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2024/05/18 02:06 |
クロスフェードB第五話 覚醒/ギュンター(たじぽん)
PC ジェナス ギュンター
NPC アルフォード ケヴィン ラーズ リーズ
場所 アルフォード家

__________________________________


 襲撃者の放った毒針によって重傷を負ったラーズを乗せた馬車は街道を疾
駆し、郊外に豊富な敷地と研究設備を備えたライゼル=アルフォードの屋敷
の中へと飛び込んでいった。馬車は、慌てて制止に入った門番は完全に無視
し、敷地最奥にある建物の前でようやく停止した。
ケヴィンはすかさず御者台から飛び降りると、扉の前に立つ二人の守衛の方
へ詰め寄った。
「俺は、ライゼルの知り合いのケヴィン、ケヴィン=ローグだ。怪我人がい
るんだ中へ入れてくれ」
「アルフォード様からはそのようなことは伺っておりません。どうかお引き
取りください」
「事は一刻を争うんだ。俺の名前を伝えれば分かる、人一人の命がかかって
いるんだぞ!! 早くしろ」
このような問答が続いて一向に中に入れてもらえない。馬車の中でラーズの
止血をしながら待っていたジェナスとギュンターもさすがに不審に思い外へ
出てきた。
「一体何をしている? 出血だけでも危険な状態だ、解毒だってしなきゃい
けない。護衛対象に死なれたら私たちの信用にかかわる。邪魔するなら切る
ぞ」
そう言ってギュンターが剣に手をかけると、守衛も槍を構えたために、その
場は一触即発の状態になった。 その時、
「何を騒いでいる? ん? そこにいるのはケヴィンじゃないか。後ろの二
人は連れか?」
「のんびりしてる時間はないんだライゼル。早く手当てがしたい、中に入れ
てくれ」
「それは大変だ、ささ早く中に運びなさい」
そうして一行はようやく屋敷の中に入ることが出来た。


一通り治療を終え、ベッドの上で眠るラーズとそのそばで椅子に腰掛け心配
そうにそれを見守るリーズを小部屋に残し、一行は大広間に集まっていた。
「それでラーズの容態はどうなんだい?」
と、相変わらず緊張感のない声音でケヴィンに問いかけた。
「はっきり言って危ない状態だ。いつ危篤状態に陥ってもおかしくない。あ
るいは・・・いやまさかそんなことにはならんか」
ケヴィンは途中口ごもり、ぶつぶつと呟くようにそう言った。
「何がまさかなんだ? ケヴィンよ、この期に及んでまだ何か隠しているの
か?」
「ちっ、まったく鋭い男だ。これは俺もはっきりとしたことは分からないん
だが、ライカンスロープ族はある時を境に上半身を獣の姿に変えることが出
来るらしい。何しろ大昔に滅んだとされていた種族だから詳しい記録は残っ
ちゃいないが、何かの拍子に覚醒しないとも限らない」
「要するに今回負った傷がその引き金になるかもしれないと言いたいんだな
?」
「そういうことだ」
「そんな事言ったって分からないんだろ、成り行きにまかせりゃいいじゃん

「まあ確かに俺たちにはどうすることも出来ない。ただ本当に覚醒したら大
変・・・」

いやぁぁぁぁ誰か来てぇぇぇぇ

「へっ?ひょっとして」
「そのまさからしいぞ」
「とっとにかくラーズのところへ行こう」

 三人が部屋に駆けつけると壁際に座り込んだリーズが怯えた様子でラーズ
の方を指差していた。彼女の視線の先に立っていたのは上半身を金色の狼の
姿に変えたラーズであった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ラーズは唸り声とともに壁に拳を叩きつけた。すると冗談のように簡単に人
一人通れるほどの穴が出現した。彼はその穴をくぐって外へ出て行った。
「あんなのが街に出て行ったら大騒ぎになる。おいジェナス奴を止めるぞ」
「へいへい分かってますよ」
そう言って二人はラーズを追いかけようとするが、その際ケヴィンが一言釘
を刺した。
「なるべく傷つけるな、彼は不幸な子供なんだ。彼に罪はない」

ギュンターがラーズの頭すれすれに矢を放つと、彼は二人に気付き、向き直
って突進してきた。先ほどまで重傷で床に伏せていたとは思えない、という
より常人を超える程の瞬発力をもって一気に距離を詰めギュンターに肉薄す
ると、袈裟切りのように鉤爪を振り下ろす。ギュンターはそれをすんでの所
でかわすと、鞘に収めたままの剣でラーズの腹に突きをいれ飛び退いて距離
を取った。しかしラーズは、突きの一撃などものともせずにギュンターに飛
び掛かり、彼に体勢を整える暇を与えなかった。
「がはっ・・・」
再度距離を詰めたラーズは今度はコンパクトなモーションでギュンターの腹
に拳の一撃を与える。かろうじて剣で受け止めようとするも、踏みとどまる
ことは出来ず吹っ飛ばされてしまった。
「嘘だろ」
人ってあんなに飛ぶのか? といった感じで呆然とその光景を眺めていたジ
ェナスは、爪を一舐めして彼の方に向き直ったラーズと目が合った。
「げっ、ひょっとして次は俺ってか??」
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2007/02/17 00:25 | Comments(0) | TrackBack() | ▲クロスフェードB

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