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2024/05/16 15:49 |
交錯劇/アダム(Caku)

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――
人物:まめ子 アダム
場所:ソフィニア通り
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「どーよ、『シックザール』。
 実はお前、浮遊霊とか自縛霊とかそっち系のアンテナあるだろよ」
『ンー…とりあえず一般常識の方の仕業ではない、と』
「んな事見りゃ分かるよ」

ぼやけた視界にもはっきり見える殺害現場。
後味悪く、その場を去る。今日はもう宿に帰ろう と足を速める。
「……今日は外出禁止令でも出そうだな、これじゃ」
隣を警服姿の人間がバタバタと走り去る。
『ねーねー、それよりさ。
“アレ”どうするのですか。さっきの箱』
うっ、と歩みが止まった。

「……解決策を述べてみよ」
『その一 川に投げる
 その二 土に埋める
 その三 売る とか?』
「落とし主に返すっつう良識的な答えはねーのかよ」
『交番とかに届ける?でもこの騒ぎじゃ、
そんな落し物一つとかつっぱねられるネ★』
神の啓示が示したのか、歩みを止めた場所は橋の上だった。
ゆるやかな流れ、遠くで小さな子供達が水遊びをしている。
苦悩のポーズを(考える人参照)し、空を仰いで、
さらに下を向いて意味無く足でリズムを叩く。
「……「その二」の土に埋めるっつうのはダメだ、新芽が生えてきそうだ」
『植物系だったの、中身?』
「「その三」の売るも売れねーだろ。こんなオモチャは」
『……ちょうど川があるけど?』
顔を上げる。
例の箱を片手で持って……どこか後ろめたい、気がする。
『男なら、ズバッと一発★』
残酷な事を爽やかに言ってくれる相棒の言葉に乗せられるように―…

 投げる動作をし、

 …………………

『投げられなかったね』
「~………っ!!」
何故か箱が手のひらから離れる一挙動前で固まっている青年。
『まあ、そんな中途半端な良心を持つ君が大好きだよ?』
「それは悪意の類かお前はっ!?」
どーしても投げられない。“中身”を知ってしまった以上、躊躇いが消えない。
(生き物の類と認識してしまった以上 という意味合いらしい)

『…いいんじゃない?そういう君なんだから。
 いつもいつもお人好しで巻き込まれては借金と生傷ばっか作って、利口になれよと
かもっと賢くなれとかサンザン言われまくってる癖に、やっぱり馬鹿みたいにお人好
しな生き方もサ★』
「その何気に慰めと慈愛の入った暴言は、喧嘩を売ってると捉えていいのか…?」
脱力、盛大な溜め息をついて再び歩き出す。

『で、その箱どーするの?』
「…………宿に帰ったら開けて逃がしてやるよ…」
『で、その宿はここなの?』

やっと家に帰れた迷子のような顔で、アダムは前を見上げた。

        宿の名前は『クラウンクロウ』
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2006/12/02 00:54 | Comments(0) | TrackBack() | ▲劇(まめ子&アダム&ランディ)

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