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2024/05/16 19:51 |
出会い劇/アダム(Caku)
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――
人物:アダム まめ子
場所:ソフィニア/通り
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ぬぉ……俺今回マジで死ぬかと思った……」
『その発言は過去18回ほど繰り返し連呼されてますが』
「……そーかもしんねぇ………」

今は相棒の憎まれ口にも返す気力が無い。
あの『イカレ帽子屋(マッド・ハッター)』が持ってくる依頼なんてロクなもんじゃ
ねぇと改めて確信した。身をもって体験する、実に有効な自己啓発の事態であった。

事の最初は実に簡単であり、起こった事も実に明白であった。
『イカレ帽子屋』の今回の依頼は、何も難しい話でもない、鉱山の安全調査。
相棒の『シックザール(運命)』の「キチンと下調べしてから」などといった用心
深い忠告など、まったく無視して即日仕事に取り組んだのもまずかった。
何事もなく最深部地下五階まで下りてみたら、なんとそこにはどデカイ怪物
(モンスター)……冗談じゃなかった。


『異常眼(イーヴル・アイ)』をフル酷使させて、ようやっと倒した!とガッツポ
ーズを決めた次の瞬間。
どデカイ巨体が音を立てて崩れやがってくれた……もちろん、鉱山はそのば
かデカイ振動と軋みに耐え切れなかった なんていうお決まりのオチが続い
たのである。
………それから約3時間ほど、ランダムで落ちてくる岩石や土や土砂の塊
を『異常眼』ぶっ続けで継続させつつ避けまくって天上に、いや地上に出て
これたのであった。

物理学的力学未来予測系統の予測しかできない『異常眼』の瞳に、棺桶に
片足を突っ込んだ自分の幻が見えたのは、あながちその場の気の迷いと
言い切れない。

おかげで、フル活動させ続けた眼球は『蓄積疲労の上限限界突破』とかなん
とかほざいて、視力はズドンと落ち込んだ。
昨日の夜までは、頭蓋をかなづちで打ち続けられるような痛みに見舞われていた。
経験論から言えば、正常な状態に戻るのは今日明日までかかるだろう。

「あんにゃろ、何が『やはりそうでしたか』だよ…!ぜってぇ企んでやがったぞ
アイツは!!」
『それに毎度毎度ひっかかるほうも問題アリだしね、しょうがないヨ★』
「その指摘はかなり腹立つぞオイ!!」
ふらふらと、街の通りを歩いていく。
視力の低下で、普段は2.0の視力を誇るアダムだが、今は前の人物もロクに
見えない。

だから、路地から出てきた少年を避ける事が出来ずに思いっきり当たってしまった。

「ぬぉう!大丈夫かオイ」
「あ、ごめんなさい!」
ぶつかったのは、どこにでもいそうな普通の少年。と、後から
「ちょっと…何知らない人に迷惑かけてんのよ!あの、ごめんなさい」
と、知り合いらしき少女が出てきた。
両者間の雰囲気を察して、若いっていいねぇ と非常に老成的な感想を持つ。
「お前はいいって!…あ、じゃあ本当にごめんなさい!」
何だかあせって少女を振り切って駆け出す少年。
それじゃあ女は口説けねぇよ としみじみ少年の背を見守る(視力低下中でよく
見えなかったが)。
現実では事態は現在進行中で、少女がまた慌ててその後を追いかけていた。

ぼやけた視界から、少年達が消えた。
「?」
と、足元に何かの感触。拾ってみると、それは小さな宝箱であった。
「………………」
『今さ『コレ開けたい。かなり開けたい』なんて思ったデショ?』
さすが相棒の名は伊達じゃない。いわゆる“以心伝心”ってやつだろうか。
「ふっふっふ、こーいうオモチャはチャッチイから簡単なんだよ」
『こんな通りすがりの不良が開ける なんて想定して作ってるわけでもないし』
どこからか取り出した針金(?)で、鍵穴をいじると簡単に開いた。

鼻歌なんて歌いながら開けてみる。
『最悪よねー、子供のささやかな秘密を暴く大人って。
 チョー汚い、最低、なすび』
「最後のほうは間違ってる気がす………」

薄く開いた宝箱の中。
中身が、見えた。その“中身”は何かを喋ろうとしたらしい。
本能が警告(笑)を発したのは、ほぼ同時であった。
「―――――――」

バッッッッッッッチィィィンッッ!!!!
『何?何?まだ見えてないよー!何なのサー!!』
「今、俺の第六感が危険を知らせたんだよっ!てかお前は元々視覚器官ねぇだろ!!」
両手で箱を閉じて(正確には押さえつけて)、何故か青い顔で青年は呟く。
『今さら何言うんダヨ★ちなみに僕の第六感は、ほのかな同属の予感に
満ちてるんだけど?』
「ほのかなっつう表現ヤメロ!!」

腰のほうで不平不満を垂れる『相棒』に突っ込む。
両手で箱を押さえつけたまま、死後硬直のように固まって動けない
アダムであった。
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2006/12/01 01:08 | Comments(0) | TrackBack() | ▲劇(まめ子&アダム&ランディ)

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