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2024/05/16 16:01 |
「パラノイア 第九章 夕日へ向かって 」/オルレアン(Caku)
PC:オルレアン・ルフト・ベアトリーチェ
NPC:ウィンドブルフ・白熊アメリア・賊長アドルフ
場所:スズシロ山脈中腹~盗賊の砦

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『この男、いかがしますか?』


そりゃあもう、文章では言い切れないあーんなことやそーんな悪辣獰悪非道惨
い攻撃の後、精神、いや魂までも破壊されたアドルフの片足を掴んだ黒騎士は
無情な問いかけを主であるオカマに問うた。
アドルフはまるで、打ち上げられた魚のように痙攣している。

「ぶっちゃけ今殺したいけど、それはいいわ。
あぁ、あとそいつをぶち込む際に名誉毀損と軍事妨害罪追加なさいな。
それとそうね、適当に国家反逆罪もつけておいて。二桁の禁固刑にして二度と
歩けないようにしてやるわ」

確実に権力の横暴である。
こんな男(オカマ)が少佐という地位が非常に謎だ。いずれ正統エディウスが
崩壊する日も近かろうと思う気がするが、彼にとって国家よりも忠誠すべきは
愛しい我が子なのである。もはや娘こそ絶対君主である。

「さて★と、後は………」

笑顔で振り返ると、向こうも察したのか笑顔で返してきた。
笑顔と共に、先ほどとは輝きの違う武器を装着して。あきらかにどちらもが殺
る気満々の、穏やかで優しげな微笑みだった。




「旅賊の生き残りども、あたしの娘の誕生日プレゼントを返しなさいな。
そうすれば来世の転生条件だけ助けてあげるわ」

「どこをどう見たらあたし達が旅賊に見えんのよ。オカマの神経って謎、つい
でに馬鹿?身も心もっつうけど本当に視力とかまで影響すんだへぇー」

「いい度胸してんじゃない、胸もないくせに。ガキが国家権力に歯向かって生
きていけるとお思い?片目しか見えないから平衡感覚と常識さえわからないの
ねぇ可哀相、あたしの娘はああは育てたくないわね」

「胸はないわけじゃないわ、少ないだけよ。あんたと違ってね。
軍だかなんか知らないけど、フリルのついたオカマに怯えるほどあたし達阿呆
でもないのよ?言葉通じてるかしら、だってオカマなんて社会不適合者だから
常識人の言葉もわからないものね」


ぴしり


世界に亀裂が入った。
ルフトの瞳に見えたのは、七つの鎌首を持ち上げた邪龍と、太陽を八つ裂きに
せんとする四つの足をもつ異形の鷹。


「軍に歯向かって五体満足で帰しゃしないわよこのガキども。
子供だろうが大人だろうと老人だろうが公平平等にすべからく皆殺しにしてや
る」

「最低ね、あ、ゴメン。最低とか最悪って人間の価値基準だから、あんたみた
いな人類以前の両生類にふさわしくないわね。
もうこの世界に呼吸してちゃいけないわよそこのキモ蛾・軍人」


ばきん


世界の均衡が崩れてしまう。
ルフトはどうすることも出来ないまま、囚われの姫君のように天にただ祈りを
捧げるだけだった。白熊淑女ことアメリアはウィンドブルフを食べようとして
いる。
誰も助けない、助けれない。世界の滅亡は、もう決定されている。




「…(笑顔)」

「…(微笑み)」



「「死ねやこのガキ&オカマぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー
ー」」





チュどーーーーーーーーーーーーーーん

音は、眩い閃光の後に聞こえてきた。
音速を超えてぶつかり合う彼ら。ここに伝説の邪神同士の対決が始まった。










ところで。
アドルフは、重傷を負いつつもまだかろうじて体を動かすことが出来た。

『ま、まだだ…まだ終らんよ!!』

朦朧とする意識の中、最後まで残っていたのは人間としての誇り。小さな蝋燭
の火。
その灯火は、オカマという人類を滅ぼす化け物に叩きのめされてもなお燃え続
けている。
逃げなければ、と彼はあらん限りの力で自分を抱えていた騎士の手を捻って投
げ飛ばした。

『何っ!?』

目前の神々の戦いに、命令式を貰えない騎士は完全に不意打ちされて投げ飛ば
された。
アドルフは騎士の馬を奪うと、全身の筋肉を総動員して手綱を振るった。
炎の灯火は、潰えるまえにと激しく心に勇気を灯す。
ぶっちゃけ、まあすぐに潰えそうな気もしたが。



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「あ、あの人。逃げちゃいましたよ」

ぴたり。
ルフトの呟きで二人の動きは同時に止まった。
あと少しで鎌の刃はベアの首筋を掻き切り、オルレアンの顎下の銃口は彼の顔
面を食い破ろうとしていた最中であった。
ルフトは何故か雰囲気のせいか、申し訳なそうに向こうを指差す。


「アドルフさんでしたっけ…あの人逃がすと僕ら賞金額もらえなくないです
か?」




ベアは顔面蒼白になった。
なぜなら、まだ新しい武器のために手入れ道具を揃えたかったし何より今夜の
ご飯が食えるほどの路銀がなくなるのだから。
オルレアンも表情が抜け落ちた。
ていうか白熊が戻ればあんな屑などどうでもいいが、そうすると事後処理を全
て自分でしなければならなくなる。罪を着せる人材がいなくなると娘のための
時間が無くなる。
さも無念と、それぞれの刃を引く二人。

「くっ…仕方ないわね。あんたたちは見逃してやってもいいかもしれないわ
よ?」

「ちっ…冗談じゃないわ。アイツ、よりによってあたしの武器先に触ったの
よ?」

それぞれが己の利益を最優先した結果。

「わかった?そこのオカマ、あんたを殺さないであげるんだからアイツを軍に
あげる。
その代わり賞金額よこしないさいよ、即金で」

「いいこと?あんたらだったら死んでもアイツを捕まえるのよ?
そうしたら今回の事件で軍の賞金首のリストには載せないであげるんだから」

それぞれ、頷きあう。





「犬!鷹!アイツ追うわよっ!晩飯欲しいなら絶対捕まえなさいなっ!!!!!」

「全員続け!あの男を捕まえらんないならお前ら容赦なくゴミ豚の処理施設に
放り込んでやる!!」






夕日に向かい、駆け出す三人(&とその他付属物)
同じくその先には、夕日に救いを求めるかのように逃げるアドルフ。


夕日の光は三人の影を長く長く引かせていた。
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2007/02/10 17:35 | Comments(0) | TrackBack() | ●パラノイア

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