えろッ!!!!!>
──この時既に…彼の中では冗談では済まなかった。
彼の脳裏に焼き付いた記憶が、かつて自分の無力で失った“肉親”との全ての記憶が憎悪を越えた感情呼び起こし、最後の力を与えた。
───ザンクードは力を振り絞り左肩を揺らすとガントレットから両刃の鎖鎌が引き出されされ、牙で鎖を捕らえると振り回して糸を斬り裂く。
<ほォ~………飽くまでもこのアラクネ様に逆らうのかい…。良い度胸じゃねぇか>
<……あぁ……俺から渡ろうと思う時点で間違いだったな。>
毒霧が晴れ始め…ザンクードは再度感覚を取り戻し始める。
すると何処からともなく、斬り裂いたはずの刺客らが現れ襲いかかるが、それらを口の牙から振り回す鎖鎌で、肉体ごと全て弾き飛ばすと、ザンクードは果敢にアラクネに立ち向かって行く。
──しかし…その刃が届く直前、アラクネの指が操作された瞬間だった。
自分が吹っ飛ばしたはずの兵士達が起き上がり空中に浮くと、刀の切っ先を向け、ザンクードの体を地へと串刺しにし、とどめにアラクネが握るサイが腹部の鎧と外骨格を貫通する。
<…………ッ……?!!!!!……>
勢いよく刀は引き抜かれ、倒れ込む瞬時に、兵士らの真上で日の光によって反射する“線”を見てザンクードは悟る。
自分はいつの間にかアラクネの“屍人形”と戦ってたのだと。
<言ったはずだぜ……お前ェは追いつかねぇのさ…あの義姉貴にはなァ…>
こと切れたザンクードが、気を失う直前に聞いた言葉はそれだけであり、
後は見たのはマリオネットの様に崩れ落ちる屍であり…………、そこにあの蜘蛛男は居なかった。
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